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Nagahisaokamoto (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
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英語名:electroconvulsive therapy 英略称:ECT 独:Elektrokrampftherapie, Elektrokonvulsiontherapie 仏:électroconvulsivothérapie | |||
{{box|text= 電気けいれん療法は、経皮的に頭部に通電を行い脳に人工的なけいれんを誘発することで治療効果を得る精神神経疾患に用いられる治療法で、特に重症うつ病、薬物治療抵抗性ないし重症躁病、またはカタトニア(緊張病)に高い治療効果を持つ。ECT手技は、従来型ECTから修正型ECTへ、さらはサイン波治療器を用いたECTからパルス波治療器を用いたECTへと発展してきており、その安全性は向上しているものの、現在もその作用機序が未解明であることやわが国でのECT手技の標準化がまだ十分でないことなどの課題があり、作用機序に関する研究や精神科関連学会を中心としたECTの標準化がすすめられている。}} | |||
==歴史== | ==歴史== | ||
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近年では、ECT後の血液中[[脳由来神経栄養因子]] ([[brain-derived neurotrophic factor]], [[BDNF]])の増加が報告され<ref name=ref14><pubmed> 17474805</pubmed></ref>、ECTが神経細胞の[[可塑性]]、再生、維持に関わる[[神経栄養因子]]を強化し、[[海馬]]を主体とする内側[[側頭葉]]を中心として神経栄養効果を持つ可能性が指摘されるようになった<ref name=ref15><pubmed>18580563</pubmed></ref>。うつ病患者では[[メタ解析]]でもECT治療後のBDNFの増加が確認されており<ref name=ref16><pubmed>27552533</pubmed></ref>、BDNF増加と[[HAM-D]]総得点減少が相関するという報告もある。また[[霊長類]]を対象にした[[動物実験]]では、ECTにより海馬での[[神経新生]]が促進されたことが報告されている<ref name=ref17><pubmed>17475797</pubmed></ref>。 | 近年では、ECT後の血液中[[脳由来神経栄養因子]] ([[brain-derived neurotrophic factor]], [[BDNF]])の増加が報告され<ref name=ref14><pubmed> 17474805</pubmed></ref>、ECTが神経細胞の[[可塑性]]、再生、維持に関わる[[神経栄養因子]]を強化し、[[海馬]]を主体とする内側[[側頭葉]]を中心として神経栄養効果を持つ可能性が指摘されるようになった<ref name=ref15><pubmed>18580563</pubmed></ref>。うつ病患者では[[メタ解析]]でもECT治療後のBDNFの増加が確認されており<ref name=ref16><pubmed>27552533</pubmed></ref>、BDNF増加と[[HAM-D]]総得点減少が相関するという報告もある。また[[霊長類]]を対象にした[[動物実験]]では、ECTにより海馬での[[神経新生]]が促進されたことが報告されている<ref name=ref17><pubmed>17475797</pubmed></ref>。 | ||
これらを踏まえた仮説としては、ECTが脳の異常な[[機能的結合]]を一度リセットして、病態に関連する脳領域で新しい健康的な機能的結合の生成を促進することで治療の有効性を発揮している<ref name=ref18><pubmed>24810774</pubmed></ref>という仮説が提示されており、その機序としてはECTの前頭葉を主体とする抗けいれん作用による抑制性神経伝達の促進<ref name=ref19><pubmed>9773356</pubmed></ref> <ref name=ref21><pubmed>24381234</pubmed></ref>、内側側頭葉・海馬を主体とした神経栄養効果を介した細胞新生や神経回路成長促進への影響、及びその複合的要因<ref name=ref18 /> <ref name=ref19 /> <ref name=ref20><pubmed>24800687</pubmed></ref>が示唆されている。 | |||
このようにECTの有効性における作用機序について、いくつかの仮説は提示されているものの、現在までECTの明確な作用機序は明らかにされていない。 | このようにECTの有効性における作用機序について、いくつかの仮説は提示されているものの、現在までECTの明確な作用機序は明らかにされていない。 | ||