「機能獲得実験」の版間の差分
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英:gain of function | <br>英:gain of function | ||
ある遺伝子の機能を調べる際にその遺伝子の機能や発現量を増強させることで機能を類推する実験手法。逆に遺伝子の機能や発現量を減弱させる実験は[[機能欠失実験]]と呼ばれる。 | ある遺伝子の機能を調べる際にその遺伝子の機能や発現量を増強させることで機能を類推する実験手法。逆に遺伝子の機能や発現量を減弱させる実験は[[機能欠失実験]]と呼ばれる。 | ||
また、[[機能欠失実験]]によって得られた表現型を機能獲得実験により正常な表現型を回復する実験を特にrescue実験と呼ぶ。 | また、[[機能欠失実験]]によって得られた表現型を機能獲得実験により正常な表現型を回復する実験を特にrescue実験と呼ぶ。 | ||
==機能獲得実験とは== | |||
発現量の増加 | |||
遺伝子導入による発現増加 | ==機能獲得実験の手法== | ||
==発現量の増加== | |||
===遺伝子導入による発現増加=== | |||
動物個体あるいは細胞に外来遺伝子を導入することで任意の遺伝子発現量を増加することができる。 | 動物個体あるいは細胞に外来遺伝子を導入することで任意の遺伝子発現量を増加することができる。 | ||
この外来遺伝子は遺伝子発現制御するプロモーター配列の下流に目的の遺伝子、さらにpolyA付加配列という構造をもつものが一般的である(図)。この外来遺伝子を構築する際、どのプロモーター配列を選択するかにより目的遺伝子の発現部位、発現時期、発現量が決まる。 | この外来遺伝子は遺伝子発現制御するプロモーター配列の下流に目的の遺伝子、さらにpolyA付加配列という構造をもつものが一般的である(図)。この外来遺伝子を構築する際、どのプロモーター配列を選択するかにより目的遺伝子の発現部位、発現時期、発現量が決まる。 | ||
外来遺伝子を導入した動物個体はトランスジェニック動物と呼ばれ現在ではあらゆる動物種で作製が可能となっている。 | 外来遺伝子を導入した動物個体はトランスジェニック動物と呼ばれ現在ではあらゆる動物種で作製が可能となっている。 | ||
機能の増強 | ==機能の増強== | ||
アミノ酸置換による疑似リン酸化 | アミノ酸置換による疑似リン酸化 | ||
目的のタンパク質が持つアミノ酸がリン酸化されることでその機能が増強する場合、そのアミノ酸をGlu, またはAspに置換した変異体を発現することで恒常的なリン酸化状態を擬似的に再現できる場合がある。 | 目的のタンパク質が持つアミノ酸がリン酸化されることでその機能が増強する場合、そのアミノ酸をGlu, またはAspに置換した変異体を発現することで恒常的なリン酸化状態を擬似的に再現できる場合がある。 | ||
これはリン酸化アミノ酸が水溶液中では負電荷をもつが、Glu, Aspなどの酸性アミノ酸も負電荷をもつためである。 | これはリン酸化アミノ酸が水溶液中では負電荷をもつが、Glu, Aspなどの酸性アミノ酸も負電荷をもつためである。 |
2012年12月7日 (金) 20:41時点における版
英:gain of function
ある遺伝子の機能を調べる際にその遺伝子の機能や発現量を増強させることで機能を類推する実験手法。逆に遺伝子の機能や発現量を減弱させる実験は機能欠失実験と呼ばれる。 また、機能欠失実験によって得られた表現型を機能獲得実験により正常な表現型を回復する実験を特にrescue実験と呼ぶ。
機能獲得実験とは
機能獲得実験の手法
発現量の増加
遺伝子導入による発現増加
動物個体あるいは細胞に外来遺伝子を導入することで任意の遺伝子発現量を増加することができる。 この外来遺伝子は遺伝子発現制御するプロモーター配列の下流に目的の遺伝子、さらにpolyA付加配列という構造をもつものが一般的である(図)。この外来遺伝子を構築する際、どのプロモーター配列を選択するかにより目的遺伝子の発現部位、発現時期、発現量が決まる。 外来遺伝子を導入した動物個体はトランスジェニック動物と呼ばれ現在ではあらゆる動物種で作製が可能となっている。
機能の増強
アミノ酸置換による疑似リン酸化
目的のタンパク質が持つアミノ酸がリン酸化されることでその機能が増強する場合、そのアミノ酸をGlu, またはAspに置換した変異体を発現することで恒常的なリン酸化状態を擬似的に再現できる場合がある。 これはリン酸化アミノ酸が水溶液中では負電荷をもつが、Glu, Aspなどの酸性アミノ酸も負電荷をもつためである。