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==入来先生よりの査読結果== | |||
全体 脳神経倫理学の定義、発展経緯、現在の諸課題について体系的にまとめようとする努力が 評価できる原稿であるが、目次構成の改訂と、個々の項目の記載の深化を経て公表するこ とが望ましいと考えられる。 | |||
個別項目 | |||
1 ページ 冒頭、目次前の抄録文章 | |||
・ 3行目:「生命倫理や・・・(中略)・・・一分野であるが」が前行と重複し冗長である。 | |||
・ 5 行目:「位置づけられることが通常である」→「位置づけるべきという考えが示され | |||
ている」 | |||
・ 同じ5行目後半から8行目までの文章:前文と入れ変えたほうが文脈が正しいと思われ | |||
る。 | |||
・ 6行目:「脳活動の画像解析技術が格段に進歩したことを受けて」→「脳機能画像研究、 | |||
ブレイン・マシーンインターフェイス技術を始め、人間の精神活動や高次脳機能への介 入型研究が格段に進展したころを受けて」がより正しい説明では。 | |||
1 ページ下~2 ページ 目次 | |||
・ 「1背景と概要」に技術開発上の進展項目と、それに付随して生じた脳神経科学の応用 | |||
分野についてもここまとめて追記し、拡充すべきである。 | |||
・ 上記指摘事項に関連して、現在「5.脳神経科学と社会」におさめられている「5.7. | |||
脳神経在学」「5.8.脳神経マーケティング」「5.9.脳神経法学」に関しては脳神 経科学の応用分野として位置づけ、「1背景と概要に」記述を集約してもよいのでは | |||
2 ページ下~3 ページ | |||
背景と概要 | |||
・2 ページ下最下行:「脳神経科学がもとらす新たな倫理的・社会的課題について対応する という理由」の「理由」→「側面」「要素」などに変更した方がよい。また、上記考えの根 拠となる参考文献情報を追加すべき。 | |||
4 ページ 具体的な問題事例「表1」 | |||
・ 全体として、脳神経倫理として捉えるべき特有の問題と、既存の生命倫理、医療倫理、 | |||
応用倫理領域との重複する要素を伴う問題が混在して列挙されているので、これを分離 | |||
して記述できるとよい。 | |||
・ 「3.脳神経科学と社会」に位置づけられ、問題事例とされている項目のうち「脳神経 | |||
経済学(ニューロエコノミクス)」「脳神経マーケティング(ニューロマーケティング)」 ならびに「脳神経科学および裁判における脳神経科学」については、脳神経倫理の個別 事例というよりは、前者2つは認知神経科学の発展による脳神経科学の応用学術分野と して位置づけられる広範な領域にまたがるので、具体的事例からは削除すべきである。 また、脳神経科学の包含する倫理的課題を扱う分野であることから「脳神経科学および」 という説明が入る項目についてはトートロジーであり、これも再考を要する。 | |||
4 ページ下~9 ページまで 全体として、個別項目の文章の根拠となり得る参考文献の追記が必要。 | |||
脳神経科学の倫理学 5 ページ 基礎的・哲学的問題 | |||
・ 「外部機器が記憶の補助を行う」→「外部機器が、記憶などの人間の精神活動に関わる | |||
高次脳機能の補助的役割を担う」 | |||
・ 「裁判における脳神経科学」には「(裁判官および陪審員等への)量刑判断に対する脳 | |||
神経科学的知見提示の影響」という要素と「被疑者の脳神経学的症状の科学的分析結果 を法廷に持ち込むことの是非」という 2 つの要素があるはずであり、これらについてよ り明確に書き分けられた説明記述が求められる。 | |||
・ 「マインドリーディング」「マインドコントロール」の記述について、脳神経科学の技 術開発項目に則した内容に書き換えが必要である。また、現在の脳神経科学では「本当 の意味での人間の精神活動の機微を捉えている段階ではない」ということについても言 及をすることが求められる。 | |||
6 ページ 臨床・応用的問題 | |||
・ 全体として生命倫理・医療倫理との共通要素が多いように思われるため、脳神経倫理と | |||
しての特有の問題項目とそうでないものを書き分けた方がよい。 | |||
・ 特に脳神経疾患を伴う患者、被験者の「同意能力の判断基準」と「同意能力をもたない | |||
ヒトの実験協力に関するインフォームドコンセントのあり方」に関する言及が必要では。 | |||
7ページ | |||
