「周期性四肢麻痺」の版間の差分

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== 周期性四肢麻痺とは ==
== 周期性四肢麻痺とは ==
 周期性四肢麻痺とは、一過性の筋力低下・麻痺発作を繰り返す希少難治性筋疾患の一つである。臨床的には、麻痺発作中の血清カリウム値により、高カリウム性周期性四肢麻痺(Hyperkalemic periodic paralysis:HyperPP)と低カリウム性周期性四肢麻痺(Hypokalemic periodic paralysis:HypoPP)とに大別される<ref name=Cannon2015><pubmed>25880512</pubmed></ref><ref name=Statland2018><pubmed>29125635</pubmed></ref><ref name=Cannon2006><pubmed>16776591</pubmed></ref>1–3。高カリウム性周期性四肢麻痺、低カリウム性周期性四肢麻痺のほか、不整脈や小奇形を伴うAndersen-Tawil症候群(Andersen-Tawil Syndrome: ATS)がある。ATSの場合、麻痺発作・不整脈・小奇形の3徴がそろわない不全型も多く、麻痺発作を合併する場合の発作時血清カリウム値は一定しない(Table1.)<ref name=Cannon2006><pubmed>16776591</pubmed></ref>3。
 周期性四肢麻痺とは、一過性の筋力低下・麻痺発作を繰り返す希少難治性筋疾患の一つである。臨床的には、麻痺発作中の血清カリウム値により、高カリウム性周期性四肢麻痺(Hyperkalemic periodic paralysis:HyperPP)と低カリウム性周期性四肢麻痺(Hypokalemic periodic paralysis:HypoPP)とに大別される<ref name=Cannon2015><pubmed>25880512</pubmed></ref><ref name=Statland2018><pubmed>29125635</pubmed></ref><ref name=Cannon2006><pubmed>16776591</pubmed></ref>1–3。高カリウム性周期性四肢麻痺、低カリウム性周期性四肢麻痺のほか、不整脈や小奇形を伴うAndersen-Tawil症候群(Andersen-Tawil Syndrome: ATS)がある。ATSの場合、麻痺発作・不整脈・小奇形の3徴がそろわない不全型も多く、麻痺発作を合併する場合の発作時血清カリウム値は一定しない('''表1''')<ref name=Cannon2006><pubmed>16776591</pubmed></ref>3。
 
{| class="wikitable"
|+表1. 周期性四肢麻痺を呈する疾患
| colspan=2|'''高カリウム性周期性四肢麻痺(Hyperkalemic periodic paralysis: HyperPP)'''
|-
| 遺伝性||SCN4A遺伝子変異による常染色体優性遺伝
|-
|colspan=2|'''低カリウム性周期性四肢麻痺(Hypokalemic periodic paralysis: HypoPP)'''
|-
|rowspan=2|遺伝性|| HypoPP1: CACNA1A遺伝子(常染色体優性遺伝)
|-
|HypoPP2: SCN4A遺伝子(常染色体優性遺伝)
|-
| 孤発性|| 孤発性周期性四肢麻痺(Sporadic periodic paralysis:SPP):疾患感受性一塩基多型が指摘されている。
|-
| 二次性|| 甲状腺中毒性周期性四肢麻痺(Thyrotoxic periodic paralysis: TPP):甲状腺機能亢進症に伴うもの
|-
|colspan=2|'''Andersen-Tawil症候群(Andersen-Tawil syndrome: ATS)'''
|-
|rowspan=2|遺伝性|| KCNJ2遺伝子(常染色体優性遺伝)
|-
|KCNJ5遺伝子(常染色体優性遺伝)
|}


 高カリウム性周期性四肢麻痺は、骨格筋型電位依存性ナトリウムチャネル(Nav1.4)のαサブユニットをコードするSCN4A遺伝子の変異による遺伝性疾患である。ヘテロ接合性変異がほとんどであり、常染色体顕性(優性)遺伝形式を示す。
 高カリウム性周期性四肢麻痺は、骨格筋型電位依存性ナトリウムチャネル(Nav1.4)のαサブユニットをコードするSCN4A遺伝子の変異による遺伝性疾患である。ヘテロ接合性変異がほとんどであり、常染色体顕性(優性)遺伝形式を示す。