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中枢性病変に起因する運動麻痺の回復は、筋力が直線的に増強していくというものではなく、共同運動と呼ばれる、パターン化された筋収縮がおこる。一般的に上肢の場合は屈曲が、下肢の場合は伸展がより容易であるといった特性がある。上肢を挙上しようとすると、肩甲骨の挙上後退、肩関節が外転、外旋もしくは内旋、肘関節が屈曲、手関節と手指が屈曲するパターンをとりやすい。下肢の場合は股関節の伸展・内旋・内転、膝関節の伸展、足関節の底屈・内反と足趾の底屈が生じやすい。機能回復がすすむにつれ、次第に各筋が分離した収縮が可能になる。Brunnstromのステージ分類をみるとその推移が理解できる(表1)。国際的によく用いられるさらに詳細な評価としてはFugl-Meyer運動スケールがある(表2)。上肢66点下肢34点、合計100点満点である。 | |||
表1 Brunnstromステージ | |||
上 肢 stage I 弛緩性麻痺 | |||
stage II 上肢のわずかな随意運動 | |||
stage III 座位で肩・肘の同時屈曲、同時伸展 | |||
stage IV 腰の後方へ手をつける。肘を伸展させて上肢を前方水平へ挙上。肘90°屈曲位での前腕回内・回外 | |||
stage V 肘を伸展させて上肢を横水平へ挙上、また前方頭上へ挙上、肘伸展位での前腕回内・回外 | |||
stage VI 各関節の分離運動 | |||
手 指 stage I 弛緩性麻痺 | |||
stage II 自動的手指屈曲わずかに可能 | |||
stage III 全指同時握り、釣形握り(握りだけ)伸展は反射だけで、随意的な手指伸展不能 | |||
stage IV 横つまみ(母指は離せない)少ない範囲での半随意的手指伸展 | |||
stage V 対向つまみ、筒握り、球握り、随意的な手指伸展(範囲は一定せず) | |||
stage VI 全種類の握り、全可動域の手指伸展。すべての指の分離運動 | |||
下 肢 stage I 弛緩性麻痺 | |||
stage II 下肢のわずかな随意運動 | |||
stage III 座位・立位での股・膝・足の同時屈曲 | |||
stage IV 座位で足を床の後方へすべらせて、膝を90°屈曲。踵を床から離さずに随意的に足関節背屈 | |||
stage V 立位で股伸展位、またはそれに近い肢位、免荷した状態で膝屈曲分離運動。立位、膝伸展位で、 | |||
足を少し前に踏み出して足関節背屈分離運動 | |||
stage VI 立位で、骨盤の挙上による範囲を超えた股外転。座位で、内・外側ハムストリングスの相反的活動と | |||
結果として足内反と外反を伴う膝を中心とした下腿の内・外旋 | |||
表2 Fugl-Meyer運動スケール | |||
I. 上肢 計66点 | |||
A.肩・肘・前腕(計36点) | |||
1. 上肢反射(各2点、計4点) | |||
屈筋群:二頭筋・指屈筋群 | |||
伸筋群:三頭筋 | |||
点数 0:反射消失 | |||
2:反射亢進 | |||
2.1 屈筋共同運動(各2点、計12点) | |||
姿勢:坐位。麻痺側の耳まで腕を挙上。 | |||
前腕完全回外 | |||
肘完全屈曲 | |||
肩少なくとも90度外転 | |||
肩外旋 | |||
肩挙上 | |||
肩を引く | |||
点数 0:全く運動できない | |||
1:部分的にのみ運動できる | |||
2:すべて運動できる | |||
2.2 伸筋共同運動(各2点、計6点) | |||
姿勢:坐位、開始肢位:屈筋共同運動の最終肢位から非麻痺側の膝に向かって腕を動かす。開始肢位を維持できなければ、他動的に持っても良い。 | |||
肩内転と内旋 | |||
肘伸展 | |||
前腕回内 | |||
点数 0:全く運動できない | |||
1:部分的にのみ運動できる | |||
2:すべて運動できる | |||
3. 屈筋-伸筋共同運動の混合(各2点、計6点) | |||
