「時計遺伝子」の版間の差分

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# リズムの周期が温度の影響をほとんど受けない (温度補償性)
# リズムの周期が温度の影響をほとんど受けない (温度補償性)


 概日リズムの周期長などの性質は遺伝することから、概日リズムを生み出す仕組みは遺伝子によって規定されていると考えられた<ref name=田澤2009 /> (1)。1971年に[[ショウジョウバエ]]の概日リズム変異体[[period]] ([[per]])が報告され、その後、[[アカパンカビ]]の[[frequency]] ([[frq]]) 変異体、[[ハムスター]]の[[tau]]変異体、[[マウス]]の[[Clock]]変異体、[[シアノバクテリア]]の[[kai]]変異体群が報告された<ref name=岡村2004>'''岡村 均, 深田 吉孝 (2004).'''<br>時計遺伝子の分子生物学、シュプリンガーフェアラーク東京 </ref> (2)。そして、1984年にショウジョウバエper遺伝子がクローニングされ、続いて概日リズム変異体の原因遺伝子が続々と明らかになった<ref name=岡村2004/><ref name=海老原2012>海老原 史樹文, 吉村 崇. (2012)<br>時間生物学 化学同人.</ref> (2,3)。そのため、時計遺伝子という用語は、[[順遺伝学]]的な手法から概日リズム変異体の原因遺伝子が同定された際に、その原因遺伝子を指すために元々は使用された。
 概日リズムの周期長などの性質は遺伝することから、概日リズムを生み出す仕組みは遺伝子によって規定されていると考えられた<ref name=田澤2009 /> (1)。1971年に[[ショウジョウバエ]]の概日リズム変異体[[period]] ([[per]])が報告され、その後、[[アカパンカビ]]の[[frequency]] ([[frq]]) 変異体、[[ハムスター]]の[[tau]]変異体、[[マウス]]の[[Clock]]変異体、[[シアノバクテリア]]の[[kai]]変異体群が報告された<ref name=岡村2004>'''岡村 均, 深田 吉孝 (2004).'''<br>時計遺伝子の分子生物学、シュプリンガーフェアラーク東京 </ref> (2)。そして、1984年にショウジョウバエper遺伝子がクローニングされ、続いて概日リズム変異体の原因遺伝子が続々と明らかになった<ref name=岡村2004/><ref name=海老原2012>'''海老原 史樹文, 吉村 崇 (2012).'''<br>時間生物学 化学同人.</ref> (2,3)。そのため、時計遺伝子という用語は、[[順遺伝学]]的な手法から概日リズム変異体の原因遺伝子が同定された際に、その原因遺伝子を指すために元々は使用された。


 その後、分子生物学的に概日リズムの生成に関与する遺伝子が数多く同定されたため、これら遺伝子を広義の時計遺伝子として扱うことがある<ref name=日本時間生物学会> [https://chronobiology.jp/TechnicalTerms.html 日本時間生物学会 時間生物学用語集]</ref> (4)。また、概日性の周期で発現リズムを示す遺伝子をccg (clock-controlled gene)と呼ぶこともある。
 その後、分子生物学的に概日リズムの生成に関与する遺伝子が数多く同定されたため、これら遺伝子を広義の時計遺伝子として扱うことがある<ref name=日本時間生物学会> [https://chronobiology.jp/TechnicalTerms.html 日本時間生物学会 時間生物学用語集]</ref> (4)。また、概日性の周期で発現リズムを示す遺伝子をccg (clock-controlled gene)と呼ぶこともある。