「両手間協調運動」の版間の差分

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 靴ひもを結ぶ運動に代表される運動は左右の手を協調して行うことで達成される。両手間協調運動は特にヒトでよく発達しており、このような運動機能が霊長類に至る進化の上で重要と考えられている。しかし、霊長類よりも下等とされる動物、例えばげっ歯類でも捕食時や摂食時などにしばしば見られる運動でもある。
 靴ひもを結ぶ運動に代表される運動は左右の手を協調して行うことで達成される。両手間協調運動は特にヒトでよく発達しており、このような運動機能が霊長類に至る進化の上で重要と考えられている。しかし、霊長類よりも下等とされる動物、例えばげっ歯類でも捕食時や摂食時などにしばしば見られる運動でもある。


 この運動には、左右の手指の精緻な運動制御に加え、タイミング制御という二つの要素が必須であり、脳の多くの領域が関与しているものと思われる。まず、左右手指の精緻な運動制御は、一次運動野に存在する体部位局在にもとづく運動パターンの生成と制御指令が脊髄への下行系を経て行われていると考えられる。一次運動野には、特に錐体路を経由し脊髄へ直接投射するニューロン(錐体路ニューロン)と、さらにその中で脊髄前角のα運動細胞に直接シナプス接続する皮質運動ニューロンとが存在しており、大脳皮質で生成された運動指令を直接伝える系として知られてきた。しかし、左右の一次運動野だけがそれぞれ独立して両手間協調を行っているのではなく、左右半球間の脳梁を介する情報のやりとりが重要と思われるが、左右大脳半球の一次運動野の手指領域には脳梁を介する相互投射が少ない。サル大脳の一次運動野の近傍では補足運動野あるいは運動前野(いずれもBrodmannの6野に存在)が左右半球間での投射があることに加え、右あるいは左のみの手指を動かす時、または左右の手指を動かす時のそれぞれに特異的に活動を示すニューロンの存在することが知られており、両手でどのような運動をすべきかのパターンを生成していると考えられている。
 この運動には、左右の手指の精緻な運動制御に加え、タイミング制御という二つの要素が必須であり、脳の多くの領域が関与しているものと思われる。まず、左右手指の精緻な運動制御は、一次運動野に存在する体部位局在にもとづく運動パターンの生成と制御指令が脊髄への下行系を経て行われていると考えられる。一次運動野には、特に錐体路を経由し脊髄へ直接投射するニューロン(錐体路ニューロン)と、さらにその中で脊髄前角のα運動細胞に直接シナプス接続する皮質運動ニューロンとが存在しており、大脳皮質で生成された運動指令を直接伝える系として知られてきた。しかし、左右の一次運動野だけがそれぞれ独立して両手間協調を行っているのではなく、左右半球間の脳梁を介する情報のやりとりが重要と思われるが、左右大脳半球の一次運動野の手指領域には脳梁を介する相互投射が少ない。サル大脳の一次運動野の近傍では補足運動野あるいは運動前野(いずれもBrodmannの6野に存在)が左右半球間での投射があることに加え、右あるいは左のみの手指を動かす時、または左右の手指を動かす時のそれぞれに特異的に活動を示すニューロンの存在することが知られており、両手でどのような運動をすべきかのパターンを生成していると考えられている。