「共同運動」の版間の差分
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| '''I. 上肢 計66点''' | | style="background-color:#ddf"| '''I. 上肢 計66点''' | ||
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| '''A.肩・肘・前腕(計36点)''' | | style="background-color:#dfd"| '''A.肩・肘・前腕(計36点)''' | ||
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| 1. 上肢反射(各2点、計4点) | | 1. 上肢反射(各2点、計4点) | ||
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3. 屈筋-伸筋共同運動の混合(各2点、計6点) | 3. 屈筋-伸筋共同運動の混合(各2点、計6点) | ||
手を腰椎に持ってくる <br>点数 0:全く運動できない 1:重力による代償なしに手を腸骨の前上方までもってこれる 2:完全に運動できる | 手を腰椎に持ってくる <br>点数 0:全く運動できない 1:重力による代償なしに手を腸骨の前上方までもってこれる 2:完全に運動できる | ||
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| '''B.手関節(各2点、計10点)''' | | style="background-color:#dfd"| '''B.手関節(各2点、計10点)''' | ||
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| 肩0・肘90度屈曲・前腕完全回内位での手関節背屈15度での手首の固定性(肘関節の肢位は介助可) | | 肩0・肘90度屈曲・前腕完全回内位での手関節背屈15度での手首の固定性(肘関節の肢位は介助可) | ||
点数 0:手関節背屈15度ができない 1:背屈はできるが、抵抗を与えられない 2:その位置を維持でき、わずかな抵抗をかけられる。 <br> | 点数 0:手関節背屈15度ができない 1:背屈はできるが、抵抗を与えられない 2:その位置を維持でき、わずかな抵抗をかけられる。 <br> | ||
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| '''C.手指(各2点、計14点)''' | | style="background-color:#dfd"| '''C.手指(各2点、計14点)''' | ||
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| 全体の屈曲 | | 全体の屈曲 | ||
点数 0:屈曲が起こらない 1:幾分屈曲するが、完全には屈曲しない 2:非麻痺側と比較して完全に屈曲する <br> | 点数 0:屈曲が起こらない 1:幾分屈曲するが、完全には屈曲しない 2:非麻痺側と比較して完全に屈曲する <br> | ||
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Spherical Grasp ボールを持たせる。 <br>点数 0:実行できない 1:保持できるが軽く引くと保持不可。 2:引いてもその状態を保持可。 | Spherical Grasp ボールを持たせる。 <br>点数 0:実行できない 1:保持できるが軽く引くと保持不可。 2:引いてもその状態を保持可。 | ||
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| '''D.協調性・スピード(各2点、計6点) ''' | | style="background-color:#dfd"| '''D.協調性・スピード(各2点、計6点) ''' | ||
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| 指―鼻試験を5回できる限り速く行い、非麻痺側と比較。 | | 指―鼻試験を5回できる限り速く行い、非麻痺側と比較。 | ||
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| '''II. 下肢 計34点''' | | style="background-color:#ddf"| '''II. 下肢 計34点''' | ||
