「むずむず脚症候群」の版間の差分

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==診断基準==
==診断基準==
 診断基準を示す(表1)。むずむず脚症候群は夜間の就床時に下肢の症状が出現しやすいため、[[入眠障害]]、もしくは中途覚醒後の[[再入眠障害]]を呈しやすく、また、高頻度に足関節を中心にした反復性の運動([[周期性四肢運動]](Periodic limb movements during sleep: PLMs 15回/時間が病的基準とされている)を随伴することにより熟眠感欠如を随伴しやすい<ref name=Hening2004><pubmed>15165529</pubmed></ref> 3)。むずむず脚症候群の運動促迫症状を欠き、周期性四肢運動による熟眠障害ならびに睡眠の頻回な分断による日中眠気を呈している症例は[[周期性四肢運動障害]]([[Periodic limb movements disorder]]; [[PLMD]])と呼ばれるが、むずむず脚症候群と周期性四肢運動障害の基本病態は共通している。
 診断基準を示す('''表1''')。むずむず脚症候群は夜間の就床時に下肢の症状が出現しやすいため、[[入眠障害]]、もしくは中途覚醒後の[[再入眠障害]]を呈しやすく、また、高頻度に足関節を中心にした反復性の運動([[周期性四肢運動]](Periodic limb movements during sleep: PLMs 15回/時間が病的基準とされている)を随伴することにより熟眠感欠如を随伴しやすい<ref name=Hening2004><pubmed>15165529</pubmed></ref> 3)。むずむず脚症候群の運動促迫症状を欠き、周期性四肢運動による熟眠障害ならびに睡眠の頻回な分断による日中眠気を呈している症例は[[周期性四肢運動障害]]([[Periodic limb movements disorder]]; [[PLMD]])と呼ばれるが、むずむず脚症候群と周期性四肢運動障害の基本病態は共通している。


 むずむず脚症候群は、有病率の比較的高いcommon diseaseであり、[[睡眠障害]]<ref name=Becker2006><pubmed>19412498</pubmed></ref> 4)とQOLの低下をもたらす<ref name=Allen2005><pubmed>15956009</pubmed></ref> 5)。患者の75%に不眠が生じ、その結果、日中の[[認知機能]]に悪影響が及ぶとともに、健康関連のQOLを評価するSF-36の8項目すべてが健常群に比べて悪化したとの報告がある<ref name=Trenkwalder2018><pubmed>30244828</pubmed></ref> 6)。さらに、周期性四肢運動を合併するむずむず脚症候群では、周期性四肢運動に伴って収縮期・拡張期[[血圧]]が上昇することがわかっており、これが[[高血圧]]を含めた[[循環器]]系疾患のリスク要因になるか否かにつき議論がなされている7)8)<ref name=Allen2010><pubmed>19464949</pubmed></ref><ref name=Shin2018><pubmed>30032284</pubmed></ref> 。
 むずむず脚症候群は、有病率の比較的高いcommon diseaseであり、[[睡眠障害]]<ref name=Becker2006><pubmed>19412498</pubmed></ref> 4)とQOLの低下をもたらす<ref name=Allen2005><pubmed>15956009</pubmed></ref> 5)。患者の75%に不眠が生じ、その結果、日中の[[認知機能]]に悪影響が及ぶとともに、健康関連のQOLを評価するSF-36の8項目すべてが健常群に比べて悪化したとの報告がある<ref name=Trenkwalder2018><pubmed>30244828</pubmed></ref> 6)。さらに、周期性四肢運動を合併するむずむず脚症候群では、周期性四肢運動に伴って収縮期・拡張期[[血圧]]が上昇することがわかっており、これが[[高血圧]]を含めた[[循環器]]系疾患のリスク要因になるか否かにつき議論がなされている7)8)<ref name=Allen2010><pubmed>19464949</pubmed></ref><ref name=Shin2018><pubmed>30032284</pubmed></ref> 。
{| class="wikitable"
|+ キャプション文
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! 5つの必須診断基準:診断には全て当てはまる必要あり
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| #足を動かしたいという欲求が、常にではないものの通常不快な下肢の異常感覚に伴って、あるいは異常感覚が原因と感じて起こる。
#その強い欲求及び異常感覚が、安静にして、静かに横になったり座ったりしている状態で始まる、あるいは増悪する。
#その強い欲求及び異常感覚は、運動によって改善する。
#安静時におけるその強い欲求及び異常感覚が日中より夕方・夜間に増悪する。
#これらの特徴を持つ症状が、他の疾患・習慣的行動で説明できない。<br>(筋肉痛、静脈鬱血、下肢浮腫、関節炎、腓返り、特定の対位における不快感、フットタッピングなど類似疾患を鑑別除外)
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! 診断を補助する4つの特徴
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| #睡眠中あるいは安静時の周期性四肢運動の頻度または程度が年齢や薬剤などによる影響よりも大きい。
#ドパミン作動性薬剤(レボドーパおよびドーパミン作動薬)が少なくとも治療初期では症候を軽減する。
#家族歴がある。
#日中の強い眠気がない。
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| セル内のテキスト
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==疫学==
==疫学==