「Aδ線維とC線維」の版間の差分

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 つまり、その終末(この文脈ではC線維の終末でしょうか、それとも、Aδ線維とC線維両方でしょうか)はそれぞれそれらの受容器(それぞれ侵害受容器、[[C線維低閾値機械受容器]]、[[温受容器]])となっている。侵害受容器には熱にも機械刺激にも反応する[[侵害受容器|ポリモーダル(侵害)受容器]]、機械刺激にのみ反応する[[機械侵害受容器]]、機械刺激に反応せず熱刺激にのみ反応する[[熱侵害受容器]]、正常な組織では活動しておらず炎症時などで活動する[[非活動性侵害受容器]]等がある、後者の2つはC線維のみに存在する(表2)。痒み感覚の受容器には、[[ポリモーダルタイプ]](痒み物質のもならず機械刺激、熱刺激にも反応する)のものと、痒み物質にのみ特異的に反応する[[化学受容器]]タイプとがある。  
 つまり、その終末(この文脈ではC線維の終末でしょうか、それとも、Aδ線維とC線維両方でしょうか)はそれぞれそれらの受容器(それぞれ侵害受容器、[[C線維低閾値機械受容器]]、[[温受容器]])となっている。侵害受容器には熱にも機械刺激にも反応する[[侵害受容器|ポリモーダル(侵害)受容器]]、機械刺激にのみ反応する[[機械侵害受容器]]、機械刺激に反応せず熱刺激にのみ反応する[[熱侵害受容器]]、正常な組織では活動しておらず炎症時などで活動する[[非活動性侵害受容器]]等がある、後者の2つはC線維のみに存在する(表2)。痒み感覚の受容器には、[[ポリモーダルタイプ]](痒み物質のもならず機械刺激、熱刺激にも反応する)のものと、痒み物質にのみ特異的に反応する[[化学受容器]]タイプとがある。  
 侵害受容にはAδ線維のものとC線維のものとがあるが、それらが引き起こす感覚には違いがある。Aδ線維による痛みは、鋭く、識別性、局在性がよく、同じ部位の刺激では最初に(速く)感じられるので「[[速い痛み]]」または「[[一次痛]]」といわれる。逃避反射を引き起こす求心神経であると考えられている。
 一方、C線維による痛みは鈍く、局在性が悪く、一次痛よりも後に感じられるので、「[[二次痛]]」「[[遅い痛み]]」といわれる。


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 化学的な物質に対するものには[[イオンチャネル型受容体]]と[[代謝型受容体]](これ自身だけでは電位変化は起こせない、[[細胞内情報伝達系]]を駆動して、他の[[イオンチャネル]]を修飾して電位変化を起こす)とがあり、[[ブラジキニン]][[B2受容体]]、[[プロスタグランジン]]受容体、[[ATP]]に対する[[P2X受容体]]や[[P2Y受容体]]等、多くのものが知られている。これらの分子がいろいろの組み合わせで受容器終末に発現し、その受容器の反応特性を作っている。  
 化学的な物質に対するものには[[イオンチャネル型受容体]]と[[代謝型受容体]](これ自身だけでは電位変化は起こせない、[[細胞内情報伝達系]]を駆動して、他の[[イオンチャネル]]を修飾して電位変化を起こす)とがあり、[[ブラジキニン]][[B2受容体]]、[[プロスタグランジン]]受容体、[[ATP]]に対する[[P2X受容体]]や[[P2Y受容体]]等、多くのものが知られている。これらの分子がいろいろの組み合わせで受容器終末に発現し、その受容器の反応特性を作っている。  
==== 侵害受容  ====
 Aδ線維のものとC線維のものとがあるが、それらが引き起こす感覚には違いがある。Aδ線維による痛みは、鋭く、識別性、局在性がよく、同じ部位の刺激では最初に(速く)感じられるので「[[速い痛み]]」または「[[一次痛]]」といわれる。逃避反射を引き起こす求心神経であると考えられている。
 一方、C線維による痛みは鈍く、局在性が悪く、一次痛よりも後に感じられるので、「[[二次痛]]」「[[遅い痛み]]」といわれる。


=== 受容器タイプと軸索伝導特性  ===
=== 受容器タイプと軸索伝導特性  ===
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 Aδ線維についての報告は少ないが、遅延ではなくスピードアップが見られている<ref name="ref6">'''Taguchi''''' et al.,''<br>''Pain'' in press.</ref>。  
 Aδ線維についての報告は少ないが、遅延ではなくスピードアップが見られている<ref name="ref6">'''Taguchi''''' et al.,''<br>''Pain'' in press.</ref>。  


 この特性は神経線維の受容器タイプを知るうえで役に立つ。また、遅延は利用可能な[[ナトリウムチャネル#αサブユニット|NaV1.8]]という[[電位依存性ナトリウムチャネル]]の数によると報告されており<ref name="ref7"><pubmed>18096592</pubmed></ref>、痛みに関連する受容器の軸索が特に強い伝導遅延を示すことは、NaV1.8がC線維に特異的に発現することと関連している。  
 この特性は神経線維の受容器タイプを知るうえで役に立つ。また、遅延は利用可能な[[ナトリウムチャネル#αサブユニット|NaV1.8]]という[[電位依存性ナトリウムチャネル]]の数によると報告されており<ref name="ref7"><pubmed>18096592</pubmed></ref>、痛みに関連する受容器の軸索が特に強い伝導遅延を示すことは、NaV1.8がC線維に特異的に発現することと関連している。


== 関連項目  ==
== 関連項目  ==