手を腰椎に持ってくる | |||
点数 0:全く運動できない | |||
1:重力による代償なしに手を腸骨の前上方までもってこれる | |||
2:完全に運動できる | |||
肘完全伸展・前腕中間位で肩90度屈曲 | |||
点数 0:運動開始直後の肩が外転もしくは肘屈曲 | |||
1:運動の最後で肩外転もしくは肘屈曲 | |||
2:完全に運動できる | |||
肩0度、肘90度屈曲で前腕回内・回外 | |||
点数 0:肢位がとれない。又は回内外が全く不可。 | |||
1:回内外が部分的に実行できる | |||
2:完全に実行できる | |||
4.分離運動(各2点、計6点) | |||
姿勢:坐位 | |||
肘完全伸展・前腕中間位で肩90度外転 | |||
点数 0:開始時に肘が屈曲したり、前腕が回内する | |||
1:部分的に運動が可能。もしくは肘の屈曲や前腕の回内が維持できない。 | |||
2:完全に実行できる | |||
肘完全伸展・前腕中間位で肩90~180度屈曲 | |||
点数 0:開始直後に肩が外転もしくは肘屈曲する。 | |||
1:運動の最後で肩外転もしくは肘屈曲する | |||
2:完全に実行できる | |||
肘完全伸展・肩関節は30~90度屈曲位で維持して、前腕回内回外 | |||
点数 0:肢位がとれない。又は回内外が全く不可。 | |||
1:回内外が部分的に実行できる。 | |||
2:完全に実行できる。 | |||
5. 正常な反射活動(2点) | |||
4の項目で満点の場合のみつける | |||
二頭筋、指屈筋、三頭筋反射 | |||
点数 0:3つの反射のうち少なくとも2つが著しく過活動のとき | |||
1:1つの反射が著しく過活動、もしくは少なくとも2つは活動的 | |||
2:1つの反射が活動的、もしくは著しい過活動が全くない | |||
B.手関節(各2点、計10点) | |||
肩0・肘90度屈曲・前腕完全回内位での手関節背屈15度での手首の固定性(肘関節の肢位は介助可) | |||
点数 0:手関節背屈15度ができない | |||
1:背屈はできるが、抵抗を与えられない | |||
2:その位置を維持でき、わずかな抵抗をかけられる。 | |||
肩0度、肘90度屈曲、前腕完全回内位における手関節掌屈背屈の反復(肘関節の肢位は介助可) | |||
点数 0:随意運動が起こらない | |||
1:全可動域を自動的に動かすことができない。 | |||
2:完全に実行できる | |||
肩軽度屈曲もしくは軽度外転位、肘完全伸展位、前腕回内位における手関節背屈15度での手首の固定性(肘関節の肢位は介助可) | |||
点数 0:手関節背屈15度ができない | |||
1:背屈はできるが、抵抗を与えられない | |||
2:その位置を維持でき、わずかな抵抗をかけることもできる | |||
肩軽度屈曲もしくは軽度外転位、肘完全伸展位、前腕回内位における手関節掌背屈の反復(肘関節の肢位は介助可) | |||
点数 0:随意運動が起こらない | |||
1:全可動域を自動的に動かせない | |||
2:完全に実行できる | |||
手関節の回転運動 | |||
点数 0:回転ができない | |||
1:拙劣な動きもしくは不完全な回転 | |||
2:完全に実行できる | |||
C.手指(各2点、計14点) | |||
全体の屈曲 | |||
点数 0:屈曲が起こらない | |||
1:幾分屈曲するが、完全には屈曲しない | |||
2:非麻痺側と比較して完全に屈曲する | |||
全体の伸展 | |||
開始肢位:完全屈曲位(他動的でも可) | |||
点数 0:伸展が起こらない | |||
1:幾分伸展するが、完全には伸展しない | |||
2:非麻痺側と比較して完全に伸展する | |||
Pip-Dip Hook | |||
抵抗をかけて検査する | |||
点数 0:Hookの状態ができない | |||
1:Hookはできるが力が弱い | |||
2:比較的抵抗をかけても維持できる | |||
Lateral-Pinch | |||
