「アカシジア」の版間の差分

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==== ムズムズ脚症候群 ====
==== ムズムズ脚症候群 ====
 ムズムズ脚症候群(restless-leg syndrom, RLS)<ref name=Ekbom1960><pubmed>13726241</pubmed></ref><ref name=稲田2017></ref>11,15)とアカシジアはいずれも内的不穏症状と下肢の運動亢進症状という症候学的類似性から、両者の異同はしばしば鑑別診断に挙げられる。八木ら(1991)<ref name=八木1991></ref>2)は、広義のアカシジア概念のなかに、[[神経症性アカシジア]]、[[下肢限局性アカシジア]](ムズムズ脚症候群)、薬原性アカシジアが含まれるとし、特発性ムズムズ脚症候群と薬原性アカシジアは、広義のアカシジア概念の中に棲み分けられている。類似の臨床症状を呈する両者は同様の病態生理が考えられているが、抗精神病薬等で発症する薬原性アカシジアを狭義のアカシジアと捉え、広義のアカシジアに含まれる特発性のムズムズ脚症候群との鑑別がしばしば論じられている<ref name=Ekbom2009><pubmed>19817966</pubmed></ref><ref name=堀口1999>堀口淳、山下英尚、倉本恭成、水野創一: アカシジアの最近の動向. 日本神経精神薬理学雑誌 19: 1-9, 1999</ref>30,31)。抗精神病薬服用患者の約3%は疫学的にムズムズ脚症候群素因者であると見積もられており、特発性ムズムズ脚症候群でしばしば認められる血清鉄値の低下は薬原性アカシジアの危険因子と考えられている。特発性ムズムズ脚症候群では下肢の異常感覚が一次症状としてあり、症状は夜間就床時の眠気とともに発現し、入眠困難をきたすといった特徴があるのに対して、薬原性アカシジアは日中の起きている時間に症状が増強し、「動きたい」という強い衝動が一次症状である点が異なる。抗精神病薬惹起性のアカシジアでは他の薬原性錐体外路症状と同様に睡眠中にはみられない<ref name=Hirose2003><pubmed>14609248</pubmed></ref>5)。
 ムズムズ脚症候群(restless-leg syndrom, RLS)<ref name=Ekbom1960><pubmed>13726241</pubmed></ref><ref name=稲田2017></ref>11,15)とアカシジアはいずれも内的不穏症状と下肢の運動亢進症状という症候学的類似性から、両者の異同はしばしば鑑別診断に挙げられる。八木ら(1991)<ref name=八木1991></ref>2)は、広義のアカシジア概念のなかに、[[神経症性アカシジア]]、[[下肢限局性アカシジア]](ムズムズ脚症候群)、薬原性アカシジアが含まれるとし、特発性ムズムズ脚症候群と薬原性アカシジアは、広義のアカシジア概念の中に棲み分けられている。類似の臨床症状を呈する両者は同様の病態生理が考えられているが、抗精神病薬等で発症する薬原性アカシジアを狭義のアカシジアと捉え、広義のアカシジアに含まれる特発性のムズムズ脚症候群との鑑別がしばしば論じられている<ref name=Ekbom2009><pubmed>19817966</pubmed></ref><ref name=堀口1999>'''堀口淳、山下英尚、倉本恭成、水野創一 (1999).<br>'''アカシジアの最近の動向. ''日本神経精神薬理学雑誌'' 19: 1-9</ref>30,31)。抗精神病薬服用患者の約3%は疫学的にムズムズ脚症候群素因者であると見積もられており、特発性ムズムズ脚症候群でしばしば認められる血清鉄値の低下は薬原性アカシジアの危険因子と考えられている。特発性ムズムズ脚症候群では下肢の異常感覚が一次症状としてあり、症状は夜間就床時の眠気とともに発現し、入眠困難をきたすといった特徴があるのに対して、薬原性アカシジアは日中の起きている時間に症状が増強し、「動きたい」という強い衝動が一次症状である点が異なる。抗精神病薬惹起性のアカシジアでは他の薬原性錐体外路症状と同様に睡眠中にはみられない<ref name=Hirose2003><pubmed>14609248</pubmed></ref>5)。


==== 遅発性ジスキネジア ====
==== 遅発性ジスキネジア ====