「クラステリン」の版間の差分
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* [[可溶性膜侵襲複合体]]([[soluble membrane attack complex]]:[[sMAC]])の構成成分である[[血清タンパク質40,40]]([[serum protein 40,40]]:[[SP-40,40]])または[[補体溶解抑制因子]]([[complement lysis inhibitor]]:[[CLI]])<ref name="ref3"><pubmed>2454950</pubmed></ref> | * [[可溶性膜侵襲複合体]]([[soluble membrane attack complex]]:[[sMAC]])の構成成分である[[血清タンパク質40,40]]([[serum protein 40,40]]:[[SP-40,40]])または[[補体溶解抑制因子]]([[complement lysis inhibitor]]:[[CLI]])<ref name="ref3"><pubmed>2454950</pubmed></ref> | ||
* [[前立腺]]去勢退縮時に発現上昇する[[転写]]産物である[[テストステロン抑制性前立腺メッセンジャー2]]([[testosterone-repressed prostate message-2]]:[[TRPM-2]])<ref name="ref4"><pubmed>3632663</pubmed></ref> | * [[前立腺]]去勢退縮時に発現上昇する[[転写]]産物である[[テストステロン抑制性前立腺メッセンジャー2]]([[testosterone-repressed prostate message-2]]:[[TRPM-2]])<ref name="ref4"><pubmed>3632663</pubmed></ref> | ||
* [[ | * 血清[[高密度リポタンパク質]]([[high-density lipoprotein]]:[[HDL]])の構成[[アポリポタンパク質]]である[[アポリポタンパク質J]]([[apolipoprotein J]]:[[ApoJ]])<ref name="ref5"><pubmed>2376594</pubmed></ref> | ||
1992年にケンブリッジで開催された第1回国際クラステリンワークショップにおいて、統一名称としてクラステリンが決定された<ref name="ref6"><pubmed>10694874</pubmed></ref>。さらに1999年、Wilsonらの研究グループにより、[[熱ショックタンパク質|スモールヒートショックタンパク質]](sHSP)と酷似した[[分子シャペロン]]活性を持つことが発見され、哺乳類における最初の細胞外分子シャペロンとしての概念が確立された<ref name="ref7"><pubmed>10066740</pubmed></ref>。 | 1992年にケンブリッジで開催された第1回国際クラステリンワークショップにおいて、統一名称としてクラステリンが決定された<ref name="ref6"><pubmed>10694874</pubmed></ref>。さらに1999年、Wilsonらの研究グループにより、[[熱ショックタンパク質|スモールヒートショックタンパク質]](sHSP)と酷似した[[分子シャペロン]]活性を持つことが発見され、哺乳類における最初の細胞外分子シャペロンとしての概念が確立された<ref name="ref7"><pubmed>10066740</pubmed></ref>。 | ||
[[ファイル:Itakura clusterin Fig1.png|サムネイル|'''図1. クラステリンの模式図''']] | [[ファイル:Itakura clusterin Fig1.png|サムネイル|'''図1. クラステリンの模式図''']] | ||
== 構造 == | == 構造 == | ||
=== 一次構造と翻訳後修飾 === | === 一次構造と翻訳後修飾 === | ||
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== 疾患との関わり == | == 疾患との関わり == | ||
=== アルツハイマー病 === | === アルツハイマー病 === | ||
クラステリンはアミロイドβ単量体や可溶性オリゴマーに結合して保護・分解へ導くことで凝集・線維化を防ぎ、毒性を中和する<ref name="ref13" /><ref name="ref16" /><ref name="ref23"><pubmed>22179788</pubmed></ref><ref name="ref24"><pubmed>19878774</pubmed></ref>。実際に大規模[[ゲノムワイド関連解析]](GWAS)により[[アルツハイマー病]]の強力な遺伝的リスク因子としてクラステリンが同定された<ref name="ref25"><pubmed>19734903</pubmed></ref><ref name="ref26"><pubmed>19734902</pubmed></ref>。マウスを用いた研究から、クラステリンの増加がアミロイドβを減少させること<ref name="ref27"><pubmed>31077261</pubmed></ref><ref name="ref28"><pubmed>33246484</pubmed></ref> | クラステリンはアミロイドβ単量体や可溶性オリゴマーに結合して保護・分解へ導くことで凝集・線維化を防ぎ、毒性を中和する<ref name="ref13" /><ref name="ref16" /><ref name="ref23"><pubmed>22179788</pubmed></ref><ref name="ref24"><pubmed>19878774</pubmed></ref>。実際に大規模[[ゲノムワイド関連解析]](GWAS)により[[アルツハイマー病]]の強力な遺伝的リスク因子としてクラステリンが同定された<ref name="ref25"><pubmed>19734903</pubmed></ref><ref name="ref26"><pubmed>19734902</pubmed></ref>。マウスを用いた研究から、クラステリンの増加がアミロイドβを減少させること<ref name="ref27"><pubmed>31077261</pubmed></ref><ref name="ref28"><pubmed>33246484</pubmed></ref>、クラステリンと[[ApoE]]の両遺伝子欠損マウスにおいてアミロイドβの脳内蓄積が増強させること<ref name="ref29"><pubmed>14741101</pubmed></ref>、クラステリン欠損マウスが[[タウ|Tau]]変異体を発現するマウスの病態悪化(タウ病理や行動異常)を促進させることなど<ref name="ref30"><pubmed>33261653</pubmed></ref>、クラステリンがアミロイドβとTauに対して保護的な機能を持つことが報告されている。 | ||
一方で、クラステリンが病態悪化に寄与することを示す報告も存在する。例えば、クラステリン欠損マウスは毒性の高い線維状[[アミロイド斑]]の沈着を減少させることや<ref name="ref31"><pubmed>12145324</pubmed></ref>、クラステリンの欠損が脳実質のアミロイド斑を減少させ、脳血管アミロイド症が増加することが報告されている<ref name="ref32"><pubmed>28701379</pubmed></ref>。さらに、細胞を用いた研究からクラステリンがTauの[[シーディング]]ならびに[[細胞間伝播]]を促進することも示唆されている<ref name="ref33"><pubmed>34381050</pubmed></ref>。 | 一方で、クラステリンが病態悪化に寄与することを示す報告も存在する。例えば、クラステリン欠損マウスは毒性の高い線維状[[アミロイド斑]]の沈着を減少させることや<ref name="ref31"><pubmed>12145324</pubmed></ref>、クラステリンの欠損が脳実質のアミロイド斑を減少させ、脳血管アミロイド症が増加することが報告されている<ref name="ref32"><pubmed>28701379</pubmed></ref>。さらに、細胞を用いた研究からクラステリンがTauの[[シーディング]]ならびに[[細胞間伝播]]を促進することも示唆されている<ref name="ref33"><pubmed>34381050</pubmed></ref>。 | ||