紙を使用。母指CM,IP関節は0度。 | |||
点数 0:実行できない | |||
1:保持できるが軽く引くと保持できない | |||
2:引いても保持可 | |||
指腹つまみ | |||
ペンを母指と示指の指腹でつまむ | |||
点数 0:実行できない | |||
1:保持できるが軽く引くと保持不可。 | |||
2:引いても保持可。 | |||
Cylinder Grasp | |||
小さな缶を握らせる | |||
点数 0:実行できない | |||
1:保持できるが軽く引くと保持不可。 | |||
2:引いてもその状態を保持可。 | |||
Spherical Grasp | |||
ボールを持たせる。 | |||
点数 0:実行できない | |||
1:保持できるが軽く引くと保持不可。 | |||
2:引いてもその状態を保持可。 | |||
D.協調性・スピード | |||
(各2点、計6点) | |||
指―鼻試験を5回できる限り速く行い、非麻痺側と比較。 | |||
振戦 | |||
点数 0:著明な振戦 | |||
1:わずかな振戦 | |||
2:振戦は認められない。 | |||
測定障害 | |||
点数 0:著しいもしくは非対称的な測定障害 | |||
1:わずかなもしくは対称的な測定障害 | |||
2:測定障害は認められない | |||
スピード | |||
点数 0:反復時間が非麻痺側より6秒以上遅い | |||
1:2~5秒遅い | |||
2:2秒以内遅い | |||
II. 下肢 計34点 | |||
A.股膝足(各2点。計28点) | |||
1. 下肢反射(各2点,計4点) | |||
姿勢:背臥位 | |||
伸筋群:膝蓋腱反射 | |||
屈筋群:ハムストリングス・アキレス腱反射 | |||
点数 0:消失 | |||
2:反射亢進 | |||
2.1 屈筋共同運動 | |||
(各2点、計6点) | |||
姿勢:背臥位。股・膝・足関節を最大に屈曲させる。膝屈筋群は腱を触診する。 | |||
股関節屈曲 | |||
膝関節屈曲 | |||
足関節背屈 | |||
点数 0:まったく運動できない | |||
1:部分的にのみ運動できる | |||
2:3つの関節すべて運動できる | |||
2.2 伸筋共同運動 | |||
(各2点,計8点) | |||
開始肢位:屈筋共同運動の最終肢位から抵抗をかけながら,股・膝・足関節を伸展させる(重力による代償を防ぐ)。股伸展と同時に内転が起こるので,組み合わせて評価する。 | |||
股関節伸展 | |||
股関節内転 | |||
膝関節伸展 | |||
足関節底屈 | |||
点数 0:まったく運動できない | |||
1:非常に弱い力である。 | |||
2:非麻痺側に近い力が出せる。 | |||
3. 屈筋―伸筋共同運動の混合 | |||
(各2点、計4点) | |||
姿勢:坐位。 | |||
膝を90度近くまで屈曲する。 | |||
点数 0:まったく運動できない | |||
1:伸展状態から多少屈曲できるが、90度まではできない(ハムストリングスを触診)。 | |||
2:90度近くまで屈曲できる。 | |||
足関節背屈 | |||
点数 0:まったく運動できない | |||
1:自動的な屈曲が弱い | |||
2:正常な背屈ができる。 | |||
4. 分離運動(各2点,計4点) | |||
姿勢:立位 | |||
股関節は0度もしくはやや伸転位で、膝関節を90度屈曲する。 | |||
点数 0:股関節を屈曲させなければ膝はまったく屈曲できない。 | |||
1:膝は90度まで完全に屈曲不可。もしくは股関節が屈曲する。 | |||
2:完全に実行できる。 | |||
足関節を背屈する | |||
点数 0:背屈できない | |||
1:完全に背屈できない | |||
2:完全に実行できる | |||
5. 正常な反射活動 | |||
4の項目で満点の場合のみつける | |||
膝蓋腱、ハムストリングス、アキレス腱反射 | |||
点数 0:3つの反射のうち少なくとも2つが著しく過活動のとき | |||