研究倫理 ・「研究倫理」に対する一般的な解釈は「研究データのねつ造、改ざん等の不正」「研究費 の不正な扱い」などであり、筆者らの指摘する以外の要素を多分に含んでいる。筆者らの 指摘している要素は「臨床・応用的問題」に個別事例として記載されるべき内容を含んで おり、この項目の定義付けと特出しで一つの項目とする妥当性については再考が必要であ る。 | |||
倫理の脳神経科学 ・「倫理判断のメカニズム解明」に関係して、トロッコ問題の他にも「情状酌量に関わる脳 内機構」の記述なども追記するとよいのでは。 ・本カテゴリーに「価値判断(貨幣価値に代表される物的あるいは物欲的な的価値など) の脳内メカニズム」の項目も追加するとよいのでは。 | |||
7ページ下~9ページ | |||
脳科学と社会 | |||
・ 冒頭の定義と必ずしも一致しない項目が含まれているので、再構成が必要である。特に、 | |||
先述したように「脳神経経済学」「脳神経マーケティング」「脳神経法学および裁判にお ける脳神経学」はそれぞれ「ニューロエコノミクス」「ニューロマーケティング」「ニュ ーロポリティクス」等の名称で脳神経科学の応用分野としての性格が強く、本文中でも 研究開発の現状が記載されているにとどまっている要素が強い。脳神経倫理の個別問題 という位置付けで言及することの妥当性について再考が必要と考えられる。 | |||
・ エンターテインメントにおける問題:脳神経科学の技術がエンターテインメントに用い られることの問題なのか、脳科学的知見がエンターテインメントを通して誇張されるこ との問題が深刻なのか、現在の記述では問題の本質がはっきりしない記述となっている。 | |||
・ 上記と関連して「メディアに関する問題」と合わせた文章の再編が必要である。 | |||
・ 「疑似科学の問題」→「疑似科学化の問題」が正しいのでは? | |||
・ 「教育と脳神経科学」→「脳神経科学の知見による、教育現場等における社会生活上の | |||
不公平、不利益の誘発の問題」というのが現在の記述では正しいのではないか。 | |||
9ページ中段~ | |||
脳神経倫理学の体制化・制度化 | |||
・全般的に JST 研究開発センターの国際比較報告書等を引用、参考にして、記述を充実さ せることができるのではないかと考えられる。 ・日本国内の学会については、これまでに関連セッションの開催実績のある学会等につい | |||
て追記ができると望ましい。 ・専門家養成教育プログラムについては北米以外の大学でも設置が進んでいたり、サマー スクール等の開講がなされている事例について紹介があった方がよい。 | |||
以上 |
2015年1月12日 (月) 18:04時点における版
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--Yasunori Hayashi (トーク) 2013年8月24日 (土) 09:43 (JST)
入来先生よりの査読結果
全体 脳神経倫理学の定義、発展経緯、現在の諸課題について体系的にまとめようとする努力が 評価できる原稿であるが、目次構成の改訂と、個々の項目の記載の深化を経て公表するこ とが望ましいと考えられる。 個別項目 1 ページ 冒頭、目次前の抄録文章 ・ 3行目:「生命倫理や・・・(中略)・・・一分野であるが」が前行と重複し冗長である。 ・ 5 行目:「位置づけられることが通常である」→「位置づけるべきという考えが示され ている」 ・ 同じ5行目後半から8行目までの文章:前文と入れ変えたほうが文脈が正しいと思われ る。 ・ 6行目:「脳活動の画像解析技術が格段に進歩したことを受けて」→「脳機能画像研究、 ブレイン・マシーンインターフェイス技術を始め、人間の精神活動や高次脳機能への介 入型研究が格段に進展したころを受けて」がより正しい説明では。 1 ページ下~2 ページ 目次 ・ 「1背景と概要」に技術開発上の進展項目と、それに付随して生じた脳神経科学の応用
分野についてもここまとめて追記し、拡充すべきである。
