「細胞外プロテアーゼ」の版間の差分

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 セリンプロテアーゼの一種、[[wikipedia:ja:トロンビン|トロンビン]]、[[wikipedia:ja:組織プラスミノーゲンアクティベータ|組織プラスミノーゲンアクティベータ]](tissue plasminogen activator;tPA)と [[wikipedia:ja:プラスミン|プラスミン]](plasmin)をトロンビン様プロテアーゼは、血液凝固線溶系および炎症反応での役割が古くからよく知られている。その他、[[wikipedia:ja:トリプシン|トリプシン]]様プロテアーゼは食物消化の機能が最初に明らかにされた。しかし最近、脳内においてセリンプロテアーゼが、神経系の発達、維持、[[可塑性]]、疾患等に重要な役割を果たしていることが明らかとなって注目されるようになって来た。  
 セリンプロテアーゼの一種、[[wikipedia:ja:トロンビン|トロンビン]]、[[wikipedia:ja:組織プラスミノーゲンアクティベータ|組織プラスミノーゲンアクティベータ]](tissue plasminogen activator;tPA)と [[wikipedia:ja:プラスミン|プラスミン]](plasmin)をトロンビン様プロテアーゼは、血液凝固線溶系および炎症反応での役割が古くからよく知られている。その他、[[wikipedia:ja:トリプシン|トリプシン]]様プロテアーゼは食物消化の機能が最初に明らかにされた。しかし最近、脳内においてセリンプロテアーゼが、神経系の発達、維持、[[可塑性]]、疾患等に重要な役割を果たしていることが明らかとなって注目されるようになって来た。  


=== トロンビン===
=== トロンビン ===
 [[血液脳関門]]が損なわれる病態においてトロンビンは、脳実質内に入る他、脳内においても合成されることが知られる。従って、病態のみならず、正常脳においても何らかの役割を果たすことが示唆されている。[[初代培養|培養神経細胞]]や[[神経芽細胞腫]]細胞にトロンビンを投与すると[[神経突起]]伸長を阻害する。高濃度のトロンビンで処理すると、[[神経細胞]]と[[アストロサイト]]の両方で[[アポトーシス]]が誘導される。一方、トロンビンは神経可塑性にも関係する。海馬スライスにトロンビンをバスアプライすると、[[NMDA型グルタミン酸受容体]]電流が増強される。短時間のトロンビン暴露はゆっくりとした長続きする[[フィールド後シナプス電位]](fEPSP)を誘導する<ref name="ref1"><pubmed> 21782155 </pubmed></ref><ref name="ref3"><pubmed>21893397</pubmed></ref> 。
 
 [[血液脳関門]]が損なわれる病態においてトロンビン(thrombin)は、脳実質内に入る他、脳内においても合成されることが知られる。従って、病態のみならず、正常脳においても何らかの役割を果たすことが示唆されている。[[初代培養|培養神経細胞]]や[[神経芽細胞腫]]細胞にトロンビンを投与すると[[神経突起]]伸長を阻害する。高濃度のトロンビンで処理すると、[[神経細胞]]と[[アストロサイト]]の両方で[[アポトーシス]]が誘導される。一方、トロンビンは神経可塑性にも関係する。海馬スライスにトロンビンをバスアプライすると、[[NMDA型グルタミン酸受容体]]電流が増強される。短時間のトロンビン暴露はゆっくりとした長続きする[[フィールド後シナプス電位]](fEPSP)を誘導する<ref name="ref1"><pubmed> 21782155 </pubmed></ref><ref name="ref3"><pubmed>21893397</pubmed></ref> 。


=== 組織プラスミノーゲンアクチベーター(tissue plasminogen activator; tPA)  ===
=== 組織プラスミノーゲンアクチベーター(tissue plasminogen activator; tPA)  ===