1:1つの反射が著しく過活動、もしくは少なくとも2つは活動的 | |||
2:1つの反射が活動的、もしくは著しい過活動が全くない。 | |||
B.協調性・スピード | |||
(各2点,計6点) | |||
姿勢:背臥位。踵―膝試験をできるだけ速く5回繰り返す(非麻痺側と比較)。 | |||
振戦 | |||
点数 0:著明な振戦 | |||
1:わずかな振戦 | |||
2:振戦は認められない | |||
測定障害 | |||
点数 0:著しい,もしくは非対称的な測定障害 | |||
1:わずかな,もしくは対称的な測定障害 | |||
2:測定障害は認められない | |||
スピード | |||
点数 0:反復時間が,非麻痺側より6秒以上遅い | |||
1:2~5秒遅い | |||
2:2秒以内のとき | |||
文献 | |||
Brunnstrom S. Motor testing procedures in hemiplegia: based on sequential recovery stages. Phys Ther 1966;46:357-375 | |||
Fugl-Meyer AR, Jaasko L, Leyman I, Olsson S, Steglind S. The post-stroke hemiplegic patient. 1. A method for evaluation of physical performance. Scand J Rehabil Med. 1975;7:13-31 | |||
2012年5月2日 (水) 14:50時点における版
中枢性病変に起因する運動麻痺の回復は、筋力が直線的に増強していくというものではなく、共同運動と呼ばれる、パターン化された筋収縮がおこる。一般的に上肢の場合は屈曲が、下肢の場合は伸展がより容易であるといった特性がある。上肢を挙上しようとすると、肩甲骨の挙上後退、肩関節が外転、外旋もしくは内旋、肘関節が屈曲、手関節と手指が屈曲するパターンをとりやすい。下肢の場合は股関節の伸展・内旋・内転、膝関節の伸展、足関節の底屈・内反と足趾の底屈が生じやすい。機能回復がすすむにつれ、次第に各筋が分離した収縮が可能になる。Brunnstromのステージ分類をみるとその推移が理解できる(表1)。国際的によく用いられるさらに詳細な評価としてはFugl-Meyer運動スケールがある(表2)。上肢66点下肢34点、合計100点満点である。
表1 Brunnstromステージ
上 肢 stage I 弛緩性麻痺 stage II 上肢のわずかな随意運動 stage III 座位で肩・肘の同時屈曲、同時伸展 stage IV 腰の後方へ手をつける。肘を伸展させて上肢を前方水平へ挙上。肘90°屈曲位での前腕回内・回外 stage V 肘を伸展させて上肢を横水平へ挙上、また前方頭上へ挙上、肘伸展位での前腕回内・回外 stage VI 各関節の分離運動 手 指 stage I 弛緩性麻痺 stage II 自動的手指屈曲わずかに可能 stage III 全指同時握り、釣形握り(握りだけ)伸展は反射だけで、随意的な手指伸展不能 stage IV 横つまみ(母指は離せない)少ない範囲での半随意的手指伸展 stage V 対向つまみ、筒握り、球握り、随意的な手指伸展(範囲は一定せず) stage VI 全種類の握り、全可動域の手指伸展。すべての指の分離運動 下 肢 stage I 弛緩性麻痺 stage II 下肢のわずかな随意運動 stage III 座位・立位での股・膝・足の同時屈曲 stage IV 座位で足を床の後方へすべらせて、膝を90°屈曲。踵を床から離さずに随意的に足関節背屈 stage V 立位で股伸展位、またはそれに近い肢位、免荷した状態で膝屈曲分離運動。立位、膝伸展位で、 足を少し前に踏み出して足関節背屈分離運動 stage VI 立位で、骨盤の挙上による範囲を超えた股外転。座位で、内・外側ハムストリングスの相反的活動と
結果として足内反と外反を伴う膝を中心とした下腿の内・外旋