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| '''A.股膝足(各2点。計28点)''' | | style="background-color:#dfd"| '''A.股膝足(各2点。計28点)''' | ||
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| 1. 下肢反射(各2点,計4点) | | 1. 下肢反射(各2点,計4点) | ||
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4. 分離運動(各2点,計4点) <br>姿勢:立位 股関節は0度もしくはやや伸転位で、膝関節を90度屈曲する。 <br>点数 0:股関節を屈曲させなければ膝はまったく屈曲できない。 1:膝は90度まで完全に屈曲不可。もしくは股関節が屈曲する。 2:完全に実行できる。 <br> 足関節を背屈する <br>点数 0:背屈できない 1:完全に背屈できない 2:完全に実行できる <br> | 4. 分離運動(各2点,計4点) <br>姿勢:立位 股関節は0度もしくはやや伸転位で、膝関節を90度屈曲する。 <br>点数 0:股関節を屈曲させなければ膝はまったく屈曲できない。 1:膝は90度まで完全に屈曲不可。もしくは股関節が屈曲する。 2:完全に実行できる。 <br> 足関節を背屈する <br>点数 0:背屈できない 1:完全に背屈できない 2:完全に実行できる <br> | ||
5. 正常な反射活動 4の項目で満点の場合のみつける <br>膝蓋腱、ハムストリングス、アキレス腱反射 <br> | 5. 正常な反射活動 4の項目で満点の場合のみつける <br>膝蓋腱、ハムストリングス、アキレス腱反射 <br>点数 0:3つの反射のうち少なくとも2つが著しく過活動のとき 1:1つの反射が著しく過活動、もしくは少なくとも2つは活動的 2:1つの反射が活動的、もしくは著しい過活動が全くない。 | ||
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| '''B.協調性・スピード(各2点,計6点)''' | | style="background-color:#dfd"| '''B.協調性・スピード(各2点,計6点)''' | ||
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| 姿勢:背臥位。踵―膝試験をできるだけ速く5回繰り返す(非麻痺側と比較)。 | | 姿勢:背臥位。踵―膝試験をできるだけ速く5回繰り返す(非麻痺側と比較)。 | ||
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スピード <br>点数 0:反復時間が,非麻痺側より6秒以上遅い 1:2~5秒遅い 2:2秒以内のとき | スピード <br>点数 0:反復時間が,非麻痺側より6秒以上遅い 1:2~5秒遅い 2:2秒以内のとき | ||
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<br> '''表2.Fugl-Meyer運動スケール''' | <br> '''表2.Fugl-Meyer運動スケール''' | ||
== 参考文献 == | == 参考文献 == |
2012年12月5日 (水) 14:19時点における版
中枢性病変に起因する運動麻痺の回復は、筋力が直線的に増強していくというものではなく、共同運動と呼ばれる、パターン化された筋収縮がおこる。一般的に上肢の場合は屈曲が、下肢の場合は伸展がより容易であるといった特性がある。上肢を挙上しようとすると、肩甲骨の挙上後退、肩関節が外転、外旋もしくは内旋、肘関節が屈曲、手関節と手指が屈曲するパターンをとりやすい。下肢の場合は股関節の伸展・内旋・内転、膝関節の伸展、足関節の底屈・内反と足趾の底屈が生じやすい。機能回復がすすむにつれ、次第に各筋が分離した収縮が可能になる。Brunnstromのステージ分類をみるとその推移が理解できる(表1)。国際的によく用いられるさらに詳細な評価としてはFugl-Meyer運動スケールがある(表2)。上肢66点下肢34点、合計100点満点である。
上肢 | |
stage I | 弛緩性麻痺 |
stage II | 上肢のわずかな随意運動 |
stage III | 座位で肩・肘の同時屈曲、同時伸展 |
stage IV | 腰の後方へ手をつける。肘を伸展させて上肢を前方水平へ挙上。肘90°屈曲位での前腕回内・回外 |
stage V | 肘を伸展させて上肢を横水平へ挙上、また前方頭上へ挙上、肘伸展位での前腕回内・回外 |
stage VI | 各関節の分離運動 |
手指 | |
