「外傷後ストレス障害」の版間の差分

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==  病態メカニズム  ==
==  病態メカニズム  ==
<pre> ==病態メカニズム==</pre>  
<pre> ==病態メカニズム==</pre>  
 PTSDの病態メカニズムについて神経心理、動物実験、脳画像研究、遺伝子研究などさまざまな視点からの報告がなされている。
 PTSDの病態メカニズムについて神経心理、動物実験、脳画像研究、遺伝子研究などさまざまな視点からの報告がなされている。  


 
   


=== &nbsp;&nbsp;神経心理的知見 ===
=== &nbsp;&nbsp;神経心理的知見 ===
<pre>===神経心理的知見===</pre>
<pre>===神経心理的知見===</pre>  
 PTSDの再体験、過覚醒症状は
 PTSDの再体験、過覚醒症状は トラウマ体験に対する[[恐怖条件づけ]]とみなすと理解しやすく、暴露療法が有効であることも恐怖条件づけの消去現象と考えると理解しやすい。


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 この恐怖条件づけをつかさどるといわれている[[扁桃体]]と相互に神経線維を投射している部位に内側前頭前野がある。動物実験で内側前頭前野を破壊すると恐怖の消去が阻害されることから、PTSDの病態メカニズムの一部を担っている可能性がある。脳画像研究において  が示されている(脳血流の論文を)。


=== 恐怖条件付け  ===
 MRIによる形態学的な研究では健常対照群と比較してPTSD群では海馬、左扁桃体、前帯状皮質が小さいことが示されている(論文読み必要)
<pre>===恐怖条件付け===</pre>
 ラットなどの動物に電気ショック刺激などを与えると、身体を硬直させて動きが止まるフリージング反応が起こる。電気ショックのような不快刺激(無条件刺激)と音や光などの中立刺激(条件刺激)を同時に与えることを繰り返すと、不快刺激を伴わない中立刺激に対してフリージング反応が生じるようになる。これが恐怖条件付けである。 恐怖条件付けが成立した後に不快刺激を伴わない中立刺激のみを繰り返すと、恐怖条件付けは消退することが知られ、消去と呼ばれる。 動物実験では内側前頭前野を破壊すると恐怖の消去が阻害されることが知られている。&nbsp;


 過覚醒症状と関連して、ノルアドレナリン系機構の反応性の亢進について報告がある。24時間血漿コルチゾール値で夜間と早朝のベースラインレベルがうつ病患者や健常対照群と比較して有意に低く、視床下部-下垂体-副腎皮質系機能の調節異常が示唆されている。また、デキサメタゾン試験によるコルチゾール分泌の過剰抑制、リンパ球グルココルチコイド受容体の数の増加と感受性亢進と視床下部におけるコルチコトロピン放出因子の分泌亢進が示唆されている。(PTSDとは何か?(6))


 中枢でのノルアドレナリンレベルの上昇とアドレナリン受容体のダウンレギュレーションが示されている。


=== 動物モデル  ===
 
<pre>===動物モデル===</pre>  
   
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=== 画像研究  ===
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<pre>===画像研究===</pre>
 内側前頭前葉は扁桃体と
 
 
 
 


健常対照群と比較してPTSD群では海馬、左扁桃体、前帯状皮質が小さいことが示されている。<br>&nbsp;  
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=== 遺伝子研究  ===
=== 遺伝子研究  ===
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<pre>==参考文献==</pre>  
<pre>==参考文献==</pre>  
&nbsp; <references />  
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(執筆者:筒井 卓実、飛鳥井 望、担当編集委員:加藤 忠史)  
(執筆者:筒井 卓実、飛鳥井 望、担当編集委員:加藤 忠史)  


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