「シルドプロット」の版間の差分

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==プロットの方法 ==
==プロットの方法 ==
 単一の受容体を介して発現する[[作動薬]]Aの作用の[[用量反応関係]]を、種々の濃度の拮抗薬Bの存在下で調べ、[[用量比]] DR (dose ratio) を求める。ここで DR とは、拮抗薬B存在下においてある一定の大きさの反応を引き起こす作動薬Aの[[wikipedia:ja:モル濃度|モル濃度]] [A] を、拮抗薬非存在下において同じ大きさの反応を引き起こすAのモル濃度 [A]<sub>0</sub> で割ったものである。横軸にBのモル濃度の[[wikipedia:ja:常用対数|常用対数]]、縦軸に(DR−1)の常用対数をとると、Bが競合的拮抗薬である場合は、傾きを1とする直線関係が得られる(図1)。このプロットから、競合的拮抗薬の作用強度の指標である pA<sub>2</sub> の値が求められる。[[Image:Schildplot.jpg|thumb|right|200px|図1 シルドプロットの1例]]
 単一の受容体を介して発現する[[作動薬]]Aの作用の[[用量反応関係]]を、種々の濃度の拮抗薬Bの存在下で調べ、[[用量比]] DR (dose ratio) を求める。ここで DR とは、拮抗薬B存在下においてある一定の大きさの反応を引き起こす作動薬Aの[[wikipedia:ja:モル濃度|モル濃度]] [A] を、拮抗薬非存在下において同じ大きさの反応を引き起こすAのモル濃度 [A]<sub>0</sub> で割ったものである。横軸にBのモル濃度の[[wikipedia:ja:常用対数|常用対数]]、縦軸に(DR−1)の常用対数をとると、Bが競合的拮抗薬である場合は、傾きを1とする直線関係が得られる(図1)。このプロットから、競合的拮抗薬の作用強度の指標である pA<sub>2</sub> の値が求められる。[[Image:Schildplot.jpg|thumb|right|200px|'''図1 シルドプロットの1例''']]


== 競合的拮抗薬の場合 ==
== 競合的拮抗薬の場合 ==


 競合的拮抗薬は、受容体タンパク質内の同一の部位に対する可逆的な結合に関して作動薬と競合する分子である。ある組織/細胞において、作動薬Aが単一の受容体を介して反応を引き起こす場合、Aの濃度の対数 log [A] を横軸、組織/細胞の最大反応に対する反応の百分率を縦軸にとると、[[wikipedia:ja:シグモイド|シグモイド]]型の[[用量反応曲線]]が得られる。次に、一定濃度の競合的拮抗薬Bの存在下で同様にAの用量反応関係を求めると、その曲線は拮抗薬非存在下で求めた曲線と比べて高用量側(右側)にシフトする。Bの濃度 [B] が高いほど、Aの用量反応曲線のシフトの幅([A]/[A]<sub>0</sub>、すなわちDR)も大きくなる(図2)。 [[Image:Doseresponse.jpg|thumb|right|200px|図2 種々の濃度の拮抗薬Bの存在下での作動薬Aの用量反応曲線]]
 競合的拮抗薬は、受容体タンパク質内の同一の部位に対する可逆的な結合に関して作動薬と競合する分子である。ある組織/細胞において、作動薬Aが単一の受容体を介して反応を引き起こす場合、Aの濃度の対数 log [A] を横軸、組織/細胞の最大反応に対する反応の百分率を縦軸にとると、[[wikipedia:ja:シグモイド|シグモイド]]型の[[用量反応曲線]]が得られる。次に、一定濃度の競合的拮抗薬Bの存在下で同様にAの用量反応関係を求めると、その曲線は拮抗薬非存在下で求めた曲線と比べて高用量側(右側)にシフトする。Bの濃度 [B] が高いほど、Aの用量反応曲線のシフトの幅([A]/[A]<sub>0</sub>、すなわちDR)も大きくなる(図2)。 [[Image:Doseresponse.jpg|thumb|right|200px|'''図2 種々の濃度の拮抗薬Bの存在下での作動薬Aの用量反応曲線''']]


DRと[B]との間には、以下の関係が成り立つ。  
DRと[B]との間には、以下の関係が成り立つ。