「受容野」の版間の差分

936 バイト除去 、 2012年4月19日 (木)
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 視細胞からの入力を受け取る双極細胞(bipolar cell)や次の段階に位置する網膜神経節細胞(retinal ganglion cell)には、明るい光を受容野の中心部(center)に照射したときに興奮応答するON中心型(ON-center type)とよばれる細胞と、暗い光を照射したときに興奮応答するOFF中心型(OFF-center type)とよばれる細胞の2種類が存在する<ref name="ref2" />。いずれも、中心部の周辺に照射された光には逆の応答をする。すなわち、ON中心型細胞は周辺部に明るい光を受けたときに、OFF中心型細胞は暗い光を受けたときに、抑制応答を示す。中心部と周辺部は同心円状に配置し、逆の反応がみられることから、この受容野構造全体を中心周辺拮抗型(antagonistic center-surround)とよぶ。神経節細胞ではさらに、中心部、周辺部のそれぞれの内部でも明暗の違いで反応が逆になり、明るい光で抑制反応がみられる場所では暗い光では興奮反応がみられ、暗い光で抑制反応がみられる場所では明るい光で興奮反応がみられる。このためON中心型の受容野構造をON中心OFF周辺型(ON-center OFF-surround)とよび(図1A)、OFF中心型の受容野構造をOFF中心ON周辺型(OFF-center ON-surround)ともよんでいる(図1B)。このような構造をもつ細胞は、図2Cのように2次元のサイン波縞刺激にたいして、明るい光がON領域に、暗い光がOFF領域に入るときには興奮応答するが(図1C上)、光が一様に入るときには(図2C下)ほとんど反応しないことから、明暗コントラストのエッジ幅や位置の情報を伝達していると捉えることができる。  
 視細胞からの入力を受け取る双極細胞(bipolar cell)や次の段階に位置する網膜神経節細胞(retinal ganglion cell)には、明るい光を受容野の中心部(center)に照射したときに興奮応答するON中心型(ON-center type)とよばれる細胞と、暗い光を照射したときに興奮応答するOFF中心型(OFF-center type)とよばれる細胞の2種類が存在する<ref name="ref2" />。いずれも、中心部の周辺に照射された光には逆の応答をする。すなわち、ON中心型細胞は周辺部に明るい光を受けたときに、OFF中心型細胞は暗い光を受けたときに、抑制応答を示す。中心部と周辺部は同心円状に配置し、逆の反応がみられることから、この受容野構造全体を中心周辺拮抗型(antagonistic center-surround)とよぶ。神経節細胞ではさらに、中心部、周辺部のそれぞれの内部でも明暗の違いで反応が逆になり、明るい光で抑制反応がみられる場所では暗い光では興奮反応がみられ、暗い光で抑制反応がみられる場所では明るい光で興奮反応がみられる。このためON中心型の受容野構造をON中心OFF周辺型(ON-center OFF-surround)とよび(図1A)、OFF中心型の受容野構造をOFF中心ON周辺型(OFF-center ON-surround)ともよんでいる(図1B)。このような構造をもつ細胞は、図2Cのように2次元のサイン波縞刺激にたいして、明るい光がON領域に、暗い光がOFF領域に入るときには興奮応答するが(図1C上)、光が一様に入るときには(図2C下)ほとんど反応しないことから、明暗コントラストのエッジ幅や位置の情報を伝達していると捉えることができる。  


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[[Image:RetinalGanglisonCell.png|thumb|500px|'''図1 網膜神経節細胞の受容野構造''<br> ON中心OFF周辺型 では、明るい光で興奮応答がみられる領域(ON領域という、緑で示す)が受容野の中心に 、暗い光で興奮応答がみられる領域(OFF領域という)がその周辺に位置し、2つの領域は同心円状に配置する(Aの上段)]]
 
[[Image:RetinalGanglisonCell.png|500px]]
 
図1. 網膜神経節細胞の受容野構造  
 
明るい光で興奮応答がみられる領域をON領域(緑)、暗い光で興奮応答がみられる領域をOFF領域(赤)とよぶ。ON領域、OFF領域ではそれぞれ、暗い光、明るい光で抑制反応がみらえる。(A, B) ON中心OFF周辺型 では、ON領域が受容野の中心に 、OFF領域がその周辺に位置し、2つの領域は同心円状に配置する(Aの上段)。OFF中心-ON周辺型 では、OFF領域が受容野の中心に 、ON領域がその周辺に配置する(Bの上段)。A, Bの下段は、これらの構造の1次元断面図であり、ON領域の刺激感受性を正に、OFF領域の刺激感受性を負の方向に示している。中心部、周辺部は、それぞれサイズの異なるガウス関数で近似でき(カラーの線)、全体の構造はその差分であるDOG関数で表される(黒線)。( C ) ON中心OFF周辺型の細胞を2次元サイン刺激でテストするとき、縞の幅が適切であり、かつ縞の明部が中心部に、暗部が周辺部にくるときに強い興奮応答がみられる(Cの上)。縞の幅が広く、明部が受容野全体に入るときに細胞はあまり興奮しない。
 
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<br> 中心周辺拮抗型の受容野構造は2つのガウス関数の差分であるDOG(Difference of Gaussians)関数で表すことができる(図2A, Bの下段)<ref name="ref8"><pubmed> 5862581 </pubmed></ref>。また線形性をもつために、細胞の応答は入力刺激とDOG関数の線形畳み込みで近似できる。ただし、このような近似が十分に成り立つ細胞とそうでない細胞が存在し、前者をX細胞、後者をY細胞という<ref name="ref9"><pubmed> 16783910 </pubmed></ref>。  
<br> 中心周辺拮抗型の受容野構造は2つのガウス関数の差分であるDOG(Difference of Gaussians)関数で表すことができる(図2A, Bの下段)<ref name="ref8"><pubmed> 5862581 </pubmed></ref>。また線形性をもつために、細胞の応答は入力刺激とDOG関数の線形畳み込みで近似できる。ただし、このような近似が十分に成り立つ細胞とそうでない細胞が存在し、前者をX細胞、後者をY細胞という<ref name="ref9"><pubmed> 16783910 </pubmed></ref>。  
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