「小胞モノアミントランスポーター」の版間の差分

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 VMATの機能は、小胞内外のH<sup>+</sup>の電気化学的勾配を駆動力としてモノアミンを小胞内に輸送し、開口放出に備えて貯蔵することである。VMAT1とVMAT2の場合、1分子のモノアミンを取り込むために、2分子のH<sup>+</sup>が必要となる。H<sup>+</sup>は、V型ATPアーゼのATP加水分解によって産生され、小胞内に移動される。これにより膜内外でpHの勾配が生じるため、VMATはH<sup>+</sup>とモノアミンを対向輸送することで、小胞内にモノアミンを取り込んでいる(図2)<ref name=ref2><pubmed>19259829</pubmed></ref>。また、ClC-3やClC-7などのCl<sup>-</sup>チャネルにより流入したCl<sup>-</sup>イオンが小胞膜を脱分極し、膜内外における電荷のバランスを維持している。これは、正に帯電したモノアミンを取り込む際の反発力を抑制するため、膜電位を負ないし中性に維持する必要があるためと考えられる。   
 VMATの機能は、小胞内外のH<sup>+</sup>の電気化学的勾配を駆動力としてモノアミンを小胞内に輸送し、開口放出に備えて貯蔵することである。VMAT1とVMAT2の場合、1分子のモノアミンを取り込むために、2分子のH<sup>+</sup>が必要となる。H<sup>+</sup>は、V型ATPアーゼのATP加水分解によって産生され、小胞内に移動される。これにより膜内外でpHの勾配が生じるため、VMATはH<sup>+</sup>とモノアミンを対向輸送することで、小胞内にモノアミンを取り込んでいる(図2)<ref name=ref1><pubmed>19259829</pubmed></ref>。また、ClC-3やClC-7などのCl<sup>-</sup>チャネルにより流入したCl<sup>-</sup>イオンが小胞膜を脱分極し、膜内外における電荷のバランスを維持している。これは、正に帯電したモノアミンを取り込む際の反発力を抑制するため、膜電位を負ないし中性に維持する必要があるためと考えられる。   
[[Image:モノアミン貯蔵の仕組み.jpg|thumb|250px|'''図2.VMATによる小胞内へのモノアミン取り込み機構'''<br>文献<ref name=ref2 />から改変]]
[[Image:モノアミン貯蔵の仕組み.jpg|thumb|250px|'''図2.VMATによる小胞内へのモノアミン取り込み機構'''<br>文献<ref name=ref1 />から改変]]
 
 モノアミンの合成と小胞輸送は従来、それぞれ独立した過程と考えられていたが、小胞輸送の効率化のため、これらは一連の過程であるとする説がある。例えば、シナプス小胞膜上のVMAT2は、ドーパミン合成酵素であるチロシンヒドロキシラーゼや芳香族アミノ酸脱炭酸酵素、シャペロンタンパク質であるHsc70と複合体を形成しており、合成されたドーパミンを素早く効率的に小胞内に取り込んでいる、というモデルが提示されている<ref><pubmed>21797260</pubmed></ref>。これは、合成されたモノアミンの細胞質への拡散を最小限に抑え、酸化やそれに伴う毒性発現を抑制する上で重要と考えられる。
 
 モノアミンの合成と小胞輸送は従来、それぞれ独立した過程と考えられていたが、小胞内へのモノアミン輸送の効率化のため、VMATが他のタンパク質と複合体を形成するというモデルがある。例えば、シナプス小胞膜上のVMAT2は、ドーパミン合成酵素であるチロシンヒドロキシラーゼや芳香族アミノ酸脱炭酸酵素、シャペロンタンパク質であるHsc70と複合体を形成しており、合成されたドーパミンを素早く効率的に小胞内に取り込むというモデルが提示されている<ref><pubmed>21797260</pubmed></ref>




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