stage I | 弛緩性麻痺 |
stage II | 自動的手指屈曲わずかに可能 |
stage III | 全指同時握り、釣形握り(握りだけ)伸展は反射だけで、随意的な手指伸展不能 |
stage IV | 横つまみ(母指は離せない)少ない範囲での半随意的手指伸展 |
stage V | 対向つまみ、筒握り、球握り、随意的な手指伸展(範囲は一定せず) |
stage VI | 全種類の握り、全可動域の手指伸展。すべての指の分離運動 |
下肢 | |
stage I | 弛緩性麻痺 |
stage II | 下肢のわずかな随意運動 |
stage III | 座位・立位での股・膝・足の同時屈曲 |
stage IV | 座位で足を床の後方へすべらせて、膝を90°屈曲。踵を床から離さずに随意的に足関節背屈 |
stage V | 立位で股伸展位、またはそれに近い肢位、免荷した状態で膝屈曲分離運動。 立位、膝伸展位で、足を少し前に踏み出して足関節背屈分離運動 |
stage VI | 立位で、骨盤の挙上による範囲を超えた股外転。座位で、内・外側ハムストリングスの 相反的活動と結果として足内反と外反を伴う膝を中心とした下腿の内・外旋 |
表1.Brunnstromステージ
I. 上肢 計66点 |
A.肩・肘・前腕(計36点) |
1. 上肢反射(各2点、計4点)
屈筋群:二頭筋・指屈筋群 |
2.1 屈筋共同運動(各2点、計12点)
姿勢:坐位。麻痺側の耳まで腕を挙上。 |
2.2 伸筋共同運動(各2点、計6点)
姿勢:坐位、開始肢位:屈筋共同運動の最終肢位から非麻痺側の膝に向かって腕を動かす。開始肢位を維持できなければ、他動的に持っても良い。 |
3. 屈筋-伸筋共同運動の混合(各2点、計6点) 手を腰椎に持ってくる
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4.分離運動(各2点、計6点)
姿勢:坐位 肘完全伸展・前腕中間位で肩90度外転
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5. 正常な反射活動(2点)
4の項目で満点の場合のみつける |
B.手関節(各2点、計10点) |
肩0・肘90度屈曲・前腕完全回内位での手関節背屈15度での手首の固定性(肘関節の肢位は介助可)
点数 0:手関節背屈15度ができない 1:背屈はできるが、抵抗を与えられない 2:その位置を維持でき、わずかな抵抗をかけられる。 肩0度、肘90度屈曲、前腕完全回内位における手関節掌屈背屈の反復(肘関節の肢位は介助可) 肩軽度屈曲もしくは軽度外転位、肘完全伸展位、前腕回内位における手関節背屈15度での手首の固定性(肘関節の肢位は介助可) 肩軽度屈曲もしくは軽度外転位、肘完全伸展位、前腕回内位における手関節掌背屈の反復(肘関節の肢位は介助可) 手関節の回転運動 |
C.手指(各2点、計14点) |
全体の屈曲
点数 0:屈曲が起こらない 1:幾分屈曲するが、完全には屈曲しない 2:非麻痺側と比較して完全に屈曲する 全体の伸展 Pip-Dip Hook 抵抗をかけて検査する Lateral-Pinch Cylinder Grasp Spherical Grasp ボールを持たせる。 |
D.協調性・スピード(各2点、計6点) |
指―鼻試験を5回できる限り速く行い、非麻痺側と比較。
振戦 測定障害 スピード |
II. 下肢 計34点 |
A.股膝足(各2点。計28点) |
1. 下肢反射(各2点,計4点)
姿勢:背臥位 2.1 屈筋共同運動 (各2点、計6点) 2.2 伸筋共同運動 (各2点,計8点) 3. 屈筋―伸筋共同運動の混合 (各2点、計4点) 4. 分離運動(各2点,計4点) 5. 正常な反射活動 4の項目で満点の場合のみつける |
B.協調性・スピード(各2点,計6点) |
姿勢:背臥位。踵―膝試験をできるだけ速く5回繰り返す(非麻痺側と比較)。
振戦 測定障害 スピード |
表2.Fugl-Meyer運動スケール
参考文献
Brunnstrom S.
Motor testing procedures in hemiplegia: based on sequential recovery stages.
Phys Ther 1966;46:357-375 Fugl-Meyer AR, Jaasko L, Leyman I, Olsson S, Steglind S.
The post-stroke hemiplegic patient. 1. A method for evaluation of physical performance.
Scand J Rehabil Med. 1975;7:13-31
(執筆者:宮井一郎 担当編集委員:伊佐正)