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英略語:NKCC<br> | 英略語:NKCC<br> | ||
{{box|text= Na-K- | {{box|text= Na-K-2Cl共輸送体は、細胞膜上に局在し、Na<sup>+</sup>、K<sup>+</sup>と2個のCl<sup>-</sup>を同時に輸送するイオントランスポーターである。高等動物ではNKCC1 (SLC12A2)とNKCC2 (SLC12A1)の2つのサブファミリーが存在し、NKCC1はユビキタスに、NKCC2は主に腎臓の尿細管に発現する。主な働きとして、細胞内外へのイオン輸送の制御と、それによる生体・細胞内の容量制御に関与する。その他、神経細胞においては、NKCC1が細胞内Cl<sup>-</sup>濃度の調節に関与し、細胞内Cl<sup>-</sup>濃度はGABAやグリシン受容体など陰イオンチャネルを介する膜電位変化(脱分極・過分極)に影響を及ぼすため、神経機能、特に生体における脳機能・精神機能に重要な役割を果たすことが示唆されている。ヒトNKCC2は低カリウム血症などを起こすBartter症候群の原因遺伝子であることが報告されている。}} | ||
==NKCCとは== | ==NKCCとは== | ||
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[[ファイル:Inoue NKCC Fig1.png|thumb|'''図1. NKCC1/2の構造'''<br> | [[ファイル:Inoue NKCC Fig1.png|thumb|'''図1. NKCC1/2の構造'''<br> | ||
NKCC1/2(オレンジ色)はいずれも12回膜貫通型の膜タンパク質で、両末端は細胞質に局在している。いずれもエクソン4によってコードされる膜貫通領域(transmembrane region; TM)2付近(緑色の領域)のアミノ酸配列がイオン輸送に重要であることが示唆されており、NKCC2では異なるエクソン4が挿入されることにより、イオンへの親和性が異なるバリアントが存在する<ref name=Gimenez2002><pubmed>11815599</pubmed></ref> | NKCC1/2(オレンジ色)はいずれも12回膜貫通型の膜タンパク質で、両末端は細胞質に局在している。いずれもエクソン4によってコードされる膜貫通領域(transmembrane region; TM)2付近(緑色の領域)のアミノ酸配列がイオン輸送に重要であることが示唆されており、NKCC2では異なるエクソン4が挿入されることにより、イオンへの親和性が異なるバリアントが存在する<ref name=Gimenez2002><pubmed>11815599</pubmed></ref>。NKCC1/2はいずれもN末の細胞質領域(P)の複数のセリン/スレオニン残基がリン酸化酵素SPAK及びOSR1によりリン酸化されることによりイオントランスポート活性が増強される。文献<ref name=Garneau2020><pubmed>33052775</pubmed></ref>に基づき筆者作成。]] | ||
==構造== | ==構造== | ||
[[Solute carrier protein]] ([[溶質輸送体タンパク質]], Slc)12ファミリーに属する膜タンパク質は12回膜貫通型でN末、C末が細胞内に局在する構造を取る('''図1''')。NKCC1は約1200アミノ酸(サメ型は1191残基)を含み、[[ウェスタンブロッティング]]では見かけ上195kDaほどの大きさとなる。[[膜貫通領域]](transmembrane, TM)7-8の細胞外領域で[[グリコシル化]]([[糖鎖修飾]])を受けており、[[グルコシダーゼ]]による[[脱グリコシル化]]で、分子量から期待されるサイズである~130kDaでの検出となる<ref name=Xu1994><pubmed>8134373</pubmed></ref> 。 | [[Solute carrier protein]] ([[溶質輸送体タンパク質]], Slc)12ファミリーに属する膜タンパク質は12回膜貫通型でN末、C末が細胞内に局在する構造を取る('''図1''')。NKCC1は約1200アミノ酸(サメ型は1191残基)を含み、[[ウェスタンブロッティング]]では見かけ上195kDaほどの大きさとなる。[[膜貫通領域]](transmembrane, TM)7-8の細胞外領域で[[グリコシル化]]([[糖鎖修飾]])を受けており、[[グルコシダーゼ]]による[[脱グリコシル化]]で、分子量から期待されるサイズである~130kDaでの検出となる<ref name=Xu1994><pubmed>8134373</pubmed></ref> 。 |