「性行動の神経回路」の版間の差分

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 また、ホルモンの機能を研究する内[[分泌]]学者の一部にも、動物が繁殖期に見せる性行動がホルモンによる調節を受けることに興味を寄せていた。例えば、[[wikipedia:ja:カエル|カエル]]においては次のような一連の研究がなされている。カエルは産卵期になると生息地から水辺の繁殖地へと移動し、つがいを形成するが、このとき、オスはメイティングコール(mating call, MC)とよばれる鳴き声を発し、メスをひきつける。MCに対する[[性ステロイド]]([[wikipedia:ja:生殖腺|生殖腺]]で[[コレステロール]]から合成される[[性ホルモン]])の影響に関しては、脳内への性ステロイドの局所投与や生殖腺除去実験などの多数の研究が見られる。これらの実験から、性ホルモンの影響を受けて性行動を促進する脳部位としては脳の[[視索前野]]や[[視床下部]]が重要な脳部位である事がわかってきた。性ステロイドは、いわゆる二次性徴を促し生殖そのものを可能にするという生物学的作用をもつが、同じ性ステロイドが性行動を同時に促進的に調節することにより、生殖と性行動を同時に調節するという、理にかなった調節が可能となっている。
 また、ホルモンの機能を研究する内[[分泌]]学者の一部にも、動物が繁殖期に見せる性行動がホルモンによる調節を受けることに興味を寄せていた。例えば、[[wikipedia:ja:カエル|カエル]]においては次のような一連の研究がなされている。カエルは産卵期になると生息地から水辺の繁殖地へと移動し、つがいを形成するが、このとき、オスはメイティングコール(mating call, MC)とよばれる鳴き声を発し、メスをひきつける。MCに対する[[性ステロイド]]([[wikipedia:ja:生殖腺|生殖腺]]で[[コレステロール]]から合成される[[性ホルモン]])の影響に関しては、脳内への性ステロイドの局所投与や生殖腺除去実験などの多数の研究が見られる。これらの実験から、性ホルモンの影響を受けて性行動を促進する脳部位としては脳の[[視索前野]]や[[視床下部]]が重要な脳部位である事がわかってきた。性ステロイドは、いわゆる二次性徴を促し生殖そのものを可能にするという生物学的作用をもつが、同じ性ステロイドが性行動を同時に促進的に調節することにより、生殖と性行動を同時に調節するという、理にかなった調節が可能となっている。
 
(<u>編集部コメント:ここまでは、歴史的な背景でもあるので、イントロの部分にまとめていただいてもと思います。</u>)
 一方で、性[[ステロイドホルモン]]を用いた[[オートラジオグラフィー]]の研究から、性ステロイドを取り込む脳内ニューロンの分布について、[[哺乳類]]、[[両生類]]、[[魚類]]等を用いて研究が行なわれた。その結果、動物によらず、視索前野、[[外側中隔野]]、[[扁桃体]]、視床下部、[[海馬]]、[[中脳灰白質]]等の脳部位に性ステロイドを感受するニューロンが分布していることがわかった(図1)。
 一方で、性[[ステロイドホルモン]]を用いた[[オートラジオグラフィー]]の研究から、性ステロイドを取り込む脳内ニューロンの分布について、[[哺乳類]]、[[両生類]]、[[魚類]]等を用いて研究が行なわれた。その結果、動物によらず、視索前野、[[外側中隔野]]、[[扁桃体]]、視床下部、[[海馬]]、[[中脳灰白質]]等の脳部位に性ステロイドを感受するニューロンが分布していることがわかった(図1)。