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英語名:arachnoid mater 独:Arachnoidea encephali, Spinnwebenhaut 仏:arachnoïde | 英語名:arachnoid mater 独:Arachnoidea encephali, Spinnwebenhaut 仏:arachnoïde | ||
{{box|text= | {{box|text= くも膜は、脳脊髄を覆う3層の髄膜のうち、外から2層目にあたるものである。[[硬膜]]には密着しているが、内の[[軟膜]]との間には[[脳脊髄液]]で満たされているくも膜下腔があり、小柱という線維の束がくも膜と軟膜をつなぐ。くも膜下腔内に存在する動脈瘤が破れるとくも膜下出血をおこし、空間が限られる頭蓋内では重症化しやすい。脳内脈絡巣から産生された髄液が、脳表のくも膜顆粒、軟膜を介して吸収される。くも膜下出血などでくも膜下腔の髄液吸収路が障害されると、髄液貯留がおこり水頭症となる。}} | ||
[[image: | [[image:クモ膜1.png|thumb|350px|'''図1.頭蓋骨及び髄膜とその間隙''']] | ||
[[image: | [[image:クモ膜2.png|thumb|350px|'''図2'''<br>くも膜下腔を走行する脳動脈にできたコブが破裂すると、出血は髄液の通路であるくも膜下腔に広がる]] | ||
くも膜(蜘蛛膜)は、脳と脊髄を覆う3層の髄膜のうち、外から2層目にあたるものである。名は小柱の入り組んだ様子がクモ(ラテン語でarachnoid)の巣を思わせることからが由来である(図1)。 | |||
くも膜は一番外の[[硬膜]]には密着しているが、内の[[軟膜]]との間には広い空間があり、小柱という線維の束が無数に伸びてくも膜と軟膜をつないでいる。この空間は肉眼で見ても明らかで、くも膜下腔と呼ばれる。[[くも膜下腔]]は[[脳脊髄液]]で満たされている。硬膜とくも膜の間にもわずかながら[[硬膜下隙]]と呼ばれる隙間があり、[[硬膜下出血]]で血液がたまると肉眼で認められる程度まで広がる。 | |||
脳のくも膜と脊髄のくも膜を特に区別する必要があるときは、[[脳くも膜]](英語:cranial arachnoid、ラテン語:arachnoidea encephali)、[[脊髄くも膜]](英語:spinal arachnoid、ラテン語:arachnoidea spinalis)と呼び分ける。脳くも膜は[[脳硬膜]]を貫いて、頭蓋内の[[静脈洞]]に[[くも膜顆粒]]([[パッキオーニ小体]])と呼ばれる突出を作っている。くも膜顆粒はくも膜下腔の脳脊髄液がくも膜を通過して静脈血に吸収される場所と考えられている。 | |||
硬膜・軟膜と同様、脊髄くも膜は[[脊髄神経]]の根を包んで脊柱管の外に出る。[[脊髄神経]]が[[脊髄神経節]]を作り前枝と後枝に分かれた先にもくも膜は続いているが、その部分は[[神経周膜]]と呼ばれる。 | |||
通常[[動脈瘤]] | 通常[[動脈瘤]]はくも膜下腔内に動脈のコブ(動脈瘤)として存在している(図2)。このため、一旦動脈瘤が破裂すると、[[くも膜下出血]]をおこし、圧迫効果が乏しい頭蓋内では容易にこの出血が重症化しやすい。このため、くも膜下出血は早期の診断・治療が望まれる。 | ||
脳脊髄液循環に関しては、古典的には脳内[[脈絡巣]] | 脳脊髄液循環に関しては、古典的には脳内[[脈絡巣]]から産生された髄液が、脳表のくも膜顆粒、軟膜を介して吸収されているとされている。くも膜下出血などでくも膜下腔の髄液吸収路が癒着により狭窄、閉塞したときには、髄液貯留がおこり[[水頭症]]を合併することがある。くも膜は臨床的に重要な構造である。 | ||
==関連項目== | ==関連項目== | ||
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* [[軟膜]] | * [[軟膜]] | ||
* [[脳脊髄液]] | * [[脳脊髄液]] | ||
* [[ | * [[くも膜下出血]] | ||
* [[水頭症]] | * [[水頭症]] | ||
== 参考文献 == | == 参考文献 == | ||
(適当な教科書など、文献をご紹介ください) |