・ 上記指摘事項に関連して、現在「5.脳神経科学と社会」におさめられている「5.7. 脳神経在学」「5.8.脳神経マーケティング」「5.9.脳神経法学」に関しては脳神 経科学の応用分野として位置づけ、「1背景と概要に」記述を集約してもよいのでは 2 ページ下~3 ページ 背景と概要 ・2 ページ下最下行:「脳神経科学がもとらす新たな倫理的・社会的課題について対応する という理由」の「理由」→「側面」「要素」などに変更した方がよい。また、上記考えの根 拠となる参考文献情報を追加すべき。 4 ページ 具体的な問題事例「表1」 ・ 全体として、脳神経倫理として捉えるべき特有の問題と、既存の生命倫理、医療倫理、 応用倫理領域との重複する要素を伴う問題が混在して列挙されているので、これを分離 して記述できるとよい。 ・ 「3.脳神経科学と社会」に位置づけられ、問題事例とされている項目のうち「脳神経 経済学(ニューロエコノミクス)」「脳神経マーケティング(ニューロマーケティング)」 ならびに「脳神経科学および裁判における脳神経科学」については、脳神経倫理の個別 事例というよりは、前者2つは認知神経科学の発展による脳神経科学の応用学術分野と して位置づけられる広範な領域にまたがるので、具体的事例からは削除すべきである。 また、脳神経科学の包含する倫理的課題を扱う分野であることから「脳神経科学および」 という説明が入る項目についてはトートロジーであり、これも再考を要する。 4 ページ下~9 ページまで 全体として、個別項目の文章の根拠となり得る参考文献の追記が必要。 脳神経科学の倫理学 5 ページ 基礎的・哲学的問題 ・ 「外部機器が記憶の補助を行う」→「外部機器が、記憶などの人間の精神活動に関わる
高次脳機能の補助的役割を担う」
・ 「裁判における脳神経科学」には「(裁判官および陪審員等への)量刑判断に対する脳 神経科学的知見提示の影響」という要素と「被疑者の脳神経学的症状の科学的分析結果 を法廷に持ち込むことの是非」という 2 つの要素があるはずであり、これらについてよ り明確に書き分けられた説明記述が求められる。 ・ 「マインドリーディング」「マインドコントロール」の記述について、脳神経科学の技 術開発項目に則した内容に書き換えが必要である。また、現在の脳神経科学では「本当 の意味での人間の精神活動の機微を捉えている段階ではない」ということについても言 及をすることが求められる。 6 ページ 臨床・応用的問題 ・ 全体として生命倫理・医療倫理との共通要素が多いように思われるため、脳神経倫理と
しての特有の問題項目とそうでないものを書き分けた方がよい。
・ 特に脳神経疾患を伴う患者、被験者の「同意能力の判断基準」と「同意能力をもたない ヒトの実験協力に関するインフォームドコンセントのあり方」に関する言及が必要では。 7ページ 研究倫理 ・「研究倫理」に対する一般的な解釈は「研究データのねつ造、改ざん等の不正」「研究費 の不正な扱い」などであり、筆者らの指摘する以外の要素を多分に含んでいる。筆者らの 指摘している要素は「臨床・応用的問題」に個別事例として記載されるべき内容を含んで おり、この項目の定義付けと特出しで一つの項目とする妥当性については再考が必要であ る。 倫理の脳神経科学 ・「倫理判断のメカニズム解明」に関係して、トロッコ問題の他にも「情状酌量に関わる脳 内機構」の記述なども追記するとよいのでは。 ・本カテゴリーに「価値判断(貨幣価値に代表される物的あるいは物欲的な的価値など) の脳内メカニズム」の項目も追加するとよいのでは。 7ページ下~9ページ 脳科学と社会 ・ 冒頭の定義と必ずしも一致しない項目が含まれているので、再構成が必要である。特に、 先述したように「脳神経経済学」「脳神経マーケティング」「脳神経法学および裁判にお ける脳神経学」はそれぞれ「ニューロエコノミクス」「ニューロマーケティング」「ニュ ーロポリティクス」等の名称で脳神経科学の応用分野としての性格が強く、本文中でも 研究開発の現状が記載されているにとどまっている要素が強い。脳神経倫理の個別問題 という位置付けで言及することの妥当性について再考が必要と考えられる。 ・ エンターテインメントにおける問題:脳神経科学の技術がエンターテインメントに用い られることの問題なのか、脳科学的知見がエンターテインメントを通して誇張されるこ との問題が深刻なのか、現在の記述では問題の本質がはっきりしない記述となっている。 ・ 上記と関連して「メディアに関する問題」と合わせた文章の再編が必要である。 ・ 「疑似科学の問題」→「疑似科学化の問題」が正しいのでは? ・ 「教育と脳神経科学」→「脳神経科学の知見による、教育現場等における社会生活上の
不公平、不利益の誘発の問題」というのが現在の記述では正しいのではないか。
9ページ中段~ 脳神経倫理学の体制化・制度化 ・全般的に JST 研究開発センターの国際比較報告書等を引用、参考にして、記述を充実さ せることができるのではないかと考えられる。 ・日本国内の学会については、これまでに関連セッションの開催実績のある学会等につい て追記ができると望ましい。 ・専門家養成教育プログラムについては北米以外の大学でも設置が進んでいたり、サマー スクール等の開講がなされている事例について紹介があった方がよい。 以上