「アルゴノート」の版間の差分

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 全てのアルゴノートは、N、PAZ、MID、PIWIという4つの主要ドメインと、2つのリンカー(Linker-1とLinker-2)を持つ<ref name=Hutvagner2008><pubmed>18073770</pubmed></ref><ref name=Nakanishi2022><pubmed>35736234</pubmed></ref>  [15, 17] ('''図1''')。
 全てのアルゴノートは、N、PAZ、MID、PIWIという4つの主要ドメインと、2つのリンカー(Linker-1とLinker-2)を持つ<ref name=Hutvagner2008><pubmed>18073770</pubmed></ref><ref name=Nakanishi2022><pubmed>35736234</pubmed></ref>  [15, 17] ('''図1''')。


 NドメインはRISC形成に寄与する。PAZドメインはガイド(小分子)RNAの3’末端に、MIDドメインは5’末端に結合する。PIWIドメインはRNaseH様構造をとっており、アルゴノートが標的RNAを切断するためのエンドヌクレアーゼ活性(スライサー活性ともいう)を担う<ref name=Nakanishi2022><pubmed>35736234</pubmed></ref><ref name=Song2004><pubmed>15284453</pubmed></ref>  [17, 18]。その活性中心に相当するアスパラギン酸-グルタミン酸-アスパラギン酸-ヒスチジン(Asp-Glu-Asp-His)の4つのアミノ酸を変異させると、RNA切断活性を示さなくなる。但し、ヒトのAGO3はこの4つのアミノ酸を持つにもかかわらず、エンドヌクレアーゼ活性を示さない。
 NドメインはRISC形成に寄与する。PAZドメインはガイド(小分子)RNAの3’末端に、MIDドメインは5’末端に結合する。PIWIドメインは[[RNaseH]]様構造をとっており、アルゴノートが標的RNAを切断するための[[エンドヌクレアーゼ]]活性(スライサー活性ともいう)を担う<ref name=Nakanishi2022><pubmed>35736234</pubmed></ref><ref name=Song2004><pubmed>15284453</pubmed></ref>  [17, 18]。その活性中心に相当する[[アスパラギン酸]]-[[グルタミン酸]]-アスパラギン酸-[[ヒスチジン]](Asp-Glu-Asp-His)の4つのアミノ酸を変異させると、RNA切断活性を示さなくなる。但し、ヒトのAGO3はこの4つのアミノ酸を持つにもかかわらず、エンドヌクレアーゼ活性を示さない。


 最初に立体構造が解明されたアルゴノートは、超高熱古細菌(''Pyrococcus furiosus'')のAGOである<ref name=Song2004><pubmed>15284453</pubmed></ref>  [18]。ヒトの4種類全てのAGOと、ショウジョウバエPiwi、カイコ(''Bombyx mori'')Piwiホモログ(Siwi)の立体構造も既に解かれている<ref name=Matsumoto2016><pubmed>27693359</pubmed></ref><ref name=Nakanishi2022><pubmed>35736234</pubmed></ref><ref name=Yamaguchi2020><pubmed>31913276</pubmed></ref>  [17, 19, 20]。
 最初に立体構造が解明されたアルゴノートは、[[超高熱古細菌]](''Pyrococcus furiosus'')のAGOである<ref name=Song2004><pubmed>15284453</pubmed></ref>  [18]。ヒトの4種類全てのAGOと、ショウジョウバエPiwi、[[カイコ]](''Bombyx mori'')Piwiホモログ(Siwi)の立体構造も既に解かれている<ref name=Matsumoto2016><pubmed>27693359</pubmed></ref><ref name=Nakanishi2022><pubmed>35736234</pubmed></ref><ref name=Yamaguchi2020><pubmed>31913276</pubmed></ref>  [17, 19, 20]。


== 細胞内局在と機能 ==
== 細胞内局在と機能 ==