「ゼブラフィッシュ」の版間の差分
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<font size="+1">[https://researchmap.jp/fumikubo 久保 郁]</font><br> | |||
''理化学研究所 脳神経科学研究センター''<br> | |||
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2026年8月31日 原稿完成日:2026年9月15日<br> | |||
担当編集委員:[https://researchmap.jp/yamagatm 山形 方人](ハーバード大学・脳科学センター)<br> | |||
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英:zebrafish 独:Zebrafisch 仏:poisson-zèbre<br> | 英:zebrafish 独:Zebrafisch 仏:poisson-zèbre<br> | ||
学名:''Danio rerio'' | 学名:''Danio rerio'' | ||
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== モデル生物としての特徴 == | == モデル生物としての特徴 == | ||
ゼブラフィッシュが神経科学研究に適している第一の理由は、胚(およそ受精後3日後まで)・仔魚が高い透明性を有することである('''図''')。神経細胞を[[蛍光タンパク質]]で標識することで、神経細胞の分化、[[軸索]]伸長、神経回路形成を ''in vivo'' で観察できる。また、遺伝子コード型[[カルシウムインジケーター]]などを神経細胞に発現させることで、活動中の神経細胞を光学的に記録することも可能である。受精後約一週間の仔魚では、脳を構成する神経細胞数は約10万細胞と比較的少なく、脳全体が顕微鏡観察に適したサイズである。この特徴を活用することで、[[ライトシート顕微鏡]]や[[二光子顕微鏡]]を用いて脳内の大部分の神経細胞の活動を単一細胞レベルでリアルタイムに記録することができる(後述の「全脳神経活動イメージング」を参照)。さらに、胚・仔魚の高い光透過性を利用することで、光遺伝学による神経活動の非侵襲的な操作も可能である。 | |||
第二の特徴は、飼育・繁殖が容易で、多数の同齢個体を得ることができる点である。発生が速く、受精後1日目には自発運動(自発的コイリング)を開始し、その後、触覚、視覚、聴覚などの感覚刺激に対する応答をはじめとする基本的な行動が段階的に発達する。そのため、脳が小さく透明な仔魚期から、神経回路と行動を対応づけた研究が可能である<ref name=Fero2011>Fero K, Yokogawa T, Burgess HA. The Behavioral Repertoire of Larval Zebrafish. In: Kalueff AV, Cachat JM, eds. ''Zebrafish Models in Neurobehavioral Research''. Humana Press; 2011:249–291. doi:10.1007/978-1-60761-922-2_12.</ref>。 | 第二の特徴は、飼育・繁殖が容易で、多数の同齢個体を得ることができる点である。発生が速く、受精後1日目には自発運動(自発的コイリング)を開始し、その後、触覚、視覚、聴覚などの感覚刺激に対する応答をはじめとする基本的な行動が段階的に発達する。そのため、脳が小さく透明な仔魚期から、神経回路と行動を対応づけた研究が可能である<ref name=Fero2011>Fero K, Yokogawa T, Burgess HA. The Behavioral Repertoire of Larval Zebrafish. In: Kalueff AV, Cachat JM, eds. ''Zebrafish Models in Neurobehavioral Research''. Humana Press; 2011:249–291. doi:10.1007/978-1-60761-922-2_12.</ref>。 | ||