「アクチビン」の版間の差分

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 アクチビン/インヒビン/フォリスタチン系は神経内分泌系、下垂体制御系で重要な生理作用を持つ。生殖腺由来のインヒビンはフィードバック調節による下垂体での作用が主要であり低濃度でFSH産生を抑制する。これはFSHの基礎分泌がアクチビンにより維持されており、それをインヒビンがアンタゴニストとして作用し、それを阻害するためと考えられている。アクチビンの作用は産生組織周辺のオートクライン作用あるいはパラクリン作用が主体である。例えば、下垂体内ではオートクライン作用でFSHの転写や分泌を調節している。卵巣顆粒膜細胞では、アクチビンはプロゲステロン産生やLH受容体を増加させ黄体化を促進する。この作用は主としてパラクライン作用と考えられている。アクチビンは多くの組織で産生され、視床下部―下垂体―生殖腺以外の組織でも多彩な機能を発揮する。神経系でもアクチビンは極めてユニークな作用を発揮する。
 アクチビン/インヒビン/フォリスタチン系は神経内分泌系、下垂体制御系で重要な生理作用を持つ。生殖腺由来のインヒビンはフィードバック調節による下垂体での作用が主要であり低濃度でFSH産生を抑制する。これはFSHの基礎分泌がアクチビンにより維持されており、それをインヒビンがアンタゴニストとして作用し、それを阻害するためと考えられている。アクチビンの作用は産生組織周辺のオートクライン作用あるいはパラクリン作用が主体である。例えば、下垂体内ではオートクライン作用でFSHの転写や分泌を調節している。卵巣顆粒膜細胞では、アクチビンはプロゲステロン産生やLH受容体を増加させ黄体化を促進する。この作用は主としてパラクライン作用と考えられている。アクチビンは多くの組織で産生され、視床下部―下垂体―生殖腺以外の組織でも多彩な機能を発揮する。神経系でもアクチビンは極めてユニークな作用を発揮する。
[[ファイル:915W.pdb|サムネイル|'''図2. アクチビンの立体構造'''<br>[https://www.rcsb.org/structure/915W PDB 915W]。]]
[[ファイル:2arv.pdb|サムネイル|'''図2. アクチビンの立体構造'''<br>[https://www.rcsb.org/structure/2ARV PDB 2ARV]。]]
[[ファイル:Tsuchida Activin Fig3.png|サムネイル|'''図3. アクチビンと受容体(ActRIIB-ECD)の結合'''<br>下部がアクチビン二量体、上部(緑、オレンジ)がActRIIBの細胞外領域。[https://www.rcsb.org/structure/1S4Y PDB 1S4Y]。]]
[[ファイル:Tsuchida Activin Fig3.png|サムネイル|'''図3. アクチビンと受容体(ActRIIB-ECD)の結合'''<br>下部がアクチビン二量体、上部(緑、オレンジ)がActRIIBの細胞外領域。[https://www.rcsb.org/structure/1S4Y PDB 1S4Y]。]]
== 構造 ==
== 構造 ==
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! リガンド !! タイプII受容体 !! タイプI受容体 !! コ・レセプター !! Smad
! リガンド !! タイプII受容体 !! タイプI受容体 !! コ・レセプター !! Smad
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| アクチビン A || ACVR2A, ACVR2B || ACVR1B, (ACVR1C) || || Smad 2,3 with Smad4
| アクチビン A || ACVR2A, ACVR2B || ACVR1B, (ACVR1C) || - ||rowspan="3"|Smad 2,3 with Smad4
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| アクチビン B || ACVR2A, ACVR2B || ACVR1C, ACVR1B || - ||  
| アクチビン B || ACVR2A, ACVR2B || ACVR1C, ACVR1B || - ||  
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! 構造 !! PDB !! 参考文献
! 構造 !! PDB !! 参考文献
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| アクチビンA ||  2ARV, 915W ||<ref name=Harrington2006><pubmed>16482217</pubmed></ref>
| アクチビンA ||  2ARV ||<ref name=Harrington2006><pubmed>16482217</pubmed></ref>
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| アクチビンAとアクチビンII型受容体 (ACVR2A, ActRIIA) 複合体 || 7U5P ||<ref name=Chu2022><pubmed>35643319</pubmed></ref>
| アクチビンAとアクチビンII型受容体 (ACVR2A, ActRIIA) 複合体 || 7U5P ||<ref name=Chu2022><pubmed>35643319</pubmed></ref>