「Nogo」の版間の差分

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== 概要  ==
= 概要  =


Nogo蛋白をコードする遺伝子はRTN-4であり、Reticulonファミリーに属する。(RTNファミリーは1~4まである。)Reticulon蛋白は一般的に小胞体に存在しており、神経内分泌や神経内分泌細胞の膜輸送に関与している蛋白と考えられている。一方、Nogo蛋白は、高等脊椎動物の中枢神経系の再生をブロックする神経突起伸長の阻害効果をもつと考えられている。また、オルターナティブスプライシングと異なるプロモーターを用いて、異なるアイソフォームがコードされ、3つのアイソフォームが同定されている(Nogo-A,B,C(図1)) Nogo-Aは2つの阻害作用を有するドメインを持ち、(Δ20とNogo-66)少なくとも、培養神経細胞における神経突起伸長の強力な阻害剤であり、成長円錐を虚脱させる作用を持っている。Nogo-Aを阻害することにより、神経損傷時における損傷した神経細胞の保護または再生に役立つことが示唆されている。従って、多発性硬化症のような脱髄疾患や脊髄損傷の再生治療への期待は大きい。また、病態時のみならず、脳内の学習と記憶のプロセスを強化する課程において重要なプレーヤーであることが分かっている。  
Nogo蛋白をコードする遺伝子はRTN-4であり、Reticulonファミリーに属する。(RTNファミリーは1~4まである。)Reticulon蛋白は一般的に小胞体に存在しており、神経内分泌や神経内分泌細胞の膜輸送に関与している蛋白と考えられている。一方、Nogo蛋白は、高等脊椎動物の中枢神経系の再生をブロックする神経突起伸長の阻害効果をもつと考えられている。また、オルターナティブスプライシングと異なるプロモーターを用いて、異なるアイソフォームがコードされ、3つのアイソフォームが同定されている(Nogo-A,B,C(図1)) Nogo-Aは2つの阻害作用を有するドメインを持ち、(Δ20とNogo-66)少なくとも、培養神経細胞における神経突起伸長の強力な阻害剤であり、成長円錐を虚脱させる作用を持っている。Nogo-Aを阻害することにより、神経損傷時における損傷した神経細胞の保護または再生に役立つことが示唆されている。従って、多発性硬化症のような脱髄疾患や脊髄損傷の再生治療への期待は大きい。また、病態時のみならず、脳内の学習と記憶のプロセスを強化する課程において重要なプレーヤーであることが分かっている。