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目的とする脳部位に測定電極(関電極)を刺入し、十分に離れて電気的変動の少ない部位に基準電極(不関電極)を設けると、神経細胞の集団活動の結果生じる局所フィールド電位 local field potential (LFP)を記録することができる。一般には、低い[[wikipedia:jp:インピーダンス|インピーダンス]](数百kΩ程度)の金属電極やガラス電極を使用し、1Hz以下から数百Hzまでの成分を含む、数~数百μV程度の振幅の電位変化を観測の対象とする。機械的変位に強く、行動中の動物から長期間にわたって記録することが可能である。大脳皮質の局所フィールド電位を頭皮上または[[硬膜]]下から間接的に測定したものが、それぞれ[[脳波]](electroencephalogram, EEG)、[[皮質脳波]](electrocoticogram, ECoG)である。そこで局所フィールド電位を[[深部脳波]]と呼ぶこともある。 | 目的とする脳部位に測定電極(関電極)を刺入し、十分に離れて電気的変動の少ない部位に基準電極(不関電極)を設けると、神経細胞の集団活動の結果生じる局所フィールド電位 local field potential (LFP)を記録することができる。一般には、低い[[wikipedia:jp:インピーダンス|インピーダンス]](数百kΩ程度)の金属電極やガラス電極を使用し、1Hz以下から数百Hzまでの成分を含む、数~数百μV程度の振幅の電位変化を観測の対象とする。機械的変位に強く、行動中の動物から長期間にわたって記録することが可能である。大脳皮質の局所フィールド電位を頭皮上または[[硬膜]]下から間接的に測定したものが、それぞれ[[脳波]](electroencephalogram, EEG)、[[皮質脳波]](electrocoticogram, ECoG)である。そこで局所フィールド電位を[[深部脳波]]と呼ぶこともある。 | ||
大脳皮質などで観測される局所フィールド電位は、主に[[錐体細胞]]群への集団的な[[シナプス]] | 大脳皮質などで観測される局所フィールド電位は、主に[[錐体細胞]]群への集団的な[[シナプス]]入力によって発生すると説明される([[フィールドEPSP|フィールドfield EPSP]])。例えば、大脳皮質の錐体細胞の尖頭[[樹状突起]]の遠位部(皮質浅層に相当)に興奮性の[[グルタミン酸]]作動性のシナプス入力が来た場合、[[グルタミン酸受容体]]を介して[[wikipedia:ja:陽イオン|陽イオン]](つまり電流)が細胞内へ流れ込む(吸い込み、シンクsink)。この電流は樹状突起内を流れて近位部などから細胞外へ流れ出る(湧き出し、ソースsource)。局所フィールド電位は、シンク付近でマイナス、ソース付近でプラスの極性を示し、このシンクとソースの対を[[wikipedia:ja:双極子|双極子]]dipoleと呼ぶ。双極子の方向に沿って等間隔の部位から得られた局所フィールド電位を使って[[電流源密度解析]] current source density (CSD) analysisをおこなうと、記録部位に沿ったシンクとソースの時間的、空間的分布を調べることができる。なお、海馬の錐体細胞層など神経細胞の細胞体が密に分布する部位においては、細胞集団の発火活動の総和である[[集合スパイク]] population spikeが観測される。脳スライス標本や分散培養した神経細胞からも、シリコンプローブやマルチ電極アレーをもちいて、フィールドEPSPや集合スパイクを計測することが可能である。 | ||
===単一ユニット記録=== | ===単一ユニット記録=== |