「コネクトーム」の版間の差分

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前項、遺伝学的標識法と類似しているが、より積極的にシナプス結合している神経細胞を探査していくコネクトームの構築法である。その1つは、小麦胚レクチン(WGA)などが、前シナプス部の細胞に導入された物質が、細胞質を介して直接は繋がっていない後シナプス部にシナプスを介して移行(Trans-synaptic)するということを利用するものである。これは、歴史的には、物質そのものを注入することで行われてきたが、ウィルスベクター、[[トランスジェニックマウス]]のような形で、遺伝学的に利用することが可能になっている。
前項、遺伝学的標識法と類似しているが、より積極的にシナプス結合している神経細胞を探査していくコネクトームの構築法である。その1つは、小麦胚レクチン(WGA)などが、前シナプス部の細胞に導入された物質が、細胞質を介して直接は繋がっていない後シナプス部にシナプスを介して移行(Trans-synaptic)するということを利用するものである。これは、歴史的には、物質そのものを注入することで行われてきたが、ウィルスベクター、[[トランスジェニックマウス]]のような形で、遺伝学的に利用することが可能になっている。


もう1つの重要なアプローチは、同様な性質を持ったウィルスベクターを利用することである<ref>Wickersham, I. R. & Feinberg, E. H. New technologies for imaging synaptic partners. Current opinion in neurobiology 22, 121–7 (2012).</ref>。例えば、リポーター遺伝子を有するRabiesウィルスベクターは、Trans-synapticな移動をし、逆行性に輸送されることが知られており、前シナプス細胞のパートナーとなる神経細胞の標識が可能である。特に、ウイルスベクターのエンベロップタンパク質を変更することで、感染細胞を変更することができる。http://web.stanford.edu/group/luolab/Pdfs/Callaway_and_Luo_JNeuro_2015.pdf<br />
もう1つの重要なアプローチは、同様な性質を持ったウィルスベクターを利用することである<ref>Wickersham, I. R. & Feinberg, E. H. New technologies for imaging synaptic partners. Current opinion in neurobiology 22, 121–7 (2012).</ref>。例えば、リポーター遺伝子を有するRabiesウィルスベクターは、Trans-synapticな移動をし、逆行性に輸送されることが知られており、前シナプス細胞のパートナーとなる神経細胞の標識が可能である。特に、ウイルスベクターのエンベロップタンパク質を変更することで、感染細胞を変更することができる<ref><pubmed>26085623</pubmed></ref><ref><pubmed>26131933</pubmed></ref>
 
 
====5)生体試料観察の工夫 ====
====5)生体試料観察の工夫 ====
組織の透明化、Clarity, expansion 。共焦点顕微鏡、ナノスコピー、光シート顕微鏡など。<br />
組織の透明化、Clarity, expansion 。共焦点顕微鏡、ナノスコピー、光シート顕微鏡など。<br />