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細 (→シナプス後性LTP) |
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誘導刺激後、シナプス後肥厚部(postsynaptic density: PSD)にAMPA型受容体が集積することでシナプス応答の増強がおきると考えられている。これは、AMPA型受容体をGFPで蛍光ラベルして可視化する手法<ref name=Bosch2014><pubmed>24742465</pubmed></ref><ref name=Shi1999><pubmed>10364548</pubmed></ref>(28、29)や、GluA1-ホモメリック受容体(通常発現しているGluA2含有AMPA型受容体とは電流―電圧関係が異なり整流性を示すために、内在性のAMPA型受容体と電気生理学的に区別することができる)を海馬ニューロンに過剰発現させ、この外来性AMPA型受容体がLTP誘導後に実際にPSDへと移行していることを確かめることによって明らかにされた<ref name=Hayashi2000><pubmed>10731148</pubmed></ref>(30)。PSDへと集積するAMPA型受容体は、細胞内のプールからエクソサイトーシスによって活動依存的にPSDへと発現する(図2B:左)場合のほか<ref name=Kennedy2011><pubmed>21382547</pubmed></ref><ref name=Makino2009><pubmed>19914186</pubmed></ref><ref name=Patterson2010><pubmed>20733080</pubmed></ref>(31、32、33)、シナプス外(extrasynaptic site)に発現しているAMPA型受容体が側方拡散(lateral diffusion)によってPSDへと移行するという説(図2B:右)などが唱えられている<ref name=Choquet2003><pubmed>12671642</pubmed></ref><ref name=Opazo2012><pubmed>22051694</pubmed></ref>(34、35)。 | 誘導刺激後、シナプス後肥厚部(postsynaptic density: PSD)にAMPA型受容体が集積することでシナプス応答の増強がおきると考えられている。これは、AMPA型受容体をGFPで蛍光ラベルして可視化する手法<ref name=Bosch2014><pubmed>24742465</pubmed></ref><ref name=Shi1999><pubmed>10364548</pubmed></ref>(28、29)や、GluA1-ホモメリック受容体(通常発現しているGluA2含有AMPA型受容体とは電流―電圧関係が異なり整流性を示すために、内在性のAMPA型受容体と電気生理学的に区別することができる)を海馬ニューロンに過剰発現させ、この外来性AMPA型受容体がLTP誘導後に実際にPSDへと移行していることを確かめることによって明らかにされた<ref name=Hayashi2000><pubmed>10731148</pubmed></ref>(30)。PSDへと集積するAMPA型受容体は、細胞内のプールからエクソサイトーシスによって活動依存的にPSDへと発現する(図2B:左)場合のほか<ref name=Kennedy2011><pubmed>21382547</pubmed></ref><ref name=Makino2009><pubmed>19914186</pubmed></ref><ref name=Patterson2010><pubmed>20733080</pubmed></ref>(31、32、33)、シナプス外(extrasynaptic site)に発現しているAMPA型受容体が側方拡散(lateral diffusion)によってPSDへと移行するという説(図2B:右)などが唱えられている<ref name=Choquet2003><pubmed>12671642</pubmed></ref><ref name=Opazo2012><pubmed>22051694</pubmed></ref>(34、35)。 | ||
細胞内へと流入したカルシウムイオンは、さまざまなシグナル伝達系を活性化することが知られているが、中でもLTPと密接に関連していると考えられているのが、カルシウム-カルモデュリン依存性キナーゼII(calcium-calmodulin-dependent kinase II: CaMKII)である<ref name=Lisman2012><pubmed>22334212</pubmed></ref>(36)。CaMKIIの基質にはAMPA型受容体も含まれており、CaMKIIによるAMPA型受容体のリン酸化がPSDへの受容体の移行を制御しているといった報告<ref name=Henley2016><pubmed>27080385</pubmed></ref><ref name=Huganir2013><pubmed>24183021</pubmed></ref>(37、38)や、AMPA型受容体のリン酸化により受容体の単一チャネルコンダクタンス(single-channel conductance)が上昇する(図2C)という報告もあるが<ref name=Benke1998><pubmed>9655394</pubmed></ref><ref name=Derkach1999><pubmed>10077673</pubmed></ref>(39、40)、CaMKIIには他にも数百に及ぶ基質が知られており<ref name=Hornbeck2015><pubmed>25514926 [https://www.phosphosite.org/ [URL<nowiki>]</nowiki>] | 細胞内へと流入したカルシウムイオンは、さまざまなシグナル伝達系を活性化することが知られているが、中でもLTPと密接に関連していると考えられているのが、カルシウム-カルモデュリン依存性キナーゼII(calcium-calmodulin-dependent kinase II: CaMKII)である<ref name=Lisman2012><pubmed>22334212</pubmed></ref>(36)。CaMKIIの基質にはAMPA型受容体も含まれており、CaMKIIによるAMPA型受容体のリン酸化がPSDへの受容体の移行を制御しているといった報告<ref name=Henley2016><pubmed>27080385</pubmed></ref><ref name=Huganir2013><pubmed>24183021</pubmed></ref>(37、38)や、AMPA型受容体のリン酸化により受容体の単一チャネルコンダクタンス(single-channel conductance)が上昇する(図2C)という報告もあるが<ref name=Benke1998><pubmed>9655394</pubmed></ref><ref name=Derkach1999><pubmed>10077673</pubmed></ref>(39、40)、CaMKIIには他にも数百に及ぶ基質が知られており<ref name=Hornbeck2015><pubmed>25514926 </pubmed>[https://www.phosphosite.org/ [URL<nowiki>]</nowiki>]</ref>(41)、いずれの基質がLTPに重要であるのかは現在も検討が続いている状況である<ref name=Hayashi2022><pubmed>34375719</pubmed></ref>(42)。またCaMKIIは他のリン酸化酵素と異なり、シナプスでの発現量が非常に多く、その量はアクチンなどの細胞骨格に匹敵するほどであることに加え<ref name=Erondu1985><pubmed>4078628</pubmed></ref>(43)、12量体構造をとるといった特徴を持つことから<ref name=Hoelz2003><pubmed>12769848</pubmed></ref>(44)、単にリン酸化酵素として機能するにとどまらず、構造タンパクとしての側面がLTP制御の上で重要な役割を果たしている可能性も近年指摘されている<ref name=Hayashi2022><pubmed>34375719</pubmed></ref><ref name=Nicoll2023><pubmed>37290118</pubmed></ref>(42、45)。 | ||
== シナプス前性LTP == | == シナプス前性LTP == |