「ヒストンアセチル基転移酵素」の版間の差分

 
(同じ利用者による、間の3版が非表示)
15行目: 15行目:


== 分類 ==
== 分類 ==
 ヒストンアセチル基転移酵素はその細胞内局在に基づいて核局在型のタイプAと細胞質局在型のタイプBの2つのクラスに大別されている<ref name=Sheikh2019><pubmed>30390049</pubmed></ref>。しかし、核・細胞質の両方で機能するなど、特定のクラスに分類できないヒストンアセチル基転移酵素もある。
 ヒストンアセチル基転移酵素はその細胞内局在に基づいて核局在型のタイプAと細胞質局在型のタイプBの2つのクラスに大別されている('''表1''')<ref name=Sheikh2019><pubmed>30390049</pubmed></ref>。しかし、核・細胞質の両方で機能するなど、特定のクラスに分類できないヒストンアセチル基転移酵素もある。


=== タイプA ===
=== タイプA ===
27行目: 27行目:


==== CBP/p300 ====
==== CBP/p300 ====
 CBPとp300はCBP/p300ファミリーのパラログである。CBPとp300の主要なタンパク質相互作用ドメインは、核受容体相互作用ドメイン、[[CREBおよびMYB相互作用ドメイン]]、[[KIXドメイン]](Ser133-リン酸化型CREB)、システイン/ヒスチジン領域(CH1およびCH3)、[[インターフェロン応答結合ドメイン]]である<ref name=Livengood2002><pubmed>11782467</pubmed></ref> 。CBP/p300は、アセチルトランスフェラーゼドメイン、ブロモドメイン、プラントホメオドメインタイプのジンクフィンガーモチーフを持っている。CBP/p300はヒストン以外にも多くの基質を有している。
 CBPとp300はCBP/p300ファミリーのパラログである。CBPとp300の主要なタンパク質相互作用ドメインは、核受容体相互作用ドメイン、リン酸化型CREB結合ドメイン、システイン/ヒスチジン領域(CH1およびCH3)、[[インターフェロン応答結合ドメイン]]である<ref name=Livengood2002><pubmed>11782467</pubmed></ref> 。CBP/p300は、アセチルトランスフェラーゼドメイン、ブロモドメイン、プラントホメオドメインタイプのジンクフィンガーモチーフを持っている。CBP/p300はヒストン以外にも多くの基質を有している。


=== タイプB ===
=== タイプB ===
 細胞質に存在し、新しく合成されたヒストンをヌクレオソームに組み込む前にアセチル化する。タイプBのヒストンアセチル基転移酵素によってヒストンに付加されたアセチル基は、核に移行してヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)によって脱アセチル化される。[[Hat1]]は、タイプBのヒストンアセチル基転移酵素の数少ない例の1つである。
 細胞質に存在し、新しく合成されたヒストンをヌクレオソームに組み込む前にアセチル化する。タイプBのヒストンアセチル基転移酵素によってヒストンに付加されたアセチル基は、核に移行してヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)によって脱アセチル化される。[[Hat1]]は、タイプBのヒストンアセチル基転移酵素の数少ない例の1つであるが、構造的・機能的にはGNATファミリーに属するとも考えられている。


{| class="wikitable"
{| class="wikitable"
|+表1. ヒストンアセチル基転移酵素の分類
|+表1. ヒトのヒストンアセチル基転移酵素の分類
! ファミリー !! メンバー !! 他の名称 !! 基質
! ファミリー !! メンバー !! 他の名称 !! 基質
|-
|-