「14-3-3タンパク質」の版間の差分

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== 研究の歴史 ==
== 研究の歴史 ==
 14-3-3 タンパク質(以下14-3-3)は、1965年B.W. Mooreによって、ウシ脳の可溶性画分において発見され、DEAEセルロースクロマトグラフィーでの分画番号とその後のゲル電気移動での移動位置の組み合わせによって命名された一群の酸性タンパク質である<ref name=Moore1965><pubmed>4953930</pubmed></ref>[1]。神経細胞に特異的に発現し(可溶性タンパク質の約1%)、神経軸索流によって神経終末(シナプス部)に輸送されることが報告されていたが<ref name=Erickson1980><pubmed>6161216</pubmed></ref><ref name=Boston1982><pubmed>7038050</pubmed></ref>[2][3]、その構造と機能は発見から約20年間にわたり不明であった。
 14-3-3 タンパク質(以下14-3-3)は、1965年B. W. Mooreによって、[[ウシ]][[脳]]の可溶性画分において発見され、[[DEAEセルロースクロマトグラフィー]]での分画番号とその後の[[ゲル電気移動]]での移動位置の組み合わせによって命名された一群の酸性タンパク質である<ref name=Moore1965><pubmed>4953930</pubmed></ref>[1]。[[神経細胞]]に特異的に発現し(可溶性タンパク質の約1%)、神経[[軸索流]]によって[[神経終末]]([[シナプス]]部)に輸送されることが報告されていたが<ref name=Erickson1980><pubmed>6161216</pubmed></ref><ref name=Boston1982><pubmed>7038050</pubmed></ref>[2][3]、その構造と機能は発見から約20年間にわたり不明であった。


 1987年、このタンパク質の最初の機能として、カテコールアミンとセロトニン生合成経路の律速段階酵素(チロシン水酸化酵素[TH]とトリプトファン水酸化酵素[TPH])を、カルシウム/カルモデュリン依存性タンパク質キナーゼII (CaMKII) <ref name=Yamauchi1981><pubmed>6113235</pubmed></ref>[4]によるリン酸化反応に依存して活性化する能力が報告された<ref name=Ichimura1987><pubmed>2885229</pubmed></ref>[5]。次いで、このタンパク質の分子構造<ref name=Ichimura1988><pubmed>2902623</pubmed></ref>[6]とリン酸化依存性相互作用<ref name=Furukawa1993><pubmed>8101440</pubmed></ref>[7]が明らかにされ、さらにこれが互いに構造が類似した複数の成分からなるmulti-geneファミリーを形成していることが証明された<ref name=Shinkai1996><pubmed>8721374</pubmed></ref>[8]。
 1987年、このタンパク質の最初の機能として、[[カテコールアミン]]と[[セロトニン]]生合成経路の[[律速段階酵素]]([[チロシン水酸化酵素]][TH]と[[トリプトファン水酸化酵素]][TPH])を、[[カルシウム/カルモデュリン依存性タンパク質キナーゼII]] ([[CaMKII]]) <ref name=Yamauchi1981><pubmed>6113235</pubmed></ref>[4]によるリン酸化反応に依存して活性化する能力が報告された<ref name=Ichimura1987><pubmed>2885229</pubmed></ref>[5]。次いで、このタンパク質の分子構造<ref name=Ichimura1988><pubmed>2902623</pubmed></ref>[6]と[[リン酸化]]依存性相互作用<ref name=Furukawa1993><pubmed>8101440</pubmed></ref>[7]が明らかにされ、さらにこれが互いに構造が類似した複数の成分からなるmulti-geneファミリーを形成していることが証明された<ref name=Shinkai1996><pubmed>8721374</pubmed></ref>[8]。


 現在ではこのファミリーがヒトから植物、酵母に至る真核生物に広汎に分布すること、また細胞膜から核内に至る細胞反応の調節に深く関与していることが分かっている。
 現在ではこのファミリーが[[ヒト]]から[[植物]]、[[酵母]]に至る[[真核生物]]に広汎に分布すること、また[[細胞膜]]から[[核]]内に至る細胞反応の調節に深く関与していることが分かっている。


== 構造 ==
== 構造 ==