「色覚」の版間の差分

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2. 生理学的な側面.
 
== 2. 生理学的な側面. ==
 
 
2.1 動物種による色覚の違い
2.1 動物種による色覚の違い
波長応答特性の異なる光受容器は幅広い動物種において見つかっており、それぞれ異なる分光特性や種類で構成されている。例えば昆虫、魚類、鳥類においてはヒトよりも多くの種類の受容器があり、4原色以上の色で世界を見ている。一方で哺乳類は二色性の色覚特性を持っていることが多く、これは哺乳類の共通祖先が夜行性の動物であることとの関連性が指摘されている。哺乳類の中でも一部の霊長類(旧世界ザル、類人猿、ヒト)は例外的に三色性の色覚を有している。以下に記載する生理学的側面については、ヒトおよび旧世界ザルを対象とした研究に基づいたものである。
 
波長応答特性の異なる光受容器が複数存在すれば、その個体には広い意味での色覚があると言える。そのような色受容器は幅広い動物種において見つかっており、それぞれ異なる分光特性や種類で構成されている。例えば昆虫、魚類、鳥類においてはヒトよりも多くの種類の受容器があり、4原色以上の色で世界を見ている。一方で哺乳類は二色性の色覚特性を持っていることが多く、これは哺乳類の共通祖先が夜行性の動物であることとの関連性が指摘されている。哺乳類の中でも一部の霊長類(旧世界ザル、類人猿、ヒト)は例外的に三色性の色覚を有している。以下に記載する生理学的側面については、ヒトおよび旧世界ザルを対象とした研究に基づいたものである。





2013年5月12日 (日) 11:56時点における版

英語名:color vision 独: 仏:

色覚とは,波長構成の異なる光に対し異なる視覚的感覚を生じる主観的体験.波長選択性の異なる複数種類の光受容器を備える必要があるが,複数の受容器を備えているからといって色覚があるとは限らない.色覚は内観報告に基づく主観検査によってのみ判定されうる.

背景:

ヒトの場合,網膜に3種類の錐体(cone)受容器と1種類の悍体(rod)受容器の4種類が存在しうる.このうち,明所視(photopic vision)では錐体受容器が主に色覚に寄与し,薄明視(mesopic vision)では悍体の寄与が存在すると考えられている.悍体の寄与を示す体験として赤と青の物体の相対的な明るさ感が明所視と薄明視で変化するプルキンエシフトが知られている(←脚注?).錐体および悍体受容器に含まれているものと異なる光受容色素をもつ網膜神経節細胞(メラノプシン神経節細胞)の存在が確認されている(文献)が,色覚への寄与は明らかではない.(←脚注?)

3種類の錐体が発現および機能している通常型(3色覚 trichromat)と,2種類が機能または発現している2色型(2色覚 dichromat),1種類のみが機能または発現している1色型(1色覚 monochromat)が存在する.1色覚には,悍体のみ(rod monochromat: 機能する錐体を全く持たない)の場合もある.錐体単体の信号では色覚を生じず,複数種類の錐体の差によって波長構成の差に依存した信号が生じるため,1色覚では光の強弱の感覚しか得ることができない.3種類の錐体が網膜に発現しているものの,うち1種類の錐体の色覚への寄与が小さい(発現しているが機能が不完全,もしくは波長選択性が他の1種類と極めて近いため,差信号が弱い)場合には異常3色型(anomalous trichromat)と呼ばれる.

網膜に発現しうる錐体は遺伝的に決まるものと考えられており,X染色体の特定の座位の配列によって網膜に発現しうる錐体の種類が決まる(文献).主に劣性遺伝子を持つX染色体を受け継いだ男性に発現する事が多く,X染色体を2つ持つ女性は劣勢遺伝子のキャリアとなることが多い.ただし女性において,X染色体の組み合わせによっては,稀に4種類の錐体が発現し色覚に寄与する場合(4色覚tetorachromat)がある事が知られている(文献).※遺伝の記述については他所と重複していたらスキップ.もしくは生理学的背景へ.


1.1 色覚の多様性(生理学↓の方へ入れるべきか?)

2色覚者では,3色覚者が見分けられる色のうち特定のペアの弁別ができず,異常3色型も弱いながら類似の傾向が見られる(カラーバリアフリーには言及すべき?).これらの症状はアノマロスコープ(anomaloscope),色覚検査票(石原式仮性同色表:Ishihara’s pseudo isochromatic plates,Farnswars-Munsell’s 100 hue test,等)によって検査され,医学的には色覚異常と判定される.2色覚および異常3色覚者は日本人男性の約5%(白人男性の場合約8%)程度存在すると考えられている(文献).


1.2 知覚

色覚は,光の波長と1:1の対応関係を持たない.これは環境光の変化に適応する機構を備えているためと考えられる.例えば朝−昼−夕の太陽光のスペクトルの変化にも かかわらず物体の色を一定に知覚する機能(色恒常性:color constancy)を持つ.この機能を持たない場合,環境光の変化によって生存に必要な情報を逸失する場合もあり,色恒常性は魚類にも存在する事が確認されている(金魚:文献).逆に,色覚は他の感覚情報(触覚など)によって原点を校正する手段を持っていない点が,他の視覚感覚と異なる固有の特徴である.


1.3 色知覚:さらに,弁別閾から,カテゴリーまでの色知覚について追記の予定.(関連項目として外へ出すべき?) (1) 色弁別:通常型の色覚では錐体応答のコントラストで約 1:10,000 程度の信号強度で検出が可能.(何万色とかいう記述はあまり入れたくないが,一般には記述が期待されている?)MacAdam の弁別楕円? (2) 色の見え:明度/彩度/色相.ユニーク色,色差. (3) 色カテゴリー(鯉田さん?):基本色カテゴリー.Motif (Lindsey & Brown) の話?生得的か,経験に基づくものか.


1.4 空間的対比,同化などの基本的な錯視とその背景

知覚サイドはこの程度でしょうか?


2. 生理学的な側面.

2.1 動物種による色覚の違い

波長応答特性の異なる光受容器が複数存在すれば、その個体には広い意味での色覚があると言える。そのような色受容器は幅広い動物種において見つかっており、それぞれ異なる分光特性や種類で構成されている。例えば昆虫、魚類、鳥類においてはヒトよりも多くの種類の受容器があり、4原色以上の色で世界を見ている。一方で哺乳類は二色性の色覚特性を持っていることが多く、これは哺乳類の共通祖先が夜行性の動物であることとの関連性が指摘されている。哺乳類の中でも一部の霊長類(旧世界ザル、類人猿、ヒト)は例外的に三色性の色覚を有している。以下に記載する生理学的側面については、ヒトおよび旧世界ザルを対象とした研究に基づいたものである。


2.2 光受容器と多様性(1色覚,2色覚,3色覚(コモンタイプ,変則型),4色覚) (三色性、色覚異常)

2.3 網膜〜外側膝状体

2.4 大脳皮質 色情報は主に、大脳皮質の腹側経路において処理されている。

初期視覚野(第一次視覚野,第二次視覚野) サルとヒトで共通と考えて良い

高次視覚野 (V4, IT) サルとヒトで対応が難しくなる

2.5 そのほかの経路 ipRGCの発見と色覚への寄与 SCNと概日リズム




5. 参考文献