「滑面小胞体」の版間の差分

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== 滑面小胞体とは ==
== 滑面小胞体とは ==
 [[小胞体]]は[[脂質二重膜]]に囲まれた[[細胞内小器官]]であり、[[粗面小胞体]]と滑面小胞体からなる。粗面小胞体は多数の[[リボソーム]]が膜上に存在する外観から名付けられ、[[膜タンパク質]]および[[分泌タンパク質]]の合成を主な機能とする。一方、滑面小胞体は粗面小胞体ではない部分の総称であり、タンパク質輸送、[[脂質]]合成、物質代謝、[[オートファゴソーム]]生成などの多様な機能を担うとともに、[[細胞内カルシウムストア]]として機能する。
 [[小胞体]]は[[脂質二重膜]]に囲まれた[[細胞内小器官]]であり、[[粗面小胞体]]と滑面小胞体からなる。粗面小胞体は多数の[[リボソーム]]が膜上に存在する外観から名付けられ、[[膜タンパク質]]および[[分泌タンパク質]]の合成を主な機能とする。一方、滑面小胞体は粗面小胞体ではない部分の総称であり、タンパク質輸送、[[脂質]]合成、物質代謝、[[オートファゴソーム]]生成などの多様な機能を担うとともに、[[細胞内カルシウムストア]]として機能する。
[[ファイル:Ohkubo sER Fig1.png|サムネイル|'''図1. 小脳プルキンエ細胞の滑面小胞体'''<br>小胞体局在蛍光タンパク質により可視化された樹状突起における滑面小胞体の分布。スケールバー:40 &micro;m(左</pubmed></ref>、4 &micro;m(右)。文献<ref><pubmed>26631466</pubmed></ref>より改変。]]
[[ファイル:Ohkubo sER Fig1.png|サムネイル|'''図1. 小脳プルキンエ細胞の滑面小胞体'''<br>小胞体局在蛍光タンパク質により可視化された樹状突起における滑面小胞体の分布。スケールバー:40 &micro;m(左)、4 &micro;m(右)。文献<ref><pubmed>26631466</pubmed></ref>より改変。]]
== 構造 ==
== 構造 ==
 [[神経細胞]]において滑面小胞体は直径40〜80 nm程度の細管状形態を基本要素とし、細管が分岐・融合することで網状の形態を示す。また一部では扁平嚢状の形態を示し、細胞膜直下に形成される[[subsurface cistern]]や[[スパイン]]内部に形成される[[spine apparatus]]等の神経細胞に特徴的な形態が存在する<ref><pubmed>28559323</pubmed></ref>。スパイン、[[樹状突起]]、[[細胞体]]、[[軸索]]、[[シナプス前終末]]に至るまで、細胞全体に張り巡らされた一繋がりのネットワークを形成し<ref><pubmed>7519781</pubmed></ref>、各所で多様な機能を果たすと考えられる。スパイン内滑面小胞体については、[[海馬]][[CA1]][[錐体細胞]]では一部のスパインにしか存在しないが<ref><pubmed>8987748</pubmed></ref>、[[小脳]][[プルキンエ細胞]]ではほぼ全てのスパインに存在する<ref><pubmed>3199186</pubmed></ref>という多様性も見られる('''図1''')。
 [[神経細胞]]において滑面小胞体は直径40〜80 nm程度の細管状形態を基本要素とし、細管が分岐・融合することで網状の形態を示す。また一部では扁平嚢状の形態を示し、細胞膜直下に形成される[[subsurface cistern]]や[[スパイン]]内部に形成される[[spine apparatus]]等の神経細胞に特徴的な形態が存在する<ref><pubmed>28559323</pubmed></ref>。スパイン、[[樹状突起]]、[[細胞体]]、[[軸索]]、[[シナプス前終末]]に至るまで、細胞全体に張り巡らされた一繋がりのネットワークを形成し<ref><pubmed>7519781</pubmed></ref>、各所で多様な機能を果たすと考えられる。スパイン内滑面小胞体については、[[海馬]][[CA1]][[錐体細胞]]では一部のスパインにしか存在しないが<ref><pubmed>8987748</pubmed></ref>、[[小脳]][[プルキンエ細胞]]ではほぼ全てのスパインに存在する<ref><pubmed>3199186</pubmed></ref>という多様性も見られる('''図1''')。