「シンタキシン」の版間の差分

 
272行目: 272行目:


===神経伝達物質の放出===
===神経伝達物質の放出===
 シナプス前膜に存在するシンタキシン1は、[[エンドサイトーシス]]を含め<ref><pubmed>23643538</pubmed></ref>シナプス小胞の循環のいくつかの過程に直接または間接的に関わる。その中でもカルシウム依存性の小胞開口放出過程における役割について最も研究が進んでおり、シンタキシン1はシナプス前膜と小胞膜との間でSNAP-25およびシナプトブレビンとSNARE複合体を形成し、両方の膜を限りなく近づけて融合させ神経伝達物質を開口放出させると考えられている<ref><pubmed>10219238</pubmed></ref>。マウスの[[内耳有毛細胞]]からの伝達物質放出には関与しないという例外はあるが<ref><pubmed>21378973</pubmed></ref>、実験材料として使われる多くの神経標本および開口放出のモデル細胞における伝達物質放出にはシンタキシン1が必須である<ref name=ref7818508><pubmed>7818508</pubmed></ref><ref><pubmed>7609887</pubmed></ref><ref><pubmed>9692742</pubmed></ref><ref><pubmed>7612024</pubmed></ref><ref name=ref9342384><pubmed>9342384</pubmed></ref>。金魚の網膜のリボンシナプスにおけるシナプス小胞の開口放出には、シンタキシン3の選択的スプライシングバリアント3Bが関与する<ref name=ref48 />。
 シナプス前膜に存在するシンタキシン1は、[[エンドサイトーシス]]を含め<ref><pubmed>23643538</pubmed></ref>シナプス小胞の循環のいくつかの過程に直接または間接的に関わる。その中でもカルシウム依存性の小胞開口放出過程における役割について最も研究が進んでおり、シンタキシン1はシナプス前膜と小胞膜との間でSNAP-25およびシナプトブレビンとSNARE複合体を形成し、両方の膜を限りなく近づけて融合させ神経伝達物質を開口放出させると考えられている<ref><pubmed>10219238</pubmed></ref>。マウスの[[内耳]][[有毛細胞]]からの伝達物質放出には関与しないという例外はあるが<ref><pubmed>21378973</pubmed></ref>、実験材料として使われる多くの神経標本および開口放出のモデル細胞における伝達物質放出にはシンタキシン1が必須である<ref name=ref7818508><pubmed>7818508</pubmed></ref><ref><pubmed>7609887</pubmed></ref><ref><pubmed>9692742</pubmed></ref><ref><pubmed>7612024</pubmed></ref><ref name=ref9342384><pubmed>9342384</pubmed></ref>。金魚の網膜のリボンシナプスにおけるシナプス小胞の開口放出には、シンタキシン3の選択的スプライシングバリアント3Bが関与する<ref name=ref48 />。


 シンタキシン1は、開口放出に先立ちシナプス小胞や[[有芯小胞]]を放出部位へドッキングさせる。実際、カエルの[[神経筋接合部]]<ref name=ref14622203><pubmed>14622203</pubmed></ref>ならびに[[副腎髄質]][[クロマフィン細胞]]<ref name=ref17205130><pubmed>17205130</pubmed></ref>においてシンタキシンを切断あるいは破壊すると小胞のドッキングが阻害される。一方、ニューロン間のシナプスではシンタキシンの機能を阻害してもドッキングに影響はない<ref name=ref14622203><pubmed>14622203</pubmed></ref><ref name=ref17205130><pubmed>17205130</pubmed></ref><ref name=ref9342384><pubmed>9342384</pubmed></ref>。
 シンタキシン1は、開口放出に先立ちシナプス小胞や[[有芯小胞]]を放出部位へドッキングさせる。実際、カエルの[[神経筋接合部]]<ref name=ref14622203><pubmed>14622203</pubmed></ref>ならびに[[副腎髄質]][[クロマフィン細胞]]<ref name=ref17205130><pubmed>17205130</pubmed></ref>においてシンタキシンを切断あるいは破壊すると小胞のドッキングが阻害される。一方、ニューロン間のシナプスではシンタキシンの機能を阻害してもドッキングに影響はない<ref name=ref14622203><pubmed>14622203</pubmed></ref><ref name=ref17205130><pubmed>17205130</pubmed></ref><ref name=ref9342384><pubmed>9342384</pubmed></ref>。