「ドリフト拡散モデル」の版間の差分

91行目: 91行目:
 主にサルを被験体とした単一細胞レベルでの神経活動記録により,エビデンスの蓄積過程に対応する神経活動が検討されてきた。例えば視線でターゲットを選択することで反応する意思決定課題においては,ターゲットの方向へのサッケード時に選択的に活動するLIP野 (lateral intraparietal cortex) の細胞は刺激の呈示とともに徐々に活動が増加し,その発火率 (単位時間あたりの活動電位の数)がある閾値に到達したときにサッケード反応が起こるということが観測されている。その振る舞いはドリフト拡散モデルをはじめとする逐次サンプリングモデルと対応付けられて議論されている<ref><pubmed>8570606</pubmed></ref>。
 主にサルを被験体とした単一細胞レベルでの神経活動記録により,エビデンスの蓄積過程に対応する神経活動が検討されてきた。例えば視線でターゲットを選択することで反応する意思決定課題においては,ターゲットの方向へのサッケード時に選択的に活動するLIP野 (lateral intraparietal cortex) の細胞は刺激の呈示とともに徐々に活動が増加し,その発火率 (単位時間あたりの活動電位の数)がある閾値に到達したときにサッケード反応が起こるということが観測されている。その振る舞いはドリフト拡散モデルをはじめとする逐次サンプリングモデルと対応付けられて議論されている<ref><pubmed>8570606</pubmed></ref>。


 ヒトを対象とした研究においては,fMRIや脳波でとらえられた神経活動とドリフト拡散モデルが関連づけられて分析されている。fMRIや脳波からはドリフト拡散モデルの試行内のダイナミクスに対応するような細胞単位の活動の変化を計測することは難しい。そのため,主にドリフト拡散モデルのパラメータの試行間変動と神経活動の試行間変動の関連に注目した分析がなされている <ref name=Frank2015><pubmed>25589744</pubmed></ref> <ref><pubmed>25844875 /pubmed></ref>。例えば,視床下核の活動を反映するBOLD信号や,脳波から観測される前頭正中線θリズム等がドリフト拡散モデルの境界パラメータに影響することを仮定した分析が行われている <ref name= Frank2015 />。
 ヒトを対象とした研究においては,fMRIや脳波でとらえられた神経活動とドリフト拡散モデルが関連づけられて分析されている。fMRIや脳波からはドリフト拡散モデルの試行内のダイナミクスに対応するような細胞単位の活動の変化を計測することは難しい。そのため,主にドリフト拡散モデルのパラメータの試行間変動と神経活動の試行間変動の関連に注目した分析がなされている <ref name=Frank2015><pubmed>25589744</pubmed></ref> <ref><pubmed>25844875 /pubmed></ref>。例えば,fMRIで観測される視床下核の活動を反映するBOLD信号や,脳波から観測される前頭正中線θリズム等がドリフト拡散モデルの境界パラメータに影響することを仮定した分析が行われている <ref name= Frank2015 />。


==その他の逐次サンプリングモデル==
==その他の逐次サンプリングモデル==
135

回編集