「Depolarization-induced suppression of inhibition」の版間の差分

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== 歴史  ==
== 歴史  ==


 DSIは1991年に[[小脳]]で最初に報告された。小脳の[[プルキンエ細胞]]を脱分極させると一過性にプルキンエ細胞で記録される抑制性入力である[[GABA]]応答が抑制されることが報告された<ref><pubmed> 2015092 </pubmed></ref>。翌1992年には[[海馬]][[CA1野]]の[[錐体細胞]]を脱分極させると小脳と同様に一過性にGABA応答が抑制されることが報告された<ref><pubmed> 1403103 </pubmed></ref>。この二つの研究およびその後の研究からDSIはシナプス後部のニューロンの細胞内カルシウムイオン濃度上昇により誘導され、最終的にはシナプス前終末からのGABAの放出が抑制される現象であることが明らかになった。したがってシナプス後部ニューロンから何らかの逆行性伝達物質が放出されて、それがシナプス前部に作用することが予想された。  
 DSIは1991年に[[小脳]]で最初に報告された。小脳の[[プルキンエ細胞]]を脱分極させると一過性にプルキンエ細胞で記録される抑制性入力である[[GABA]]応答が抑制されることが報告された<ref><pubmed> 2015092 </pubmed></ref>。翌1992年には[[海馬]][[CA1野]]の[[錐体細胞]]を脱分極させると小脳と同様に一過性にGABA応答が抑制されることが報告された<ref><pubmed> 1403103 </pubmed></ref>。この二つの研究およびその後の研究からDSIはシナプス後部のニューロンの細胞内カルシウムイオン濃度上昇により誘導され、最終的にはシナプス前終末からのGABAの放出が抑制される現象であることが明らかになった。したがってシナプス後部ニューロンから何らかの逆行性伝達物質が放出されて、それがシナプス前部に作用することが予想された。
[[Image:Yukihashimotodani fig 3.jpg|thumb|right|300px|'''図1. DSIの例'''<br>初代培養海馬ニューロンペアからホールセルパッチクランプ法により抑制性シナプス後電流(IPSC)を記録。ポスト側のニューロンを5秒間0 mVに脱分極させると一過性にIPSCの振幅が減少する。CB1受容体のアンタゴニストAM281で処理すると同じ脱分極刺激を与えてもIPSCの減少は起きなくなる。 (Hashimotodani et al, Neuroscientist 2007より一部改変)]]


== 逆行性伝達物質の発見  ==
== 逆行性伝達物質の発見  ==