表2 Fugl-Meyer運動スケール I. 上肢 計66点 A.肩・肘・前腕(計36点) 1. 上肢反射(各2点、計4点) 屈筋群:二頭筋・指屈筋群 伸筋群:三頭筋 点数 0:反射消失 2:反射亢進 2.1 屈筋共同運動(各2点、計12点) 姿勢:坐位。麻痺側の耳まで腕を挙上。 前腕完全回外 肘完全屈曲 肩少なくとも90度外転 肩外旋 肩挙上 肩を引く 点数 0:全く運動できない 1:部分的にのみ運動できる 2:すべて運動できる 2.2 伸筋共同運動(各2点、計6点) 姿勢:坐位、開始肢位:屈筋共同運動の最終肢位から非麻痺側の膝に向かって腕を動かす。開始肢位を維持できなければ、他動的に持っても良い。 肩内転と内旋 肘伸展 前腕回内 点数 0:全く運動できない 1:部分的にのみ運動できる 2:すべて運動できる 3. 屈筋-伸筋共同運動の混合(各2点、計6点) 手を腰椎に持ってくる 点数 0:全く運動できない 1:重力による代償なしに手を腸骨の前上方までもってこれる 2:完全に運動できる 肘完全伸展・前腕中間位で肩90度屈曲 点数 0:運動開始直後の肩が外転もしくは肘屈曲 1:運動の最後で肩外転もしくは肘屈曲 2:完全に運動できる 肩0度、肘90度屈曲で前腕回内・回外 点数 0:肢位がとれない。又は回内外が全く不可。 1:回内外が部分的に実行できる 2:完全に実行できる 4.分離運動(各2点、計6点) 姿勢:坐位 肘完全伸展・前腕中間位で肩90度外転 点数 0:開始時に肘が屈曲したり、前腕が回内する 1:部分的に運動が可能。もしくは肘の屈曲や前腕の回内が維持できない。 2:完全に実行できる 肘完全伸展・前腕中間位で肩90~180度屈曲 点数 0:開始直後に肩が外転もしくは肘屈曲する。 1:運動の最後で肩外転もしくは肘屈曲する 2:完全に実行できる 肘完全伸展・肩関節は30~90度屈曲位で維持して、前腕回内回外 点数 0:肢位がとれない。又は回内外が全く不可。 1:回内外が部分的に実行できる。 2:完全に実行できる。 5. 正常な反射活動(2点) 4の項目で満点の場合のみつける 二頭筋、指屈筋、三頭筋反射 点数 0:3つの反射のうち少なくとも2つが著しく過活動のとき 1:1つの反射が著しく過活動、もしくは少なくとも2つは活動的 2:1つの反射が活動的、もしくは著しい過活動が全くない B.手関節(各2点、計10点) 肩0・肘90度屈曲・前腕完全回内位での手関節背屈15度での手首の固定性(肘関節の肢位は介助可) 点数 0:手関節背屈15度ができない 1:背屈はできるが、抵抗を与えられない 2:その位置を維持でき、わずかな抵抗をかけられる。 肩0度、肘90度屈曲、前腕完全回内位における手関節掌屈背屈の反復(肘関節の肢位は介助可) 点数 0:随意運動が起こらない 1:全可動域を自動的に動かすことができない。 2:完全に実行できる 肩軽度屈曲もしくは軽度外転位、肘完全伸展位、前腕回内位における手関節背屈15度での手首の固定性(肘関節の肢位は介助可) 点数 0:手関節背屈15度ができない 1:背屈はできるが、抵抗を与えられない 2:その位置を維持でき、わずかな抵抗をかけることもできる 肩軽度屈曲もしくは軽度外転位、肘完全伸展位、前腕回内位における手関節掌背屈の反復(肘関節の肢位は介助可) 点数 0:随意運動が起こらない 1:全可動域を自動的に動かせない 2:完全に実行できる 手関節の回転運動 点数 0:回転ができない 1:拙劣な動きもしくは不完全な回転 2:完全に実行できる
C.手指(各2点、計14点) 全体の屈曲 点数 0:屈曲が起こらない 1:幾分屈曲するが、完全には屈曲しない 2:非麻痺側と比較して完全に屈曲する 全体の伸展 開始肢位:完全屈曲位(他動的でも可) 点数 0:伸展が起こらない 1:幾分伸展するが、完全には伸展しない 2:非麻痺側と比較して完全に伸展する Pip-Dip Hook 抵抗をかけて検査する 点数 0:Hookの状態ができない 1:Hookはできるが力が弱い 2:比較的抵抗をかけても維持できる Lateral-Pinch 紙を使用。母指CM,IP関節は0度。 点数 0:実行できない 1:保持できるが軽く引くと保持できない 2:引いても保持可 指腹つまみ ペンを母指と示指の指腹でつまむ 点数 0:実行できない 1:保持できるが軽く引くと保持不可。 2:引いても保持可。 Cylinder Grasp 小さな缶を握らせる 点数 0:実行できない 1:保持できるが軽く引くと保持不可。 2:引いてもその状態を保持可。 Spherical Grasp ボールを持たせる。 点数 0:実行できない 1:保持できるが軽く引くと保持不可。 2:引いてもその状態を保持可。
