「Hodgkin-Huxley方程式」の版間の差分

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== ''m''<sup>3</sup>''h''と''n''<sup>4</sup>  ==
== ''m''<sup>3</sup>''h''と''n''<sup>4</sup>  ==


活動電位の発生時に、Na<sup>+</sup>、K<sup>+</sup>、Cl<sup>-</sup>が個別に膜を透過することを見いだしたHodgkinとHuxleyは、voltage clamp法を用いてそれぞれのイオンの通りやすさ(コンダクタンス、抵抗の逆数)を測定した。<br>K<sup>+</sup>チャネルの場合、細胞膜を脱分極させるとK<sup>+</sup>チャネルは開いていき定常状態(steady state)に達する。 実験結果より、定常状態のコンダクタンスおよび定常状態に達するまでのコンダクタンス変化の速度定数が、電位によって一定であることが見いだされた。 2つの状態(OpenとClosed)があり状態間移行の速度定数が一定な系は、簡単な微分方程式を用いて表すことができる(two-stateモデル)。この考え方を適用したところ、4つの独立したゲートがあり、4つすべてが開いた時に電流が流れる、とすると実験データに合致することが示された。K<sup>+</sup>電流は、次の式で表される。
HodgkinとHuxleyは、voltage-clamp法を用いて活動電位に伴うNa<sup>+</sup>とK<sup>+</sup>のコンダクタンス(通りやすさ、抵抗の逆数)変化を定量的に解析し、Na<sup>+</sup>とK<sup>+</sup>には別々の通り道があることを示した。そしてNa<sup>+</sup>とK<sup>+</sup>のコンダクタンスがゲート(gate)により開閉されると考えた。


::<math> I_K = G_{K}^{max} n^4 (v-E_K)\, </math>
*Na<sup>+</sup>チャネルは3つの活性化ゲート''m''と不活性化ゲート''h''により開閉される。
*K<sup>+</sup>チャネルは4つの活性化ゲート''n''により開閉される。


''G''<sup>max</sup><sub>K</sub>最大コンダクタンス、''n''はゲートが開いている確率、''v''は電位、''E''<sub>K</sub>はK<sup>+</sup>の平行電位。
''m''、''h''、''n''は、ゲートが開いている確率を示す値で、単純なTwo-state&nbsp;modelに従う。''m''と''n''は、静止時に閉じており脱分極した時に開く。一方、''h''は静止時に開き脱分極時に閉じる。''m''''n''ではなく、''m''<sup>3</sup>および''n''<sup>4</sup>としたのは、主に電流の立ち上がりの形をよく再現するためである。


<br> Na<sup>+</sup>チャネルの場合は、脱分極するとチャネルは開くが、不活性化により閉じていく。開くゲートmだけでなく閉じるゲートhを考える事により、不活性化を説明する事が出来る。実験データより、3つの活性化ゲートと1つの不活性化ゲートが想定された。
電流はコンダクタンスと電圧に比例する(''I'' = ''GV''; Ohmの法則)。電圧の大きさは、細胞膜内外のイオン濃度差による電位(平衡電位)を補正しなくてはならない。 従って、 Na<sup>+</sup>とK<sup>+</sup>により担われる電流''I''<sub>Na</sub>と''I''<sub>K</sub>は、Na<sup>+</sup>とK<sup>+</sup>の最大コンダクタンスをそれぞれ ''G''<sup>max</sup><sub>Na</sub>、''G''<sup>max</sup><sub>K</sub> 、平衡電位を''E''<sub>Na</sub>、''E''<sub>K</sub>とすると、&nbsp;


::<math> I_{Na} = G_{Na}^{max} m^3h (v-E_{Na})\, </math>
::<math>I_{Na} = G^{max}_{Na} m^3 h (v-E_{Na})\, </math>
::<math>I_{K} = G^{max}_{K} n^3 (v-E_{K})\, </math>


''G''<sup>max</sup><sub>Na</sub>は最大コンダクタンス、''m''は活性化ゲートが開いている確率、''h''は不活性化ゲートが開いている確率、''E''<sub>Na</sub>はNa<sup>+</sup>の平行電位。
と表される。また主にクロライドイオン(Cl<sup>-</sup>)を通し静止電位保持に主要な役割を果たすリークチャネルは、コンダクタンスは電位に依存しないとして、


<br>  
::<math>I_{leak} = G_{leak}(v-E_{leak})\, </math>
 
と表される。
 
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''m''、''h''、''n''はTwo-stateモデルに従う値である。 開く速度定数αと閉じる速度定数βはいずれも電位に依存する。 HodgkinとHuxleyは''m''、''h''、''n''のそれぞれについていろいろな電位での αとβの値を実験的に測定し、それらを便宜的に数式で表した。


電位に依存しないリークチャネルは、
::<math>\alpha_m = \frac{0.1(-V+25)}{\exp\left(\frac{-V+25}{10}\right)-1}</math>
::<math>\beta_m = 4\exp\left(\frac{-V}{18}\right)</math>


::<math> I_{l} = G_{l} (v-E_{l})\, </math>
::<math>\alpha_h = 0.07\exp\left(\frac{-V}{20}\right)</math>
::<math>\beta_h = \frac{1}{\exp\left(\frac{-V+30}{10}\right)+1}</math>


''G''<sub>l</sub>は最大コンダクタンス、''E''<sub>l</sub>はリーク電流の平行電位。
::<math>\alpha_n = \frac{0.01(-V+10)}{\exp\left(\frac{-V+10}{10}\right)-1}</math>  
::<math>\beta_n = 0.125\exp\left(\frac{-V}{80}\right)</math>


(未完成)
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== 電位変化  ==
== 電位変化  ==
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#Single-channel recording  
#Single-channel recording  
#Markovモデル  
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#Fractalモデルとの論争
#Fractalモデルとの論争<br>


== 現在におけるHHモデル  ==
== 現在におけるHHモデル  ==