「陽電子断層撮像法」の版間の差分

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[[image:陽電子断層撮像法4.png|thumb|350px|'''図3.初期アルツハイマー病患者におけるタウイメージング(<sup>18</sup>F-THK5117)(左)とアミロイドイメージング(<sup>11</sup>C-PiB)(右)'''<ref>[http://www2.idac.tohoku.ac.jp/dep/geriat/news/detail.php?no=1403154734 東北大学加齢医学研究所]</ref>]]
[[image:陽電子断層撮像法4.png|thumb|350px|'''図3.初期アルツハイマー病患者におけるタウイメージング(<sup>18</sup>F-THK5117)(左)とアミロイドイメージング(<sup>11</sup>C-PiB)(右)'''<ref>[http://www2.idac.tohoku.ac.jp/dep/geriat/news/detail.php?no=1403154734 東北大学加齢医学研究所]</ref>]]


 様々な標的分子を特異的に認識するためには生体内物質の他に、標的分子に親和性、選択性の高い薬剤や[[wikipedia:ja:ペプチド|ペプチド]]、[[wikipedia:ja:抗体|抗体]]などの高分子化合物などに陽電子放出核種を標識し、標的分子の体内分布や機能変化を定量的に測定することができる(図3)。例えば、[[パーキンソン病]]では、[[中脳]]の[[黒質ドーパミン]]細胞の変性、脱落により、投射先である[[線条体]]などで神経伝達物質であるドーパミン産生が減少し運動障害が徐々に進行するが、陽電子断層撮像法では、線条体における前シナプスに存在する[[ドーパミントランスポーター]]やドーパミン合成酵素を、[[11C-2-carbomethoxy-3-(4-fluorophenyl)tropane|<sup>11</sup>C-2-carbomethoxy-3-(4-fluorophenyl)tropane]](11C-CFT|<sup>11</sup>C-CFT)や]]18F-fluoro-l-dopa|<sup>18</sup>F-fluoro-l-dopa]]([[18F-DOPA|<sup>18</sup>F-DOPA]])といったそれぞれに特異的なPETプローブを用いて、ドーパミン神経の変性を特異的かつ定量的に描出することが可能である。
 様々な標的分子を特異的に認識するためには生体内物質の他に、標的分子に親和性、選択性の高い薬剤や[[wikipedia:ja:ペプチド|ペプチド]]、[[wikipedia:ja:抗体|抗体]]などの高分子化合物などに陽電子放出核種を標識し、標的分子の体内分布や機能変化を定量的に測定することができる(図3)。例えば、[[パーキンソン病]]では、[[中脳]]の[[黒質ドーパミン]]細胞の変性、脱落により、投射先である[[線条体]]などで神経伝達物質であるドーパミン産生が減少し運動障害が徐々に進行するが、陽電子断層撮像法では、線条体における前シナプスに存在する[[ドーパミントランスポーター]]やドーパミン合成酵素を、[[2-carbomethoxy-3-(4-fluorophenyl)tropane|<sup>11</sup>C-2-carbomethoxy-3-(4-fluorophenyl)tropane]]([[CFT|<sup>11</sup>C-CFT]])や[[fluoro-l-dopa|<sup>18</sup>F-fluoro-l-dopa]]([[F-DOPA|<sup>18</sup>F-DOPA]])といったそれぞれに特異的なPETプローブを用いて、ドーパミン神経の変性を特異的かつ定量的に描出することが可能である。


 また、[[アルツハイマー病]]の患者の脳では、病態の進行に伴う神経変性や脳機能の低下を<sup>18</sup>F-FDGを使って捉えることができるが、発症原因の一つ考えられている[[βアミロイドタンパク質]]やタウタンパク質を特異的に認識するPETプローブ(例えば、[[11C-PiB|<sup>11</sup>C-PiB]]や[[18F-THK5117|<sup>18</sup>F-THK5117]])を用いて<ref name=ref8><pubmed>14991808</pubmed></ref> <ref name=ref9><pubmed>25792456</pubmed></ref>、それぞれのタンパク質の脳における蓄積を測定することも可能である(図4)。これらのPETプローブによるイメージングは、アルツハイマー病の早期診断だけでなく薬の開発にも応用されている。
 また、[[アルツハイマー病]]の患者の脳では、病態の進行に伴う神経変性や脳機能の低下を<sup>18</sup>F-FDGを使って捉えることができるが、発症原因の一つ考えられている[[βアミロイドタンパク質]]や[[タウ]]タンパク質を特異的に認識するPETプローブ(例えば、[[PiB|<sup>11</sup>C-PiB]]や[[1THK5117|<sup>18</sup>F-THK5117]])を用いて<ref name=ref8><pubmed>14991808</pubmed></ref> <ref name=ref9><pubmed>25792456</pubmed></ref>、それぞれのタンパク質の脳における蓄積を測定することも可能である(図4)。これらのPETプローブによるイメージングは、アルツハイマー病の早期診断だけでなく薬の開発にも応用されている。


==参考文献==
==参考文献==
<references />
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