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Lsd1欠損[[ES細胞]]では、[[リン酸化]]Dnmt1の脱メチル化が減少することでDnmt1の安定性が低下し、ゲノム全体のDNAメチル化レベルが減少する<ref name=Wang2009><pubmed>19098913</pubmed></ref>(ref 13)。この結果から、Lsd1は間接的にDNAのメチル化レベルも制御していると考えられる。 | Lsd1欠損[[ES細胞]]では、[[リン酸化]]Dnmt1の脱メチル化が減少することでDnmt1の安定性が低下し、ゲノム全体のDNAメチル化レベルが減少する<ref name=Wang2009><pubmed>19098913</pubmed></ref>(ref 13)。この結果から、Lsd1は間接的にDNAのメチル化レベルも制御していると考えられる。 | ||
[[下垂体]]前駆細胞マーカー遺伝子である[[paired like homeodomain 1]] ([[Pitx1]])を発現した細胞特異的にLsd1を欠損させたマウスでは、正常の下垂体が形成されるが、終末分化のマーカーである[[成長ホルモン]] | [[下垂体]]前駆細胞マーカー遺伝子である[[paired like homeodomain 1]] ([[Pitx1]])を発現した細胞特異的にLsd1を欠損させたマウスでは、正常の下垂体が形成されるが、終末分化のマーカーである[[成長ホルモン]]と[[甲状腺刺激ホルモンβ]]、[[性腺刺激ホルモン]]産生細胞([[ゴナドトローフ]])と[[副腎皮質刺激ホルモン]]産生細胞([[コルチコトローフ]])のそれぞれマーカーである[[黄体形成ホルモンβ]]と[[プロオピオメラノコルチン]]などの発現が、消失もしくは減少する。したがって、Lsd1は下垂体ホルモンの正しい発現に必須であると考えられている<ref name=Wang2007><pubmed>17392792</pubmed></ref>(ref 16)。 | ||
ES細胞でLsd1は、ニューロン分化に重要な遺伝子 ([[paired box 3]] ([[Pax3]]), [[achaete-scute family bHLH transcription factor 1]] ([[Ascl1]]), [[Zic family member 1]] ([[Zic1]]), [[Zic4]], [[neurogenin 1]] ([[Neurog1]]))の[[プロモーター]]のH3K4me2やH3K4me1を脱メチル化し、これらの遺伝子の発現を抑制することでES細胞の未分化性を維持している<ref name=Han2014><pubmed>25018020</pubmed></ref>(ref 17)。またこのLsd1による未分化性の維持機能は、[[E3ユビキチンリガーゼ]]である[[jade family PHD finger 2]] ([[Jade2]])によってLsd1が[[ユビキチン]]―[[プロテアソーム]]経路を介して分解されることで解除され、ES細胞が神経系[[細胞系譜]]に分化可能になる<ref name=Han2014 />(ref 17)。 | ES細胞でLsd1は、ニューロン分化に重要な遺伝子 ([[paired box 3]] ([[Pax3]]), [[achaete-scute family bHLH transcription factor 1]] ([[Ascl1]]), [[Zic family member 1]] ([[Zic1]]), [[Zic4]], [[neurogenin 1]] ([[Neurog1]]))の[[プロモーター]]のH3K4me2やH3K4me1を脱メチル化し、これらの遺伝子の発現を抑制することでES細胞の未分化性を維持している<ref name=Han2014><pubmed>25018020</pubmed></ref>(ref 17)。またこのLsd1による未分化性の維持機能は、[[E3ユビキチンリガーゼ]]である[[jade family PHD finger 2]] ([[Jade2]])によってLsd1が[[ユビキチン]]―[[プロテアソーム]]経路を介して分解されることで解除され、ES細胞が神経系[[細胞系譜]]に分化可能になる<ref name=Han2014 />(ref 17)。 |