「児童虐待」の版間の差分

 
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 身体面の特徴について列挙すると、低身長・低体重・成長障害、皮膚外傷、[[wj:骨折|骨折]]・[[wj:脱臼|脱臼]]・骨端破壊、[[wj:火傷|火傷]]、頭部外傷、内臓損傷、[[wj:脊椎|脊椎]]損傷・麻痺、[[wj:網膜剥離|網膜剥離]]などの眼症状、栄養障害・飢餓、[[けいれん]]・[[てんかん]]、[[wj:下痢|下痢]]・[[wj:嘔吐|嘔吐]]・[[wj:消化不良|消化不良]]、[[wj:循環障害|循環障害]]、[[wj:凍傷|凍傷]]、歯牙脱落・舌損傷、そして死亡である。  
 身体面の特徴について列挙すると、低身長・低体重・成長障害、皮膚外傷、[[wj:骨折|骨折]]・[[wj:脱臼|脱臼]]・骨端破壊、[[wj:火傷|火傷]]、頭部外傷、内臓損傷、[[wj:脊椎|脊椎]]損傷・麻痺、[[wj:網膜剥離|網膜剥離]]などの眼症状、栄養障害・飢餓、[[けいれん]]・[[てんかん]]、[[wj:下痢|下痢]]・[[wj:嘔吐|嘔吐]]・[[wj:消化不良|消化不良]]、[[wj:循環障害|循環障害]]、[[wj:凍傷|凍傷]]、歯牙脱落・舌損傷、そして死亡である。  


 行動面の特徴としては、[[過食]]・[[盗食]]・[[異食]]・[[食欲不振]]といった食事に関した課題がもっともよく認められる。さらに学童期中頃から認められる便尿失禁、あるいは[[常同運動]]や[[自傷行為]]、時に[[緘黙]]傾向も認められる。また[[wj:虚言|虚言]]や盗み・万引き、いやがらせ、集団不適応、火遊び・放火、いじめ、器物破損・暴力といった[[行為障害]]様言動も顕著である。生活場面では、だらしなさが目立ち、特に女児では性的逸脱行動や繰り返す自傷行為や[[自殺]]企図 が認められる。  
 行動面の特徴としては、[[過食]]・[[盗食]]・[[異食]]・[[食欲不振]]といった食事に関した課題がもっともよく認められる。さらに学童期中頃から認められる便尿失禁、あるいは[[常同運動]]や[[自傷行為]]、時に[[緘黙]]傾向も認められる。また[[虚言]]や盗み・万引き、いやがらせ、集団不適応、火遊び・放火、いじめ、器物破損・暴力といった[[行為障害]]様言動も顕著である。生活場面では、だらしなさが目立ち、特に女児では性的逸脱行動や繰り返す自傷行為や[[自殺]]企図 が認められる。  


 精神面の特徴としては、運動・情緒・言語発達の遅れが顕著で、生来性の発達障害との鑑別に苦慮することになる。ほかに抑うつ、無表情、無気力、不眠、神経過敏や気分易変を認め、結果的に学習不振に至ることもある。低年齢では、おちつきがない、人との距離感がとれない、大人の顔色をうかがうといった行動も目立つ。精神症状としては、[[薬物依存]]、性的行動化(売春)、[[抑うつ状態]]、希死念慮、[[不安障害]]、[[対人恐怖]]、転換・解離症状、[[心因性疼痛]]、[[チック]]などが認められる。  
 精神面の特徴としては、運動・情緒・言語発達の遅れが顕著で、生来性の発達障害との鑑別に苦慮することになる。ほかに[[抑うつ]]、[[無表情]]、[[無気力]]、[[不眠]]、[[神経過敏]]や[[気分易変]]を認め、結果的に学習不振に至ることもある。低年齢では、おちつきがない、人との距離感がとれない、大人の顔色をうかがうといった行動も目立つ。精神症状としては、[[薬物依存]]、性的行動化(売春)、[[抑うつ状態]]、[[希死念慮]]、[[不安障害]]、[[対人恐怖]]、[[転換]]・[[解離症状]]、[[心因性疼痛]]、[[チック]]などが認められる。  


 子どもたちの心理的傾向として強調しておくべき点は、対人関係の問題として認められる人との関連性の学びの不在や、虐待する者へのしがみつきといったトラウマ性の体験による結びつきが強く認められる、施設などでは、この体験を再現しようと再三挑発的言動を繰り返し、虐待的人間関係の再現を執拗に試みることが認められる。  
 子どもたちの心理的傾向として強調しておくべき点は、対人関係の問題として認められる人との関連性の学びの不在や、虐待する者へのしがみつきといったトラウマ性の体験による結びつきが強く認められる、施設などでは、この体験を再現しようと再三挑発的言動を繰り返し、虐待的人間関係の再現を執拗に試みることが認められる。  


 一方で、情動や感覚の調整障害として、見捨てられ体験、行動で示す激しい怒りや感情(パニック)、自傷行為などもある。基本的に共通している点は、悪いのはいつも自分といった悪い自己イメージや否定的予測である。
 一方で、[[情動]]や[[感覚]]の調整障害として、見捨てられ体験、行動で示す激しい怒りや感情([[パニック]])、[[自傷行為]]などもある。基本的に共通している点は、悪いのはいつも自分といった悪い自己イメージや否定的予測である。


 なお、性的虐待を受けた子どもたちの心理は、不本意な性的快感や秘密の共有を強いられるため非常に複雑な心理状態に置かれる。  
 なお、性的虐待を受けた子どもたちの心理は、不本意な性的快感や秘密の共有を強いられるため非常に複雑な心理状態に置かれる。