「Gastrulation brain homeoboxファミリー」の版間の差分

52行目: 52行目:


==発現 ==
==発現 ==
 初期に報告された個体レベルでの発現について概説する('''表2''')。胚領域ごとの詳細は「個体機能」の項に譲る(発生段階の表記については'''表2'''の注2参照)。
=== ''Gbx1'' ===
=== ''Gbx1'' ===
 マウスの場合、E7.5から胚体の後方領域で後端ほど強く発現しており、発現前端は''Gbx2''のものよりやや後方にある。その後、[[後脳]]第2-第7[[菱脳]]節(r2-7)、[[脊髄]]、[[眼胞]]、[[内側基底核原基]]([[medial ganglionic eminence]], [[内側基底核原基]])、[[前脳基底部]]などで発現が見られる<ref name=Rhinn2004><pubmed>14745958</pubmed></ref>。神経系以外では、[[原条]]、[[尿嚢]]、[[側板中胚葉]]でも発現する<ref name=Waters2003><pubmed>12799077</pubmed></ref> <ref name=Rhinn2004><pubmed>14745958</pubmed></ref>。
 マウスの場合、E7.5から胚体の後方領域で後端ほど強く発現しており、発現前端は''Gbx2''のものよりやや後方にある。その後、[[後脳]]第2-第7[[菱脳]]節(r2-7)、[[脊髄]]、[[眼胞]]、[[内側基底核原基]]([[medial ganglionic eminence]], [[内側基底核原基]])、[[前脳基底部]]などで発現が見られる<ref name=Rhinn2004><pubmed>14745958</pubmed></ref>。神経系以外では、[[原条]]、[[尿嚢]]、[[側板中胚葉]]でも発現する<ref name=Waters2003><pubmed>12799077</pubmed></ref> <ref name=Rhinn2004><pubmed>14745958</pubmed></ref>。
59行目: 57行目:
 ニワトリでは、13日胚の脳と[[骨格筋]]で発現が検出された<ref name=Kowenz-Leutz1997><pubmed>9346236</pubmed></ref>。さらに、胚由来の[[表皮]]や[[腸]]の[[粘膜]][[上皮]]で培養系においても発現が確認されている<ref name=Obinata2001><pubmed>11162634</pubmed></ref>。
 ニワトリでは、13日胚の脳と[[骨格筋]]で発現が検出された<ref name=Kowenz-Leutz1997><pubmed>9346236</pubmed></ref>。さらに、胚由来の[[表皮]]や[[腸]]の[[粘膜]][[上皮]]で培養系においても発現が確認されている<ref name=Obinata2001><pubmed>11162634</pubmed></ref>。


 ゼブラフィッシュの場合、原腸形成期においてマウスとは発現パターンに大きな違いが見られる。この動物の場合、''gbx1''は、''gbx2''の発現がまだ見られない原腸形成中期(75% epiboly)において、[[Orthodenticle homeobox 2]] (''[[Otx2]]'')の発現する前方脳領域とほぼ相補的に[[神経板]]の後方で広く発現する<ref name=Kikuta2003><pubmed>14579382</pubmed></ref> <ref name=Rhinn2003><pubmed>12963112</pubmed></ref> ('''図2, 3''')。こうした発現はマウス ''Gbx1'' では知られておらず、下述する[[四足類]]での ''Gbx2'' の発現と一致する。
 ゼブラフィッシュでは、原腸形成期においてマウスとは発現パターンに大きな違いが見られる。この動物の場合、''gbx1''は、''gbx2''の発現がまだ見られない原腸形成中期(75% epiboly)において、[[Orthodenticle homeobox 2]] (''[[Otx2]]'')の発現する前方脳領域とほぼ相補的に[[神経板]]の後方で広く発現する<ref name=Kikuta2003><pubmed>14579382</pubmed></ref> <ref name=Rhinn2003><pubmed>12963112</pubmed></ref> ('''図2, 3''')。こうした発現はマウス ''Gbx1'' では知られておらず、下述する[[四足類]]での ''Gbx2'' の発現と一致する。一方、[[体節]]形成期以降での発現は、マウスに類似している。まず、後脳では前端(r1)で発現が消失する一方、より後方の菱脳節、そして脊髄全域で発現する<ref name=Wang2018><pubmed>29289755</pubmed></ref>('''図2, 3''')。[[咽頭胚期]](30 hpf以降)になると、[[外套]]下部([[終脳]]腹側)の内側基底核原基領域、そして後脳の[[鰓弓]][[運動ニューロン]]でも発現している<ref name=Rhinn2003><pubmed>12963112</pubmed></ref><ref name=Wang2018><pubmed>29289755</pubmed></ref>。
 
 一方、[[体節]]形成期以降での発現は、マウスに類似している。まず、後脳では前端(r1)で発現が消失する一方、より後方の菱脳節、そして脊髄全域で発現する<ref name=Wang2018><pubmed>29289755</pubmed></ref>('''図2, 3''')。[[咽頭胚期]](30 hpf以降)になると、[[外套]]下部([[終脳]]腹側)の内側基底核原基領域、そして後脳の[[鰓弓]][[運動ニューロン]]でも発現している<ref name=Rhinn2003><pubmed>12963112</pubmed></ref><ref name=Wang2018><pubmed>29289755</pubmed></ref>。


