「テスト」の版間の差分
ナビゲーションに移動
検索に移動
細編集の要約なし |
細編集の要約なし |
||
1行目: | 1行目: | ||
====βセクレターゼ、γセクレターゼ==== | ====βセクレターゼ、γセクレターゼ==== | ||
APP蛋白質は、まず管腔外(AβのN末端側)でβセクレターゼ、続いて膜貫通部位(AβのC末端側)でγセクレターゼによって切断されることによりAβが産生される。 βセクレターゼの正体は[[β-site APP cleaving enzyme 1]]([[BACE1]])という1回膜貫通型の[[アスパラギン酸プロテアーゼ]]である。γセクレターゼは、原因遺伝子としての''PSEN1''、''PSEN2''の発見により9回膜貫通型蛋白質のプレセニリンがγセクレターゼの活性中心を構成することがわかったが、プレセニリン単独では活性を持たず、[[ニカストリン]]、[[Aph-1]]、[[Pen-2]]とともに4量体を形成することによって初めて活性を持つことが分かった。γセクレターゼによってAβ40、Aβ42が産生されるが、''PSEN''の変異の中には総Aβ産生が上昇したり、凝集性の高いAβ42の産生比率を増大させるものがあるが、全ての変異について同様の効果が証明されているわけではない。γセクレターゼの切断は段階的切断(sequential cleavage)様式をとることが示されており、[[Aβ49]]→[[Aβ46]]→[[Aβ43]]→Aβ40と[[Aβ48]]→[[Aβ45]]→Aβ42→[[Aβ38]]という、3ペプチドごとに切断する(Aβ42→Aβ38のみ4ペプチド)2つの系列があることが推測されている<ref><pubmed> 19828817 </pubmed></ref>。Aβ42とAβ40の産生比率の違いが病態に関係すると考えられてきたが、トリペプチド仮説により酵素側だけでなく基質側にも関心が集まっている。 | APP蛋白質は、まず管腔外(AβのN末端側)でβセクレターゼ、続いて膜貫通部位(AβのC末端側)でγセクレターゼによって切断されることによりAβが産生される。 βセクレターゼの正体は[[β-site APP cleaving enzyme 1]]([[BACE1]])という1回膜貫通型の[[アスパラギン酸プロテアーゼ]]である。γセクレターゼは、原因遺伝子としての''PSEN1''、''PSEN2''の発見により9回膜貫通型蛋白質のプレセニリンがγセクレターゼの活性中心を構成することがわかったが、プレセニリン単独では活性を持たず、[[ニカストリン]]、[[Aph-1]]、[[Pen-2]]とともに4量体を形成することによって初めて活性を持つことが分かった。γセクレターゼによってAβ40、Aβ42が産生されるが、''PSEN''の変異の中には総Aβ産生が上昇したり、凝集性の高いAβ42の産生比率を増大させるものがあるが、全ての変異について同様の効果が証明されているわけではない。γセクレターゼの切断は段階的切断(sequential cleavage)様式をとることが示されており、[[Aβ49]]→[[Aβ46]]→[[Aβ43]]→Aβ40と[[Aβ48]]→[[Aβ45]]→Aβ42→[[Aβ38]]という、3ペプチドごとに切断する(Aβ42→Aβ38のみ4ペプチド)2つの系列があることが推測されている<ref><pubmed> 19828817 </pubmed></ref>。Aβ42とAβ40の産生比率の違いが病態に関係すると考えられてきたが、トリペプチド仮説により酵素側だけでなく基質側にも関心が集まっている。 | ||
*'''Aβ産生阻害''' | *'''Aβ産生阻害''' | ||
: γセクレターゼ阻害剤は基質である[[Notch]]を介した重大な副作用のため開発が中止され、総Aβ中のAβ42の比率を低下させるγセクレターゼ修飾薬も開発が中断されている。脳内移行性やbioavailabilityの低さへの対策からγセクレターゼより遅れたが、BACE1阻害剤が臨床開発段階にある。BACE1の全ての基質は十分に明らかになっていないが、BACE1をノックアウトしても重大な形態・機能異常を認めないことから、γセクレターゼ阻害剤ほどの副作用は出現しないと期待されている。 | : γセクレターゼ阻害剤は基質である[[Notch]]を介した重大な副作用のため開発が中止され、総Aβ中のAβ42の比率を低下させるγセクレターゼ修飾薬も開発が中断されている。脳内移行性やbioavailabilityの低さへの対策からγセクレターゼより遅れたが、BACE1阻害剤が臨床開発段階にある。BACE1の全ての基質は十分に明らかになっていないが、BACE1をノックアウトしても重大な形態・機能異常を認めないことから、γセクレターゼ阻害剤ほどの副作用は出現しないと期待されている。 |
2013年5月11日 (土) 15:08時点における版
βセクレターゼ、γセクレターゼ
APP蛋白質は、まず管腔外(AβのN末端側)でβセクレターゼ、続いて膜貫通部位(AβのC末端側)でγセクレターゼによって切断されることによりAβが産生される。 βセクレターゼの正体はβ-site APP cleaving enzyme 1(BACE1)という1回膜貫通型のアスパラギン酸プロテアーゼである。γセクレターゼは、原因遺伝子としてのPSEN1、PSEN2の発見により9回膜貫通型蛋白質のプレセニリンがγセクレターゼの活性中心を構成することがわかったが、プレセニリン単独では活性を持たず、ニカストリン、Aph-1、Pen-2とともに4量体を形成することによって初めて活性を持つことが分かった。γセクレターゼによってAβ40、Aβ42が産生されるが、PSENの変異の中には総Aβ産生が上昇したり、凝集性の高いAβ42の産生比率を増大させるものがあるが、全ての変異について同様の効果が証明されているわけではない。γセクレターゼの切断は段階的切断(sequential cleavage)様式をとることが示されており、Aβ49→Aβ46→Aβ43→Aβ40とAβ48→Aβ45→Aβ42→Aβ38という、3ペプチドごとに切断する(Aβ42→Aβ38のみ4ペプチド)2つの系列があることが推測されている[1]。Aβ42とAβ40の産生比率の違いが病態に関係すると考えられてきたが、トリペプチド仮説により酵素側だけでなく基質側にも関心が集まっている。
- Aβ産生阻害
- γセクレターゼ阻害剤は基質であるNotchを介した重大な副作用のため開発が中止され、総Aβ中のAβ42の比率を低下させるγセクレターゼ修飾薬も開発が中断されている。脳内移行性やbioavailabilityの低さへの対策からγセクレターゼより遅れたが、BACE1阻害剤が臨床開発段階にある。BACE1の全ての基質は十分に明らかになっていないが、BACE1をノックアウトしても重大な形態・機能異常を認めないことから、γセクレターゼ阻害剤ほどの副作用は出現しないと期待されている。
- ↑
Takami, M., Nagashima, Y., Sano, Y., Ishihara, S., Morishima-Kawashima, M., Funamoto, S., & Ihara, Y. (2009).
gamma-Secretase: successive tripeptide and tetrapeptide release from the transmembrane domain of beta-carboxyl terminal fragment. The Journal of neuroscience : the official journal of the Society for Neuroscience, 29(41), 13042-52. [PubMed:19828817] [PMC] [WorldCat] [DOI]