「エクソサイトーシス」の版間の差分

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<font size="+1">[http://researchmap.jp/read0067134 高橋 倫子]、[http://researchmap.jp/haruokasai 河西 春郎]</font><br>
<font size="+1">[https://researchmap.jp/norikotakahashi 高橋 倫子]、[http://researchmap.jp/haruokasai 河西 春郎]</font><br>
''東京大学 大学院医学系研究科''<br>
''東京大学 大学院医学系研究科''<br>
DOI XXXX/XXXX 原稿受付日:2013年2月4日 原稿完成日:2013年8月28日<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2013年2月4日 原稿完成日:2013年8月28日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/Bito 尾藤 晴彦](東京大学 大学院医学系研究科 神経生化学分野)<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/Bito 尾藤 晴彦](東京大学 大学院医学系研究科 神経生化学分野)<br>
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 シナプスの超高速開口放出では、刺激後放出に至る時間が短いので、小胞はアクティブゾーン細胞膜にドックし、次に、プライミングという分子過程を経て、分泌準備完了状態となり、Ca<sup>2+</sup>刺激で膜融合が起きると考えるのが自然である。この分子的準備完了状態は正確にはどういうものか未解明である。この超高速開口放出が開口放出がモデルとして用いられ、普通の遅い開口放出も同一機転で起きることが想定されることが多い。  
 シナプスの超高速開口放出では、刺激後放出に至る時間が短いので、小胞はアクティブゾーン細胞膜にドックし、次に、プライミングという分子過程を経て、分泌準備完了状態となり、Ca<sup>2+</sup>刺激で膜融合が起きると考えるのが自然である。この分子的準備完了状態は正確にはどういうものか未解明である。この超高速開口放出が開口放出がモデルとして用いられ、普通の遅い開口放出も同一機転で起きることが想定されることが多い。  


 しかしながら、100ミリ秒より遅い普通の開口放出については、SNAREが拡散的に会合する時間があり、遅い開口放出は、刺激後にSNAREの拡散的な会合が起きれば、最も自然に説明される。遅い開口放出の刺激前の状態としては、t-SNAREだけ複合化した状態(binary-SNARE状態)やSNARE分子が全部分離した状態(unitary-SNARE状態)、更には、[[Cis-SNARE|''cis''-SNARE]]である状態が考えられている(図2)。この場合もCa<sup>2+</sup>依存性はシナプトタグミンと細胞膜の結合によりSNARE分子が会合し複合体を形成しやすくない機構が関与し得る。
 しかしながら、100ミリ秒より遅い普通の開口放出については、SNAREが拡散的に会合する時間があり、遅い開口放出は、刺激後にSNAREの拡散的な会合が起きれば、最も自然に説明される。遅い開口放出の刺激前の状態としては、t-SNAREだけ複合化した状態(binary-SNARE状態)やSNARE分子が全部分離した状態(unitary-SNARE状態)、更には、[[Cis-SNARE|''cis''-SNARE]]である状態が考えられている(図2)。この場合のCa<sup>2+</sup>依存性には、細胞質の小胞が細胞膜に移動したり、会合していないSNARE分子が会合し複合体を形成しやすくする機構が関与する。


 更に、SNAREの[[リン酸化]]により、複合化が調節されている場合や、cAMPやCa<sup>2+</sup>刺激により、細胞質の小胞の運動性が増す。シナプス小胞の持続的分泌や自発的分泌では後者の機構の関与が考えられる。  
 更に、SNAREの[[リン酸化]]により、複合化が調節されている場合や、cAMPやCa<sup>2+</sup>刺激により、細胞質の小胞の運動性が増す。シナプス小胞の持続的分泌や自発的分泌では後者の機構の関与が考えられる。