=== ''Gbx2'' ===
=== ''Gbx2'' ===
69行目: 65行目:
<ref name=Nakamura2001><pubmed>11163885</pubmed></ref><ref name=Rhinn2001><pubmed>11179870</pubmed></ref><ref name=Simeone2002><pubmed>12100885</pubmed></ref>。
<ref name=Nakamura2001><pubmed>11163885</pubmed></ref><ref name=Rhinn2001><pubmed>11179870</pubmed></ref><ref name=Simeone2002><pubmed>12100885</pubmed></ref>。


 マウスおよびニワトリでは、''Otx2'' と ''Gbx2'' の発現は原腸形成期に独立して始まり、重なりがみられるが、原腸形成後に両遺伝子の発現は排他的になり、明確な境界を形成する。なお、この時期に後脳前端で ''Fgf8'' の発現が始まり、峡部オーガナイザーが形成される<ref name=Garda2001><pubmed>11231064</pubmed></ref><ref name=Li2001><pubmed>11748135</pubmed></ref>('''図2''')。
 マウスおよびニワトリでは、''[[Otx2]]'' と ''[[Gbx2]]'' の発現は原腸形成期に独立して始まり、重なりがみられるが、原腸形成後に両遺伝子の発現は排他的になり、明確な境界を形成する。なお、この時期に後脳前端で ''[[Fgf8]]'' の発現が始まり、峡部オーガナイザーが形成される<ref name=Garda2001><pubmed>11231064</pubmed></ref><ref name=Li2001><pubmed>11748135</pubmed></ref>('''図2''')。


 原腸形成以降は様々な領域で発現する。マウスでは<ref name=Bouillet1995><pubmed>8601031</pubmed></ref> <ref name=Wassarman1997><pubmed>9247335</pubmed></ref>、E8.5では[[前腸]]と[[尾芽]]、E9.5において脊髄全域、[[内耳]]原基([[耳胞]])、[[咽頭弓]]で発現し、E11.5になると、[[視床]]、[[線条体]]、[[小脳]]、[[延髄]]、脊髄背側、内耳上皮、咽頭弓でも観察される。成体では視床、[[膝状体]]、[[扁桃体]]で発現し、さらに[[脾臓]]とメス[[生殖管]]で発現が認められている<ref name=Bouillet1995><pubmed>8601031</pubmed></ref>。ニワトリ<ref name=Martínez-de-la-Torre2002><pubmed>11923005</pubmed></ref><ref name=Niss1998><pubmed>9767154</pubmed></ref><ref name=Shamim1998><pubmed>9767156</pubmed></ref>とアフリカツメガエル<ref name=von_Bubnoff1996><pubmed>8652408</pubmed></ref> <ref name=Tour2001><pubmed>11684099</pubmed></ref>でもマウスと類似する(詳細は'''表2'''参照)。
 原腸形成以降は様々な領域で発現する。マウスでは<ref name=Bouillet1995><pubmed>8601031</pubmed></ref> <ref name=Wassarman1997><pubmed>9247335</pubmed></ref>、E8.5では[[前腸]]と[[尾芽]]、E9.5において脊髄全域、[[内耳]]原基([[耳胞]])、[[咽頭弓]]で発現し、E11.5になると、[[視床]]、[[線条体]]、[[小脳]]、[[延髄]]、脊髄背側、内耳上皮、咽頭弓でも観察される。成体では視床、[[膝状体]]、[[扁桃体]]で発現し、さらに[[脾臓]]とメス[[生殖管]]で発現が認められている<ref name=Bouillet1995><pubmed>8601031</pubmed></ref>。ニワトリ<ref name=Martínez-de-la-Torre2002><pubmed>11923005</pubmed></ref><ref name=Niss1998><pubmed>9767154</pubmed></ref><ref name=Shamim1998><pubmed>9767156</pubmed></ref>とアフリカツメガエル<ref name=von_Bubnoff1996><pubmed>8652408</pubmed></ref> <ref name=Tour2001><pubmed>11684099</pubmed></ref>でもマウスと類似する(詳細は'''表2'''参照)。
93行目: 89行目:
| マウス
| マウス
|
|
E7.5から後方で強く発現する。発現前端はGbx2のものよりやや後方にあり、後方に向けて発現が強くなる。その後、後脳第2–第7菱脳節(r2–r7)、脊髄(脳室帯)、眼胞、内側基底核原基(内側基底核原基)、前脳基底部などで発現が見られる。後脳では特にr3とr5で発現が顕著となる。<br>
E7.5から後方で強く発現する。発現前端はGbx2のものよりやや後方にあり、後方に向けて発現が強くなる。その後、後脳第2–第7菱脳節(r2–r7)、脊髄([[脳室帯]])、[[眼胞]]、内側基底核原基(内側基底核原基)、前脳基底部などで発現が見られる。後脳では特にr3とr5で発現が顕著となる。<br>
尿素、尿嚢、側板中胚葉でも発現が見られる。
尿素、尿嚢、側板中胚葉でも発現が見られる。
|
|