D.協調性・スピード (各2点、計6点) 指―鼻試験を5回できる限り速く行い、非麻痺側と比較。 振戦 点数 0:著明な振戦 1:わずかな振戦 2:振戦は認められない。 測定障害 点数 0:著しいもしくは非対称的な測定障害 1:わずかなもしくは対称的な測定障害 2:測定障害は認められない スピード 点数 0:反復時間が非麻痺側より6秒以上遅い 1:2~5秒遅い 2:2秒以内遅い
II. 下肢 計34点 A.股膝足(各2点。計28点) 1. 下肢反射(各2点,計4点) 姿勢:背臥位 伸筋群:膝蓋腱反射 屈筋群:ハムストリングス・アキレス腱反射 点数 0:消失 2:反射亢進 2.1 屈筋共同運動 (各2点、計6点) 姿勢:背臥位。股・膝・足関節を最大に屈曲させる。膝屈筋群は腱を触診する。 股関節屈曲 膝関節屈曲 足関節背屈 点数 0:まったく運動できない 1:部分的にのみ運動できる 2:3つの関節すべて運動できる 2.2 伸筋共同運動 (各2点,計8点) 開始肢位:屈筋共同運動の最終肢位から抵抗をかけながら,股・膝・足関節を伸展させる(重力による代償を防ぐ)。股伸展と同時に内転が起こるので,組み合わせて評価する。 股関節伸展 股関節内転 膝関節伸展 足関節底屈 点数 0:まったく運動できない 1:非常に弱い力である。 2:非麻痺側に近い力が出せる。 3. 屈筋―伸筋共同運動の混合 (各2点、計4点) 姿勢:坐位。 膝を90度近くまで屈曲する。 点数 0:まったく運動できない 1:伸展状態から多少屈曲できるが、90度まではできない(ハムストリングスを触診)。
2:90度近くまで屈曲できる。
足関節背屈 点数 0:まったく運動できない 1:自動的な屈曲が弱い 2:正常な背屈ができる。 4. 分離運動(各2点,計4点) 姿勢:立位 股関節は0度もしくはやや伸転位で、膝関節を90度屈曲する。 点数 0:股関節を屈曲させなければ膝はまったく屈曲できない。 1:膝は90度まで完全に屈曲不可。もしくは股関節が屈曲する。 2:完全に実行できる。 足関節を背屈する 点数 0:背屈できない 1:完全に背屈できない 2:完全に実行できる 5. 正常な反射活動 4の項目で満点の場合のみつける 膝蓋腱、ハムストリングス、アキレス腱反射 点数 0:3つの反射のうち少なくとも2つが著しく過活動のとき 1:1つの反射が著しく過活動、もしくは少なくとも2つは活動的 2:1つの反射が活動的、もしくは著しい過活動が全くない。 B.協調性・スピード (各2点,計6点) 姿勢:背臥位。踵―膝試験をできるだけ速く5回繰り返す(非麻痺側と比較)。 振戦 点数 0:著明な振戦 1:わずかな振戦 2:振戦は認められない 測定障害 点数 0:著しい,もしくは非対称的な測定障害 1:わずかな,もしくは対称的な測定障害 2:測定障害は認められない スピード 点数 0:反復時間が,非麻痺側より6秒以上遅い 1:2~5秒遅い 2:2秒以内のとき
文献 Brunnstrom S. Motor testing procedures in hemiplegia: based on sequential recovery stages. Phys Ther 1966;46:357-375 Fugl-Meyer AR, Jaasko L, Leyman I, Olsson S, Steglind S. The post-stroke hemiplegic patient. 1. A method for evaluation of physical performance. Scand J Rehabil Med. 1975;7:13-31