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 語彙とは,個人の言語使用や文学作品,あるいは日本語のような特定の言語といったように,ある範囲内で用いられる単語全体のことである.脳を扱う研究分野においては,特に個人の脳内に長期記憶として蓄えられた語に関する知識の総体を指す.区別のため,これらの分野では単に語彙という代わりにメンタル・レキシコン(mental lexicon)という用語を用いることが多い.メンタル・レキシコンには心的語彙,心内語彙,心的辞書,心内辞書など多くの訳語が存在する.
 語彙とは,(特に脳を扱う研究分野においては)個人が持っている単語的な知識の総体を指す.単に語彙という代わりにメンタル・レキシコン(mental lexicon)という用語を用いることも多い.メンタル・レキシコンには心的語彙,心内語彙,心的辞書,心内辞書など多くの訳語が存在する.


=語彙とは=
=語彙とは=
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 ある語彙項目が適切に使用されるには,それがどんな音素の組み合わせから構成されるか(音韻情報,phonological information),どういう意味に対応するか(意味情報,semantic information),どのような形態素の構成を持つか(形態情報,morphological information),そして文や句を構成する時にどういう規則に従うか(統語情報,syntactic information)といった情報が少なくとも必要である.ある語彙項目の知識が脳内にあるということは,これらの情報が適切に関係づけられて保持されていることを意味している.
 ある語彙項目が適切に使用されるには,それがどんな音素の組み合わせから構成されるか(音韻情報,phonological information),どういう意味に対応するか(意味情報,semantic information),どのような形態素の構成を持つか(形態情報,morphological information),そして文や句を構成する時にどういう規則に従うか(統語情報,syntactic information)といった情報が少なくとも必要である.ある語彙項目の知識が脳内にあるということは,これらの情報が適切に関係づけられて保持されていることを意味している.
=語彙の脳内表現=
 一般的な辞書の中では,単語は五十音順やアルファベット順に規則正しく配置され,綴り,発音,意味,品詞,用法といった情報が列記されている.心のなかの語彙は脳内でどのように表現されているのだろうか.
==心理学的知見==
 上の疑問に答えるためには,人がことばを発話したり理解したりする時にどうやって語彙情報にアクセスするかを調べるといったアプローチが考えられる.心理学者たちは取り分け語彙の理解に関する研究を以前から盛んに行ってきた.これらの研究により,どのくらいアクセスし易いかは単語によって異なるということが分かっている.こうした多様性を生む要因として知られているものに,頻度や親密度といったものがある.使用される頻度が高かったり親密度が高かったりする単語ほど,より短い時間で意味を理解することができるのである.こうした知見を得るための手法には,たとえば言語理解中の眼球運動計測が挙げられる.この手法では,ある語に対する実験被験者の注視時間が長いほど意味的処理に時間がかかっているのだと解釈される.ほかには語彙判断課題(lexical decision task)と呼ばれる実験的方法も用いられる.これは実験の被験者に文字列を提示し,それが単語であるか非単語であるかを迅速にボタン押しで判断させるものである.語彙判断課題においては出現頻度が高い単語に対するほど反応が早く,かつ正確になることが観察されている.
 また,同じ単語であっても文脈的な効果によって処理に要する時間は変化する.たとえば,直前に別の単語(プライム)を提示することにより,ある単語(ターゲットまたはプローブ)の理解が促進されたり抑制されたりする現象がある.これは語彙的プライミング効果(lexical priming effect)と呼ばれるもので,ターゲット語に対して語彙判断課題などの課題を行うことで測定する.語彙的プライミング効果はプライムとターゲットが音韻,形態,意味のいずれかの面で類似している場合に観察される.
==神経科学的知見==