「ヒストン脱アセチル化酵素」の版間の差分

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 精神疾患病態に加えて、向精神薬の作用/副作用機序との関連も示唆されている。抗うつ薬による抗うつ効果にはHDAC5阻害活性が必須であること <ref name=Tsankova2006><pubmed>16501568</pubmed></ref> 、抗精神病薬による認知機能低下といった副作用にはHDAC2機能亢進が関わっていることが報告されている <ref name=Ibi2017><pubmed>28783139</pubmed></ref> 。
 精神疾患病態に加えて、向精神薬の作用/副作用機序との関連も示唆されている。抗うつ薬による抗うつ効果にはHDAC5阻害活性が必須であること <ref name=Tsankova2006><pubmed>16501568</pubmed></ref> 、抗精神病薬による認知機能低下といった副作用にはHDAC2機能亢進が関わっていることが報告されている <ref name=Ibi2017><pubmed>28783139</pubmed></ref> 。
== HDAC阻害剤 ==
 HDAC阻害剤はがん、感染症、炎症性疾患に対する治療薬としての開発が進められている('''表2''')が、上述の通り最近では、うつ病、自閉症、アルツハイマー病などの神経精神疾患に対する治療薬としての可能性も期待されている。そのため、脳移行性が高くアイソフォーム選択的なHDAC阻害剤が必要とされている。
 古典的なHDAC阻害剤はクラスI、II、IVに作用し、HDACの亜鉛含有触媒部位に結合する。クラスIIIのHDACであるサーチュインはNAD+に依存しており、ニコチンアミドとその誘導体によって阻害される。
 
{| class="wikitable"
|+表2. 代表的なヒストン脱アセチル化酵素阻害剤
! 名称 !! タイプ !! 選択性 !! ポテンシー
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| バルプロ酸 (VPA) || 脂肪族化合物 || クラスI, IIa || mM
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| 酪酸ナトリウム(NaB) || 脂肪族化合物 || クラスI, IIa || mM
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| トリコスタチンA (TSA) || ヒドロキサム酸系 || Pan || nM
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| スベロイルアニリドヒドロキサム酸 (SAHA)、ボリノスタット || ヒドロキサム酸系 || Pan || μM
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| APHA 8 || ヒドロキサム酸系 || クラスI || μM
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| MC1568 || ヒドロキサム酸系 || クラスII || nM
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| 1-ナフトルヒドロキサム酸 || ヒドロキサム酸系 || HDAC8 || μM
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| エンチノスタット (MS-275) || ベンズアミド系 || クラスI || μM
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| ツバスタチンA (TBSA) || ベンズアミド系 || HDAC6 || nM
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| RGFP966 || ベンズアミド系 || HDAC3 || nM
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| シルチノ-ル || - || SIRT1, SIRT2 || μM
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| Ex-527 || - || SIRT1 || nM
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| AGK2 || - || SIRT2 || μM
|}


== 関連語 ==
== 関連語 ==