「Notch」の版間の差分

1,140 バイト追加 、 2018年1月6日 (土)
編集の要約なし
編集の要約なし
5行目: 5行目:
担当編集委員:[http://researchmap.jp/fujiomurakami 村上 富士夫](大阪大学 大学院生命機能研究科)<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/fujiomurakami 村上 富士夫](大阪大学 大学院生命機能研究科)<br>
</div>
</div>
{{box|text= 一段落程度の抄録をお願い致します。}}
{{box|text= Notchシグナルは、ショウジョウバエから哺乳動物まで広く保存されたシグナル伝達経路の一つであり、発生過程の様々な組織構築過程において細胞の増殖や分化など細胞の運命決定に機能している。また成体においても組織幹細胞の増殖や分化を制御することで組織・器官の恒常性の維持に寄与しており、Notchシグナル伝達経路が障害されると、様々な発生異常や疾患を引き起こすことが報告されている。Notchタンパク質は進化的に保存された幾つかのモチーフを有した一回膜貫通型タンパク質である。Notchシグナル伝達経路では、細胞膜上に発現するNotchタンパク質と隣接細胞の膜上に発現するNotchリガンド(DeltaやJaggedなど)が直接相互作用することによってシグナルが伝達される。シグナルが伝達された細胞においては、Notchタンパク質が段階的にプロセシングを受け膜上で切り出された細胞内ドメインが核内へと運ばれて下流遺伝子の発現を制御する。}}


==Notchとは==
==Notchとは==
47行目: 47行目:
===神経発生における役割===
===神経発生における役割===
 哺乳動物の神経発生においてNotchシグナルは、[[神経幹細胞]]の維持に重要な機能を果たしている。また発生過程の網膜において[[ミュラーグリア]]への運命決定に寄与するなど、[[グリア細胞]]の運命決定にもNotchが寄与している。
 哺乳動物の神経発生においてNotchシグナルは、[[神経幹細胞]]の維持に重要な機能を果たしている。また発生過程の網膜において[[ミュラーグリア]]への運命決定に寄与するなど、[[グリア細胞]]の運命決定にもNotchが寄与している。
Zli (Zona limitans intrathalamica)
Isthmus(峡部:中脳・菱脳境界背側部のくびれた部位)


 さらに中枢神経系において、[[Zli]][[Isthmus]](<u>編集部コメント:日本語はあるでしょう。</u>)、[[底板]]、[[蓋板]]といった領域の境界を形成する構造の形成にも機能していることが報告されている<ref name=ref2><pubmed>16728479</pubmed></ref> <ref name=ref4><pubmed>15068793</pubmed></ref>。
 さらに中枢神経系において、[[zona limitans intrathalamica]] ([[Zli]])、峡部 (中脳・菱脳境界背側部のくびれた部位; [[Isthmus]])、[[底板]]、[[蓋板]]といった領域の境界を形成する構造の形成にも機能していることが報告されている<ref name=ref2><pubmed>16728479</pubmed></ref> <ref name=ref4><pubmed>15068793</pubmed></ref>。
====神経幹細胞維持====
====神経幹細胞維持====
 隣接細胞が発現する[[Delta]]によって活性化されたNotchレセプターは、細胞膜上でレセプターのタンパク質が切り出され、細胞内ドメイン(NICD: Notch intracellular domain)が核内へと移行しNotchシグナルが活性化される。NICDの過剰発現により神経幹細胞からのニューロン分化は抑制される。また、Notchシグナルが活性化された細胞においては、bHLH型抑制性転写因子Hes1、Hes5が発現し、これらの因子がプロニューラル遺伝子の発現や機能を抑制することによって、幹細胞の未分化性を維持している<ref name=ref10><pubmed>7909512</pubmed></ref> <ref name=ref16><pubmed>11399758</pubmed></ref> <ref name=ref19 />。
 隣接細胞が発現する[[Delta]]によって活性化されたNotchレセプターは、細胞膜上でレセプターのタンパク質が切り出され、細胞内ドメイン(NICD: Notch intracellular domain)が核内へと移行しNotchシグナルが活性化される。NICDの過剰発現により神経幹細胞からのニューロン分化は抑制される。また、Notchシグナルが活性化された細胞においては、bHLH型抑制性転写因子Hes1、Hes5が発現し、これらの因子がプロニューラル遺伝子の発現や機能を抑制することによって、幹細胞の未分化性を維持している<ref name=ref10><pubmed>7909512</pubmed></ref> <ref name=ref16><pubmed>11399758</pubmed></ref> <ref name=ref19 />。
74行目: 76行目:
**[[wj:T細胞急性リンパ芽球性白血病|T細胞急性リンパ芽球性白血病]]
**[[wj:T細胞急性リンパ芽球性白血病|T細胞急性リンパ芽球性白血病]]
**[[wj:大腸ガン|大腸ガン]]
**[[wj:大腸ガン|大腸ガン]]
**Curb tumor angiogenesis (<u>編集部コメント:日本語訳をお願い致します</u>)
|}
|}


==参考文献==
==参考文献==
<references />
<references />