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担当編集委員:[http://researchmap.jp/read0192882 古屋敷 智之](東京科学大学大学院 医歯学総合研究科 薬理学分野)<br> | 担当編集委員:[http://researchmap.jp/read0192882 古屋敷 智之](東京科学大学大学院 医歯学総合研究科 薬理学分野)<br> | ||
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略語: C9orf72 | 略語: C9orf72 | ||
{{box|text= | {{box|text= Chromosome 9 open reading frame 72 (C9orf72)はDENNドメインを有するタンパク質であり、種々の低分子量Gタンパク質の活性制御を介して、小胞輸送やオートファジー、自然免疫といった多岐にわたる生体機能に関与する。2011年に、本遺伝子の非翻訳領域内に存在するGGGGCCリピート配列の異常伸長が、筋萎縮性側索硬化症および前頭側頭型認知症における最も高頻度の原因遺伝子変異として同定され、その病態メカニズムが注目されている。現在、①C9orf72遺伝子の機能喪失、②転写された変異リピートRNAによる毒性、③リピート関連非AUG依存性翻訳によって産生されるリピートペプチドによる毒性が、協調的に神経変性病態に寄与すると考えられている。}} | ||
== 歴史的推移 == | == 歴史的推移 == | ||
Chromosome 9 open reading frame 72 (C9orf72)遺伝子は、[[神経変性疾患]]である[[筋萎縮性側索硬化症]]([[amyotrophic lateral sclerosis]], [[ALS]])および[[前頭側頭型認知症]]([[frontotemporal dementia]], [[FTD]])の原因となる代表的な遺伝子の1つとして、研究が進展してきた。 | |||
2006年、家族性ALS/FTD家系を用いた連鎖解析によって、責任遺伝子領域が9番染色体短腕に同定され<ref name=Morita2006><pubmed>16421333</pubmed></ref><ref name=Vance2006><pubmed>16495328</pubmed></ref>、その後の遺伝子探索によって、2011年にC9orf72遺伝子[[非翻訳領域]]内のGGGGCC 6塩基リピート配列の異常伸長(正常: 2-24回リピート, 疾患: 60-4000回リピート)が、原因遺伝子変異として同定された<ref name=DeJesusHernandez2011><pubmed>21944778</pubmed></ref><ref name=Renton2011><pubmed>21944779</pubmed></ref>。このリピート伸長変異は、欧米のALS/FTDコホートにおいて最も頻度の高い原因遺伝子変異であることが明らかとなり、同遺伝子の生理的機能やリピート伸長変異による病態メカニズムに注目が集まり、研究が展開されている。 | 2006年、家族性ALS/FTD家系を用いた連鎖解析によって、責任遺伝子領域が9番染色体短腕に同定され<ref name=Morita2006><pubmed>16421333</pubmed></ref><ref name=Vance2006><pubmed>16495328</pubmed></ref>、その後の遺伝子探索によって、2011年にC9orf72遺伝子[[非翻訳領域]]内のGGGGCC 6塩基リピート配列の異常伸長(正常: 2-24回リピート, 疾患: 60-4000回リピート)が、原因遺伝子変異として同定された<ref name=DeJesusHernandez2011><pubmed>21944778</pubmed></ref><ref name=Renton2011><pubmed>21944779</pubmed></ref>。このリピート伸長変異は、欧米のALS/FTDコホートにおいて最も頻度の高い原因遺伝子変異であることが明らかとなり、同遺伝子の生理的機能やリピート伸長変異による病態メカニズムに注目が集まり、研究が展開されている。 | ||