「前庭脊髄路」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
編集の要約なし
31行目: 31行目:
=== 内側前庭脊髄路  ===
=== 内側前庭脊髄路  ===


 内側前庭脊髄路(medial vestibulospinal tract: MVST)は,前庭神経核を出た後,内尾側に走り内側縦束に入り,次第に腹側に位置を変えながら延髄の閂(obex)のレベルで[[錐体交叉]]の背側を走り,その後次第に腹側に至り前索内側部を走り,主に上部頚髄から下部頚髄付近で終わる。
 内側前庭脊髄路(medial vestibulospinal tract: MVST)は,前庭神経核を出た後,内尾側に走り内側縦束に入り,次第に腹側に位置を変えながら延髄の閂(obex)のレベルで[[錐体交叉]]の背側を走り,その後次第に腹側に至り前索内側部を走り,主に上部頚髄から下部頚髄付近で終わる<ref><pubmed>14184859</pubmed></ref>。 


 内側前庭脊髄路は、おもに[[半規管]]からの入力を受け、両側性に投射し、大部分は頚髄のレベルで終わっており、[[前庭頚反射]]に中心的役割を果たしている。外側前庭脊髄路細胞と異なり、内側前庭脊髄路細胞には興奮性のものと抑制性のものがあり、原則として興奮性のものは対側の脊髄を下行し、抑制性のものは同側の脊髄を下行する。しかし対側の脊髄を下行する抑制性細胞も少数存在する。古典的には、上位中枢から脊髄へ抑制性の制御を行う経路は、いずれも脊髄レベルに存在する抑制性の介在ニューロンを介するものであり、抑制性神経細胞の軸索は一般に短いと考えられていたが、内側前庭脊髄路は、[[長下行性伝導路]]細胞そのものが抑制性である例として、最初に同定された系である<ref><pubmed>4815209</pubmed></ref>。  
 内側前庭脊髄路は、おもに[[半規管]]からの入力を受け、両側性に投射し、大部分は頚髄のレベルで終わっており、[[前庭頚反射]]に中心的役割を果たしている。外側前庭脊髄路細胞と異なり、内側前庭脊髄路細胞には興奮性のものと抑制性のものがあり、原則として興奮性のものは対側の脊髄を下行し、抑制性のものは同側の脊髄を下行する。しかし対側の脊髄を下行する抑制性細胞も少数存在する。古典的には、上位中枢から脊髄へ抑制性の制御を行う経路は、いずれも脊髄レベルに存在する抑制性の介在ニューロンを介するものであり、抑制性神経細胞の軸索は一般に短いと考えられていたが、内側前庭脊髄路は、[[長下行性伝導路]]細胞そのものが抑制性である例として、最初に同定された系である<ref><pubmed>4815209</pubmed></ref>。