「膜融合」の版間の差分

サイズ変更なし 、 2012年4月18日 (水)
36行目: 36行目:
==ウイルスと宿主細胞の膜融合==
==ウイルスと宿主細胞の膜融合==


 [[wikipedia:JA:エンベローブウイルス|エンベローブウイルス]]は脂質二重層からなる膜を持つ。ウイルスは細胞の表面タンパク質に結合し、多くの場合エンドサイトーシスを経て、侵入する。エンベローブウイルス表面にあるタンパク質は[[wikipedia:JA:エンベローブタンパク質|エンベローブタンパク質]]と呼ばれ、そのうちのウイルスと宿主細胞の膜融合に関わる膜融合タンパク質は立体構造上の特徴によって2つに分類できる。クラスI融合タンパク質は、[[wikipedia:JA:インフルエンザウイルス|インフルエンザウイルス]]の[[wikipedia:JA:ヘマグルチニン|ヘマグルチニン]](HA2)や[[wikipedia:JA:エボラウイルス|エボラウイルス]]の[[wikipedia:JA:GP2タンパク質|GP2タンパク質]]、[[wikipedia:JA:HIV|HIV]]の[[wikipedia:JA:gp41|gp41]]などに見られる。クラスII融合タンパク質は、[[wikipedia:JA:セムリキ森林熱ウイルス|セムリキ森林熱ウイルス]](SFV)の[[wikipedia:JA:E1タンパク質|E1タンパク質]]や[[wikipedia:JA:デングウイルス|デングウイルス]]および[[wikipedia:JA:フラビウイルス|フラビウイルス]]の[[wikipedia:JA:Eタンパク質|Eタンパク質]]等に見られる。ウイルス表面に不活性な膜貫通型ウイルスタンパク質として存在する。
 [[wikipedia:JA:エンベロープウイルス|エンベロープウイルス]]は脂質二重層からなる膜を持つ。ウイルスは細胞の表面タンパク質に結合し、多くの場合エンドサイトーシスを経て、侵入する。エンベローブウイルス表面にあるタンパク質は[[wikipedia:JA:エンベローブタンパク質|エンベローブタンパク質]]と呼ばれ、そのうちのウイルスと宿主細胞の膜融合に関わる膜融合タンパク質は立体構造上の特徴によって2つに分類できる。クラスI融合タンパク質は、[[wikipedia:JA:インフルエンザウイルス|インフルエンザウイルス]]の[[wikipedia:JA:ヘマグルチニン|ヘマグルチニン]](HA2)や[[wikipedia:JA:エボラウイルス|エボラウイルス]]の[[wikipedia:JA:GP2タンパク質|GP2タンパク質]]、[[wikipedia:JA:HIV|HIV]]の[[wikipedia:JA:gp41|gp41]]などに見られる。クラスII融合タンパク質は、[[wikipedia:JA:セムリキ森林熱ウイルス|セムリキ森林熱ウイルス]](SFV)の[[wikipedia:JA:E1タンパク質|E1タンパク質]]や[[wikipedia:JA:デングウイルス|デングウイルス]]および[[wikipedia:JA:フラビウイルス|フラビウイルス]]の[[wikipedia:JA:Eタンパク質|Eタンパク質]]等に見られる。ウイルス表面に不活性な膜貫通型ウイルスタンパク質として存在する。


 これらの融合タンパク質は、ウイルスと細胞表面の受容体との結合や、エンドサイトーシス後の[[エンドソーム]]への移行に伴う[[wikipedia:JA:pH|pH]]変化をきっかけに、融合タンパク質に著しい構造変化がおき、疎水性アミノ酸等の露出を伴って宿主細胞の膜に結合することが可能になる。この際、ウイルス膜と細胞膜が近接し、膜融合が起こると考えられている<ref><pubmed> 16357862 </pubmed></ref>。
 これらの融合タンパク質は、ウイルスと細胞表面の受容体との結合や、エンドサイトーシス後の[[エンドソーム]]への移行に伴う[[wikipedia:JA:pH|pH]]変化をきっかけに、融合タンパク質に著しい構造変化がおき、疎水性アミノ酸等の露出を伴って宿主細胞の膜に結合することが可能になる。この際、ウイルス膜と細胞膜が近接し、膜融合が起こると考えられている<ref><pubmed> 16357862 </pubmed></ref>。