「前頭葉」の版間の差分

1,933 バイト追加 、 2015年5月15日 (金)
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== 前頭葉の構成 ==
== 前頭葉の構成 ==
Brodmannは、大脳皮質を細胞構築学的に52の領野に分けたが、機能区分との関連性が高いため、現在でも重要な指標となっている。一次運動野は4野に、高次運動野は6野と24野(背側部分)に相当する。前頭前野は、9野、46野などの複数の領野からなっている。前頭前野と高次運動野の間には8野があり、眼球運動に関連した領域である。前頭眼野と呼ばれ、眼球運動関連領野である。
Brodmannは、大脳皮質を細胞構築学的に52の領野に分けたが、機能区分との関連性が高いため、現在でも重要な指標となっている。一次運動野は4野に、高次運動野は6野と24野(背側部分)に相当する。前頭前野は、9野、46野などの複数の領野からなっている。前頭前野と高次運動野の間には8野があり、眼球運動に関連した領域である。前頭眼野と呼ばれ、眼球運動関連領野である。
 前頭葉の各領域の領域特異性を「前後軸」と「内外軸」の観点から捉え直すことができる。前方から後方へ向かう「前後軸」にそって、前頭前野、眼球運動関連領野(8野)、高次運動野(6野、24野背側部)、一次運動野(4野)がある(図1)。前方から後方へ向かって、表現される内容が抽象的内容から具体的動作へと移り変わる(「前後軸」、図2)。さらに、内側から外側の方向にも別の機能分化がある(「内外軸」、図3、4)。


=== 一次運動野 ===
=== 一次運動野 ===
 中心溝のすぐ前部にある一次運動野は脊髄の運動細胞に神経連絡があり、運動の実行に関わるとされる。一次運動野の神経細胞を電気刺激すると、刺激部位に対応した体部位の筋が収縮する。このように一次運動野には体の各部位に対応する体部位再現性がある。したがって、一次運動野を損傷すると、損傷部位に対応した体部位に麻痺が生じる。
 一次運動野は、中心溝の前方(中心前回)にあり、Brodmann第4野に相当する(図1)。第5層に存在する巨大錐体細胞によって特徴づけられる。「内外軸」にそって体部位再現があり、内側から外側へと向かって、下肢、体幹、上肢、手指、顔と口唇の動きを司る部位がある(図3)。精緻な動きを行う手指や口唇の動きを支配する部位が広い領域を占める一方で、それが必要とされない体幹や下肢を支配する部位は狭い。一次運動野の出力は、他の大脳皮質領域、大脳基底核、橋核を初めとする脳幹の神経核へ送られる。その中に、皮質脊髄路を通って脊髄へ投射する一群があり、巨大錐体細胞はそのメンバーである。一次運動野は最終的な運動出力を形成する場であり(「前後軸」、図2)、こうした投射を通じてそれが脳全体に広められる。皮質脊髄路の大部分が延髄錐体から脊髄へ入る際に左右が入れ替わるため(錐体交叉)、左側(右側)の大脳半球は右側(左側)の体の動きを、主として制御するという特徴がある。したがって、一次運動野の出血や梗塞によってその機能が失われると、体部位再現に対応した強い麻痺が対側の体に生じる。
 
=== 高次運動野 ===
一次運動野の前方には、高次運動野が広がっている(図1)。外側に運動前野が、より内側に補足運動野が、最も内側には帯状皮質運動がある(「内外軸」、図4)。運動前野と補足運動野はBrodmann6野にあり、帯状皮質運動野は主としてBrodmann24野にある。


=== 運動前野 ===
=== 運動前野 ===
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