「塩素チャネル」の版間の差分

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#[[カルシウム依存性塩素チャネル]](calcium-activated chloride channel; CaCC)  
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#[[細胞容積感受性塩素チャネル]] (volume-regulated chloride/anion channel; VRAC)  
#[[細胞容積感受性塩素チャネル]] (volume-regulated chloride/anion channel; VRAC)  
#[[CFTR]](cystic fibrosis transmembrane conductance regulator)塩素チャネル  
#[[嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子]](cystic fibrosis transmembrane conductance regulator)塩素チャネル  
#リガンド作動性塩素チャネル([[GABA受容体]]、[[グリシン受容体]])
#リガンド作動性塩素チャネル([[GABA受容体]]、[[グリシン受容体]])



2025年8月30日 (土) 14:32時点における最新版

秋田 天平熊田 竜郎福田 敦夫
浜松医科大学 医学部
DOI:10.14931/bsd.2648 原稿受付日:2013年3月7日 原稿完成日:2013年4月5日
担当編集委員:林 康紀(独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)

英語名: chloride channel

同義語: アニオンチャネル、クロライドチャネル、Clチャネル、塩素イオンチャネル 

 塩素チャネルは主にClを透過するイオンチャネルで、他の陰イオンやアミノ酸アニオンも通すため「アニオンチャネル」とも呼ばれます。神経系ではGABA受容体やグリシン受容体が代表的で抑制伝達に重要です。また、膜電位や細胞容積、Ca²⁺、cAMPなどで開閉が制御され、細胞の電気活動や浸透圧調整、分泌、移動、アポトーシスに関与し、多様な疾患にも関連します。

塩素チャネルとは

 細胞膜に組み込まれたイオンチャネルの一種で、主に塩化物イオン(Cl)を受動的に透過させる。ほとんどの塩素チャネルは、Cl以外のIBrF等の無機陰イオン(アニオン)にも透過性を示し、またNO3-SCN-HCO3グルタミン酸アスパラギン酸等のアミノ酸アニオンにも透過性を示すものも多いことから、一般にアニオンチャネルとも呼ばれる。

 細胞膜電位、細胞内カルシウムイオン濃度、細胞容積の変化や、リガンドの結合あるいはcAMP依存性のリン酸化反応に応答して開口する塩素チャネルがある。神経系において最もよく知られる塩素チャネルは、神経細胞の興奮、抑制調節に関与するリガンド作動性塩素チャネル(GABAA受容体GABAC受容体グリシン受容体)である。リガンド作動性以外の塩素チャネルについて、現在のところ特異的な阻害薬がほとんど無い。

 塩素チャネルは神経系を含むあらゆる種類の細胞に発現し、膜電位や細胞容積の調節、細胞の移動、増殖や細胞死アポトーシス)、分泌などの細胞の基本機能に広く関与しており、チャネルとの関連疾患も数多く知られている。

種類

 哺乳類の神経系に発現している塩素チャネルは以下の5つに大別される。詳細はそれぞれの項目参照。

  1. ClC塩素チャネル
  2. カルシウム依存性塩素チャネル(calcium-activated chloride channel; CaCC)
  3. 細胞容積感受性塩素チャネル (volume-regulated chloride/anion channel; VRAC)
  4. 嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(cystic fibrosis transmembrane conductance regulator)塩素チャネル
  5. リガンド作動性塩素チャネル(GABA受容体グリシン受容体
表 塩素チャネルのまとめ リガンド作動性塩素チャネルをのぞく
ファミリー 遺伝子名 シングルチャネルコンダクタンス(pS) イオン透過性 遮断薬阻害剤 関連疾患
ClC塩素チャネル ClC-2 (CLCN2) ~3 Cl > Br > I Zn2+, Cd2+, NPPB, 9-AC, DPC n.d.
ClC-3 (CLCN3)
ClC-4 (CLCN4)
n.d. Br ≥ Cl > I n.d. n.d.
ClC-6 (CLCN6)
ClC-7 (CLCN7)
n.d. n.d. n.d. 大理石骨病(ClC-7)
カルシウム依存性塩素チャネル Ano1/TMEM16A (ANO1)
Ano2/TMEM16B (ANO2)
~8 I > Br > Cl NFA, DIDS, SITS, NPPB, DPC 消化管間質腫瘍GIST; Ano1)
Best1 (BEST1)
Best2 (BEST2)
~2 I > Br > Cl NFA, DIDS, NPPB 卵黄状黄斑ジストロフィーベスト病
常染色体優性硝子体網脈絡膜症
細胞容積感受性塩素チャネル VSORアニオンチャネル(遺伝子未同定) 50-80 (脱分極時)
10-20 (過分極時)
I > Br > Cl DIDS, SITS, DNDS, NPPB, NFA, IAA-94, phloretin, DCPIB 脳血管障害
マキシアニオンチャネル (遺伝子未同定) 300-400 I > Br > Cl Gd3+, DIDS, SITS, NPPB, アラキドン酸 脳血管障害
嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子 CFTR (CFTR) 6-10 Br ≥ Cl > I CFTRinh-172, グリベンクラミド, ロニダミン, DPC, NPPB 嚢胞性線維症

遺伝子名はAllen Brain Atlasのin situハイブリダイゼーションデーターへのリンク

9-AC:anthracene-9-carboxylate
DCPIB:4-(2-butyl-6,7-dichloro-2-cyclopentylindan-1-on-5-yl)oxybutyric acid
DIDS:4,4′-diisothiocyanatostilbene-2,2′-disulfonic acid
DNDS:4,4'-dinitrostilbene-2,2'-disulfonate
DPC:diphenylamine-2-carboxylate
IAA-94:indanyloxyacetic acid 94
n.d.:未定または検出できず(not determined or detected)
NFA:niflumic acid
NPPB:5-nitro-2-(3-phenylpropylamino)benzoic acid
SITS:4-acetamido-4′-isothiocyanato-2,2′-stilbenedisulfonic acid

関連項目

参考文献