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== エピソード記憶 == | == エピソード記憶 == | ||
いつ、どこで、何をという一連のエピソードを想起するための[[エピソード記憶]]は、海馬を損傷すると重度の障害を受けることが知られている<ref><pubmed>13406589</pubmed></ref>。しかし、海馬においてエピソードに関連する情報がどのように表現されているかは不明であった。このエピソード記憶の枠組みでは、場所細胞はどこで(where) | いつ、どこで、何をという一連のエピソードを想起するための[[エピソード記憶]]は、海馬を損傷すると重度の障害を受けることが知られている<ref><pubmed>13406589</pubmed></ref>。しかし、海馬においてエピソードに関連する情報がどのように表現されているかは不明であった。このエピソード記憶の枠組みでは、場所細胞はどこで(where)という情報を表現していると考えられる。Eichenbaumらは、海馬はエピソード記憶の座であると考えられるため、場所細胞の発火パターンは、様々な知覚([[視覚]]、[[嗅覚]]など)やその記憶を連合することによって形成されるとする仮説(relational memory; conjunctive encoding)を提唱している。この仮説を支持する研究は、場所細胞が場所だけではなく、臭い、新規性(マッチ、ノンマッチ)などにも関連して発火する報告<ref><pubmed>10050854</pubmed></ref>をはじめとして、いくつかの研究グループから報告されている。 また、Eichenbaumらは、場所細胞がイベント列(エピソード)を表現していると考えている。つまり、個体が移動する場合、外的な刺激(視覚などの知覚刺激)と内的な刺激(自らの動きや記憶に基づく刺激)が時々刻々と変化するが、それらの刺激(イベント)の列に対して、場所細胞それぞれが特定の割合で組み合わさることにより反応し、場所受容野が形成されていくと考えている。場所細胞群により表現されているイベント列は、脳内で表現されている文脈とも考えられるため、Mizumoriらは場所細胞は文脈(エピソード)依存的であるという仮説を提唱している。この文脈依存的な場所細胞の形成仮説によると、同じオープンフィールド環境であっても報酬位置が特定の位置にある場合にだけ場所受容野が方向依存的になる理由は、報酬を得るために文脈が必要になり、その文脈に合わせて場所受容野が切り替わるからだと考えられる。 | ||
== 再配置 == | == 再配置 == |